今回は『僕のヒーローアカデミア(以下、ヒロアカ3期)』について語っていく。
『ヒロアカ』は堀越耕平による漫画(週刊少年ジャンプ)が原作で、2016年春クールにTVアニメ1期、2017年春クールから2クールかけてTVアニメ2期が放送される。そして2018年春クールから2クールかけてTVアニメ3期が放送された。
アニメ制作がボンズが担当している。
『ヒロアカ3期』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 88点 |
世界観・設定・企画 | 82点 |
ストーリー | 87点 |
演出 | 87点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 83点 |
作画
ヒロアカ3期は、全体的に戦闘シーンが多く、作画にも気合が入っていた。特にオールマイトとオール・フォー・ワンの戦闘シーンは凄まじかった。またアニメーション表現だけで見ると、デクバーサスかっちゃんの動きのセンスが面白かった。このシーンからは母ずらしさを感じた。
世界観・設定・企画
かなり群像劇的な物語になっている。当初は緑谷・爆豪・麗日・飯田・轟の5人がメインキャラだったけど、それ以外のクラスメイトもちゃんと深掘りされるようになっている。そしてヴィラン側も深掘りされていて、特にトガヒミコが中々に不気味だ。
また、TVアニメとほぼ同じタイミングで劇場版が公開されているのも印象的。というか『ヒロアカ』は一応、深夜アニメではなく、あくまでも大衆向けアニメとして展開されているのを、今思い出した。まあ確かに、子どもでも十分に楽しめる作品に仕上がっていると思う。
ストーリー
TVアニメ1期と2期で世界観の説明がほとんど終了し、だんだんとキャラクターの魅力の深掘りに注力するようになった。これは、多くの作品で見られる傾向だ。
また、ストーリーラインが多く設定されているのもポイント。デクの成長はもちろんのこと、轟、爆轟、死柄木の成長もちゃんと描かれているし、お茶子とトガヒミコのラブコメパートもかなり面白い。
演出
第61話『デクVSかっちゃん2』の戦闘シーンは、ボンズらしさがあった。キャラクターデザインが崩れるほどの作画が、いいと思うんです。
結局『ヒロアカ』は大衆アニメであることに加えて、キャラクターグッズが超重要なので、キャラデザを崩す作画がほとんど見受けられない。もちろん、キャラデザを一切崩さないで戦闘シーンをダイナミックに描く技術力と表現力の高さも素晴らしいけど、そろそろ圧倒的な映像表現をTVアニメでも見たいところだ。その点で『デクVSかっちゃん2』は、久しぶりに満足できたアニメーション表現だった。
キャラ
ヒロアカ3期からは、キャラクターの使い方が秀逸だと感じる場面が増えた。例えば林間合宿編では、常闇と手足が大活躍。爆豪奪還には、緑谷、轟、飯田のいつもの3人に加えて、八百万と切島が活躍した。
そしてそこからのインテリアNo.1の流れも秀逸で、1-A組の絆の強さを感じさせられた。他の作品だとモブになるようなキャラでも、ちゃんと活躍させるのがヒロアカの凄いところだ。
音楽
OPの『ODD FUTURE』と『Make my Story』はどちらもとても盛り上がるナンバー。個人的には『Make my Story』の方が好み。
EDの『アップデート』もいい曲だった。
また、見せ場となるシーンでやや挑戦的な劇伴が挿入されていたのも印象的。でも、もっとガンガンやってほしいと個人的には思う。
『ヒロアカ3期』の感想
※ネタバレ注意!
第49話『ワン・フォー・オール』の衝撃
ヒロアカ3期では、名場面がたくさんあったけど、中でも最も強烈だったのは、やっぱり第49はワンフォーオールだと思う。最強のヒーローであるオールマイトと最強のヴィランであるオール・フォー・ワンが、激闘を広げるのだ。
とにかく、圧巻だった。デクたちの反応で、オール・フォー・ワンのヤバさがよくわかったし、それをぶっ倒すオールマイトのかっこよさもビシビシと伝わってきた。
そして何よりも、オールマイトの最期のシーンだ。『ヒロアカ』の世界におけるヒーローとは、ヴィランや災害から人々を守ることが仕事だった。しかし、これでは一向に後手に回る。そこでオールマイトは、自らが”平和の象徴”になることで、ヴィランを抑止することに成功したのだ。そしてそれこそがオールマイトの使命だった。
オールマイトは、ボロボロのガイコツ姿になりながらもオール・フォー・ワンを撃破。そして最期に、再びマッスルフォームに変身して、人々に安心感を抱かせたのだ。これほどかっこいい後ろ姿は中々ない。
「次は君だ」のメッセージも印象的だった。これはデクに向けたメッセージなのだけれど、同時に、オールマイトに憧れたヒーローの卵にも向けられたメッセージだと思う。『ONE PIECE』でロジャーが死に際に放った一言が大海賊時代のきっかけになったのと同じく、オールマイトも、ヒーローの卵たちに託す選択をしたのだ。
このエピソードで『ヒロアカ』の物語が、劇的に変化する。平和の象徴がいなくなった世界で、ヒーローの卵であるデクと、ヒーロー社会に疑問を投げかける死柄木がどのように成長していくのか。ここからが本当の『ヒロアカ』ということになる。
物語の本筋は、やっぱりかっちゃん?
『ヒロアカ3期』では色々なストーリーが描かれたけど、やっぱりなんだかんだで、物語の本筋はデクVSかっちゃんにあるのかもしれない。
第61話『デクVSかっちゃん2』も、第49話『ワン・フォー・オール』に負けないぐらいの名エピソードだった。そういえば『ヒロアカ3期』でほとんど活躍できていない爆豪の葛藤が深掘りされている。
ワン・フォー・オールの物語や、お茶子のラブコメパート、それに対抗する偏愛のトガヒミコ、死柄木の成長物語から轟のファミリー問題まで、色々なエピソードが群像劇的に描かれるのが『ヒロアカ』の特徴だけど、その中で最も根幹部分に位置しているエピソードが、デクと爆豪の関係性だ。これは『NARUTO』のナルトとサスケの関係に、とてもよく似ている。
はたして、デクと爆豪の関係性はどこに向かっていくのか。デクと同じくらい、爆豪も極めて魅力的なキャラである。ヒーローというより悪役っぽいが、なんだかんだで頼もしい。そんな爆豪が、デクを圧倒する日がやってくるのだろうか。もしそんなエピソードが来たら激アツだけど、はたしてどうなることやら。
さいごに
ほかのアニメを完全無視して、とにかく『ヒロアカ』を優先して視聴している。マジでめちゃくちゃおもしろい。普段、ジャンプ作品はあまり視聴しないのだけど、ボンズ制作だから『ヒロアカ』は最優先で視聴している。
『ヒロアカ』は世界観・設定が秀逸だったけど『ヒロアカ3期』にきてから、キャラクターの魅力が際立っている印象を受けた。メインキャラはもちろんのこと、サブキャラもしっかり深掘りされているのが頼もしい。
いまのところ、キャラが死亡するケースはほとんどないが、そろそろ主要人物が死亡するエピソードが描かれるのだろうか。ガンガン『ヒロアカ』を視聴していこうと思う。