【ヒロアカ2期感想】個性は大事だけど、競争も大事

ヒロアカ2期
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『僕のヒーローアカデミア』のTVアニメ2期(以下、ヒロアカ2期)について語っていく。

『ヒロアカ』は堀越耕平の漫画(週刊少年ジャンプ)が原作で、2016年春クールにTVアニメ1期、2017年春クールにTVアニメ2期が放送される。アニメ制作はボンズが担当した。

目次

『ヒロアカ2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画83点
世界観・設定・企画84点
ストーリー85点
演出83点
キャラ85点
音楽79点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティは、TVアニメ1期から大きく変わってはいない。戦闘シーンはそれなりに迫力があって、日常シーンはコミカルな動きが印象的だった。また、テレビアニメ2期に関しては、ヒーロー殺し・ステインの迫力が印象に残っている。

世界観・設定・企画

『ヒロアカ2期』では、体育祭、職場体験、期末テストが描かれる。ヒロアカはファンタジー作品ではある一方で、妙にリアリティがあって、今回は社会人としての立ち振る舞いがテーマになっていた。

ストーリー

やはり『ヒロアカ』はストーリーが面白い。今回は2クールだったけど、あっという間に感じられたし、続きがどんどん気になった。

演出

全体的に『ヒロアカ』は、キャラクターの迫力の出し方がすごい。死柄木もなかなかのキャラだけど、ヒーロー殺し・ステインの迫力は凄まじいものがあった。死柄木とヒーロー殺し・ステインの違いを、アニメーション表現で見せているのは凄いと思う。

キャラ

1年A組のクラスメイトを深掘りしつつ、ヴィラン側ではカリスマ論も描かれた。個人的には、ヴィラン側の方が哲学的な要素が強いので好みだ。

音楽

主題歌は、単体の楽曲として見たときに、とても聴き心地がよかった。そしてたしかに歌詞も『ヒロアカ2期』とリンクしている。でも、やっぱりJ-POPアーティストだから、完全に『ヒロアカ』仕様というわけではない。劇伴も、たまにはぶっちぎって見てもいいんじゃないかと個人的には思う。ボンズが本気で作った音楽×アニメーション表現を『ヒロアカ』で見てみたい。

ちなみに、個人的には『ピースサイン』もいいけど『だってあたしのヒーロー。』も好き。

『ヒロアカ2期』の感想

※ネタバレ注意!

競争からは逃れられない?

『ヒロアカ』の世界では、それぞれが持つ個性を最大限に発揮することが求められる。その最たる例がヒーローだ。個性が求められる社会では、大抵の場合、ナンバーワンよりもオンリーワンが求められる。実際に、我々が住む現代社会でも「1つの個性を極めてナンバーワンになるより、複数の個性を組み合わせることで、オンリーワンになるべき」とするキャリア論が一般化しつつある。僕もこの言説については、概ね同意である。

一方で、いくらオンリーワンが求められるとは言え、社会で生きていく以上、競争は免れないものだ。それぞれ強烈な個性を持つ優秀や就職希望者が10人だとしても、採用枠が5人に限られている場合、どうしても何かしらの方法で優劣を決めなければならない。そういう社会に、僕達は生きている。

『ヒロアカ2期』の体育祭編では、競争がとても強く意識されていたように思う。ナンバーワンに立ち続けることがどれだけ難しいことなのか。そしてナンバーワンを追求する結果として、オンリーワンの個性が育まれることも描かれた。

僕たちは、やはり競争から逃れられないのかと言われると、そんな事は無い。確かに爆豪や緑谷や轟のようにナンバーワンを目指すのもカッコいいが、発目明のように、体育祭をアピールの場として活用するのも手だ。つまるところ、ナンバーワンというのはあくまでも、オンリーワンに内包されるものなのだ。1番はそれだけで極めて強い個性になり得る。

個人的には、ナンバーワンに必ずしもなる必要はないと思うが、ナンバーワンを目指すのは悪くないと思う。

ヒーロー殺し・ステインについて

『ヒロアカ2期』において最も強いインパクトを受けたのは、ヒーロー殺し・ステインだった。ただ気まぐれに人を殺し続ける死柄木とは異なり、ヒーロー殺し・ステインには明確かつ強い信念があった。特に「俺を殺していいのは……、本物のヒーロー、オールマイトだけだ!」とか「目先の憎しみにとらわれ私欲を満たそうなど、ヒーローからもっとも遠い行いだ」というのは、非常に印象的なセリフだった。

人々の象徴にもなり得るヒーローという存在は、強い思想が必要なのかもしれない。思想なき正義は、もはや正義ではないのだ。そう考えてみれば、ヒーロー殺し・ステインは、彼なりの正義を持っていたわけで、それが死柄木と大きく異なる点だった。そして「正義の強さ」だけで見れば、ステインはオールマイトに匹敵するレベルで、あのエンデヴァーさえ気圧されていたのだから、相当なものなのだろう。

『ヒロアカ』はどうも、ヒーローとヴィランの戦いを通じて、正義論を描いているように思う。それこそ、丸っきし悪役キャラの爆豪は奇跡的にヒーローを目指しているのだけれど、方向性が少しでも変われば、すぐにでもヴィラン側になるだろう。それこそ『NARUTO』のうちはサスケがそうだった。

『ヒロアカ』の物語が、はたして物語がどこに向かっていくのかが気になるところである。

さいごに

『ヒロアカ2期』と『ヒロアカ3期』の間で、OVAが2本と劇場版が1本あるので、それを視聴次第、ブログに投稿しようと思う。

それにしても『ヒロアカ』は安定でおもしろい。ボンズの制作技術が惜しげもなく投下されている……、というわけではないんだけど、『ヒロアカ』という名作漫画における最低ラインのクオリティは担保している印象だ。これからもっと激アツなシーンが増えるはずだから、ハイペースで視聴したいと思う。

この記事をシェア
目次