【i☆Ris the Movie感想】ファンディスクとしては最高!

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『i☆Ris the Movie -Full Energy!!-(以下、i☆Ris the Movie)について語っていく。

本作は声優アイドルグループ・i☆Risの劇場アニメだ。i☆Risは2012年より活動を開始した声優アイドルグループで、2022年に10周年を達成。その記念プロジェクトの1つとして『i☆Ris the Movie』の制作が決定。2024年5月に上映された。

アニメ制作はStudio五組が担当した。

目次

『i☆Ris the Movie』の評価

※ネタバレ注意!

作画77点
世界観・設定・企画70点
ストーリー69点
演出73点
キャラ73点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

声優アイドルのプロモーションを兼ねたアニメ映画とはいえ、Studio五組が制作ということで、作画は特に心配していなかったが、予想以上にクオリティが高かったのが本音だ。キャラデザが崩れることがなかったし、動きも多い。ライブシーンのセルルック3DCGも充分すぎるほどの品質で、かなり満足感のある映像だった。

世界観・設定・企画

声優アイドル・i☆Risが、リスリスランドというファンタジーな世界で「歌」を取り戻す、というファンシーな世界観。それと同時にi☆Risがこれからもアイドルで居続けることを明示していて、ファンにとってはたまらない企画に仕上がっている。

ストーリー

ストーリーは王道の起承転結という感じで、特段難しいことはやっていないし、シンプルだったので、わかりやすかった。本作で強い感動とか社会的意義は求められることはないので「期待を裏切るストーリー」ということにはなっていない。それどころか個人的には想像以上にストーリー(とギャグ)がおもしろかった。

演出

とにかく勢いで押し切る演出が多かった。これはこれでi☆Risっぽい感じがする。少しオーバーに思えるくらいのギャグが多いが、ファンタジーはこれぐらいでちょうどいいだろう。

キャラ

i☆Risのメンバー5人が忠実に再現されている印象を受ける(と言っても僕はあまりi☆Risを知らないけど)。本人が声優を担当しているので、親和度は極めて高い。それにStudio五組の強みである「安定感のあるキャラデザ」がミックスされて、いい感じ。

音楽

主題歌の『愛 for you!』は大石昌良が作曲を担当、作詞はi☆Risのメンバーが担当している。サビまでの展開が秀逸で、サビも非常にノリがよくて、いい曲に仕上がっている。ライブを強く想定した楽曲だ。

映画館の影響もあるだろうが、全体として音量が大きめで、とにかくノリで突っ切ろうとしてる感じが潔い。

『i☆Ris the Movie』の感想

※ネタバレ注意!

試しに見たら普通におもろい

従来の僕であれば、ほぼ確実に、この手の「プロモーションに近いアニメ」は見ない。ただし最近は、アニソンフェスによく参加している関係でi☆Risのことを応援してはいた。それに加えて、今回のアニメ制作を担当するのは、堅実なイメージのあるStudio五組だったので「じゃあ見ようか」と思ったのだ。

んで、じゃあ実際に座席を予約しようと思ったとき、たまたまホームページを見かけて、それで週替わりで挿入歌が異なることを知る。僕としては『アルティメット⭐︎MAGIC』と『Make it!』がある「テンション鬼アガりルート」一択だったので、あえて1週間遅らせて、本作を視聴することにした。

実際に視聴してみると、予想以上におもしろい。約60分間という短い尺に、ライブシーンが2つあり、ラストは実写のMVが挿入。コメディパートのテンポ感もちょうどいいし、シリアスパートに本気で期待する人もいないだろうから、ストーリーはあれぐらいで十分だ。映像表現に関しては、水島努作品並みの怒涛のテンポ感で、飽きることがほとんどなかった。本当に、よく作られているし、ちゃんとお金をかけていることも伝わってくる。これをファンディスクだと考えれば、十分すぎるほどのクオリティだった。

セルルック3DCGの品質の高さ

今回の『i☆Ris the Movie』は、ぶっちゃけた話、プロモーションが目的のアニメ映画だから、品質にこだわる必要は特にない。……と思っていたが、予想以上に品質が高かったのが驚きだ。

特に印象的なのがセルルック3DCGのクオリティの高さである。セルルック3DCGの品質に定評のあるオレンジやポリゴン・ピクチュアズほどではないが、それでも、多分数年前だったら「これはすごい!」となるレベルのセルルック3DCGだと思う。これは、3DCGという性質上、コンピュータとアプリケーションの進化に伴う形で品質が向上するためで、今後はどんなアニメでも、秀逸な3DCGを制作に用いることができるようになるだろう。とりわけ、資本力のある東映アニメーションやIGポートが、その主導権を握る可能性が高く、今回の3DCGも、タツノコプロによるものだ(IGの出資を受けている)。

ファンディスクとしては最高

それにしても今回の『i☆Ris the Movie』は、ファンにとってたまらない仕上がりになっているのは間違いない。特に、デビュー当時から追いかけていた古参のファンにとっては感動的な作品に仕上がっている。

ここまで素晴らしいファンディスクが制作できたのも、i⭐︎Risのエネルギーとファンの応援があってのもので、それに加えて、優秀なプロモーションチームがバックにいるのも大きいだろう。i☆Risの立ち位置は非常におもしろく、なんだかんだで10年以上活躍しておきながら、アニソンシーンで見たときに、未だに若々しさを感じる。これからの10年も、i☆Risの活躍を影から応援しようと思う。

さいごに

やっぱり全体として、アニメのクオリティは高くなっており、特にセルルック3DCGの進化が、ライブシーンの劇的な強化に繋がっている。流石に本作みたいに60分尺の劇場アニメを制作するのはコスト的にキツいとしても、今後は声優ソングのMVで、セルルック3DCGが多用されるようになってもおかしくない。セルルック3DCGが、声優ビジネスのプロモーションを大きく変える気がする……。

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