今回は『僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ4期)』について語っていく。
『ヒロアカ』は堀越耕平による漫画(週刊少年ジャンプ)が原作で、2016年春クールにTVアニメ1期、2017年春クールから2クールかけてTVアニメ2期、2018年春クールから2クールかけてTVアニメ3期が放送された。そして2019年秋クールから2クールかけてTVアニメ4期が放送される。
アニメ制作はボンズが担当している。
『ヒロアカ4期』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 87点 |
世界観・設定・企画 | 80点 |
ストーリー | 84点 |
演出 | 84点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 85点 |
作画
作画のクオリティに大差はないが、以前にも増して、エフェクトの量が増えた気がする。『ヒロアカ4期』が放送された2019年は『鬼滅の刃』が放送され始めたタイミングで、たしかにこの頃から、エフェクトをガンガン使った戦闘シーンが増えている。『ヒロアカ』もこの流れに乗っかったのだろうか。
あと、できれば文化祭のシーンはもっとゴリゴリの作画をやってほしかったなぁと思う。やっぱりアニメファンにとって「文化祭」は特別だから。
世界観・設定・企画
オールマイトという平和の象徴が失われてからの世界で、ナイトアイが重要視する「ユーモア」や、エンデヴァーの「プルスウルトラ」がとても印象に残っている。また「個性が失われる」という新しい要素が登場したり、主要人物が死亡したりなど、以前にも増して緊張感が高くなっている。
ストーリー
正直、前作に比べると、ストーリーのテンポ感は微妙かもしれない。キャラクターが増えたことで、群像劇的になり、メインキャラを中心にストーリーが進んでいかないのが難しいところだ。もちろん、轟や爆豪の仮免補講の需要があるのはわかるけどね……。
逆にいうと、尺をたっぷり使って原作漫画のストーリーを満喫できるということでもある。
演出
オーバーホールの戦闘シーンは、TVアニメで初めて「ボンズらしい」と思える演出だらけだった。オーバーホールの個性で、背景が目まぐるしく動き、それに合わせてデクやルミリオンが躍動する。極め付けはデクが壊理ちゃんを救うシーンで、あれはもはや『エウレカ』だった。
キャラ
新キャラが多数登場し、それにあわせて1年A組の生徒たちも活躍していく感じ。そして『ヒロアカ4期』になって初めて「死」が取り上げられる。今回でいえば「オールマイトが死ぬかもしれない」というところから始まり、極め付けはナイトアイの死亡である。まあ「未来を見ることができる」とかシナリオ構成上、邪魔なのは間違いないから、早々に退場させるしかないんだけどね。
音楽
後半クールのOP『スターマーカー』が、いい意味で『ヒロアカ』っぽくなくて、めちゃくちゃ好き。それに加えて文化祭ライブの『Hero Too』も激アツだった。
『ヒロアカ4期』の感想
※ネタバレ注意!
デクが壊理を救うシーンが完全にエウレカ
個人的に『ヒロアカ4期』には4つの神回があると思っていて、その内の1つが第76話『無限100%』だ。このエピソードにおけるデクが壊理ちゃんを抱きしめて、空に打ち上がるシーンが、個人的に『交響詩編エウレカセブン』の神回「モーニング・グローリー」を彷彿とさせたのである。
実際、ボンズスタッフも結構意識していたのではないかと思う。なぜなら、そのシーンの演出の気合の入り方がすごかったからだ。カメラワークの取り方も、レントンがエウレカを優しく抱きしめるシーンに似た柔らかさを感じた。
このシーンは絶対に『エウレカ』を意識してたと思うけど、はたしてどうだろうか?
ヒーローも音楽も、人を笑顔にする
続いて、2つめの神回は第86話『垂れ流せ!文化祭!』だ。多分このエピソードが『ヒロアカ4期』のエピソードに当たると思う。
僕が思うに、アニメにとって「文化祭」は特別なものである。『涼宮ハルヒの憂鬱』の文化祭ライブを皮切りに、数多くの名シーンが文化祭から誕生した。そして今回の『垂れ流せ!文化祭!』は、ナイトアイのエピソードから続く形で、非常に意義のあるシーンに仕上がっている。耳郎響香の葛藤と、壊理ちゃんの笑顔が結びつき、凄まじい感動を生み出した。
たしかに耳郎響香の母親が言うように、ヒーローも音楽も「人を笑顔にする」という点で同じなのかもしれない。耳郎のやり方が間違ってなかったことが、壊理ちゃんの笑顔で示されるのは、感慨深いものがある。
強いおっさんはやっぱりカッコいい
そして残り2つの神回が第77話『明るい未来』と第88話『始まりの』だ。ナイトアイもエンデヴァーも、方向性は違えど、平和の象徴であるオールマイトから強い影響を受けている。この2人がそれぞれ示した「未来」は、どちらも感動的で、個人的にはエンデヴァーの不器用さに惚れた。
やっぱり強いおっさんはカッコいいなぁと思う。『ONE PIECE』の強いおっさん達もそうなんだけど、ちゃんと現役でありながら、明るい未来を子どもたちに託すおっさんはカッコいい。とりわけ親世代の方々は、ナイトアイとエンデヴァーの名シーンに思うところがあるのではないかと思う。
『ヒロアカ』のターゲット層は、デクたちヒーローの卵に憧れる少年少女と、かっこいいおっさんに憧れる親世代なのだから(それと男性キャラの女性ファン)。
さいごに
ここまで全88話の道のりだが、ついに主要人物が死亡するようになり、より一層、緊張感が増してきた。そして、やっぱりジャンプ作品なので、サクサク視聴できるのがいい。引き続き『ヒロアカ』を視聴し続けようと思う。