【無職転生2期感想】もはや異世界転生版『CLANNAD』

無職転生2期
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』のTVアニメ2期について語っていく。

『無職転生』は理不尽な孫の手による小説が原作で、2021年冬クールと秋クールの2クールでTVアニメ1期が放送される。そして2023年夏クールと2024年春クールでTVアニメ2期が放送された。

アニメ制作はスタジオバインドが担当している。

目次

『無職転生2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画88点
世界観・設定・企画83点
ストーリー83点
演出80点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

今回は、戦闘シーンよりも日常シーンの方が気合いが入っていたような気がする。前作から変わらず、異世界風の画をしっかり作り込んでいる。もともと全体的に温かい雰囲気があったけど、それが家族愛を描くシーンと相性抜群だった。

世界観・設定・企画

TVアニメ2期では、家族愛を深掘り。「異世界」という設定を使って、人生を描いているようだった。前半

また、と後半で半年もの時間を設けているので、比較的多くのリソースを制作に投下できるようになっている。

ストーリー

鬱展開の割合が多め。前半クールでは女性不信によるED、後半クールでは父親の死を描いている。『リゼロ』もそうだけど、ちゃんとした異世界転生作品は、どうも主人公をいたぶりたいらしい。笑

それにしても、テンポ感のバランスが良く、遅すぎず早すぎずと言った感じだった。

演出

エフェクトでゴリ押していないのが、好印象。可能な限り撮影効果は省いて、作画だけで表現しようとしているのが伝わってくる。

キャラ

主人公のルーデウスがちゃんと問題に向き合っている姿は、まさに正真正銘の「人生やり直し」で、これが異世界転生系のあるべき姿だと強く思った。

一夫多妻制を採用ということで、複数のヒロインを妻にできる仕組みを構築。それぞれのヒロインの家族観を描けるから、これはおもしろい取り組みかもしれない。

音楽

前半クールOP『spiral』と後半クールOP『オン・ザ・フロントライン』は、何ともJ的なロックナンバー。前半クールED『ムスビメ』と後半クールED『守りたいもの』は大原ゆい子が担当していて、大原ゆい子らしいアコースティックなメロディーが印象的だ。

んで、それよりも挿入歌の『ツバサ』のカバーがめちゃくちゃよかった。

『無職転生2期』の感想

※ネタバレ注意!

異世界転生版『CLANNAD』

今回のTVアニメ2期を視聴して、僕は『CLANNAD』を思い出した。父親との確執や出産など『無職転生』は異世界転生版『CLANNAD』みたいな作品に仕上がっている。ほぼ間違いなく、原作者やアニメスタッフは『CLANNAD』を参考にしていると思うが、それにしても『無職転生』は、異世界転生系作品のあるべき姿を貫いている。

『無職転生』のテーマは「人生やり直し」だ。しかしそれは、ただ最強になったりハーレムになったりすることを指さない。むしろ「ちゃんと問題と向き合う」という辛いことを求められる。

実際に、よくある後悔話は総じて「ちゃんと向き合えなかった」という点に尽きている。家族とちゃんと向き合えなかった。問題から逃げていた。そして何よりも、自分と向き合えなかった。

そう考えれば『無職転生』で描かれている世界は、全て”前世の男”の内省的な妄想なのかもしれない。『無職転生』は視聴者に対して『無職転生』というフィルターを提供することで、自分と向き合う機会を設けてくれているのだ。

だから『無職転生』は、人生を変えるアニメになり得ると思う。

努力は、望んだ形で報われるとは限らない

『無職転生』の後半クールと同時期に『響け!ユーフォニアム3』が放送されていて、これがまあ恐ろしいぐらいにおもしろかった。ネタバレは避けるが、簡単に言えば「努力が望んだ形で報われるとは限らない」というメッセージを、視聴者に届けてくれた。

人生は、紆余曲折の連続なのである。

物語当初、ルーデウスはEDに陥っていて、その本心は「エリスと復縁したい」だと思う。そのために色々と頑張ってきた結果、ルーデウスはシルフィと出会い、”結婚”という名の幸せを手に入れる。この時点で、エリスのことはいい意味で忘れている。

だがそんなルーデウスは、今度は母親の件について向き合うことに決めた。そして結果として、母親の命は助けることができたものの、記憶は失われており、父親であるパウロを失った。努力が、望んだ形で報われなかったのである。一方で、ロキシーという愛すべき女性との再会を果たし、ルーデウスはロキシーを第二の妻として娶ることになった。

そう考えれば、人生が思い通りに行くことなんて絶対にあり得ないことがわかる。ルーデウスは、人生をかなり頑張ってやり直しているように思うが、それでも自分が望んだ結果はついてこない。一方で、予期せぬ結果を得られることもある。

だから、仮に努力が望んだ形で報われなかったとしても、しっかりすぐに立ち直って、前を向いて自分なりに頑張っていけばいいのだ。そんな大切なことを『無職転生』は教えてくれる。人生だ!

さいごに

『無職転生』はTVアニメ3期の制作も決定している。この品質をキープしてくれるのであれば、原作小説を読まないまま、TVアニメを視聴した方が良さそうな感じがする。

制作ペース的に、早くても1年後だと思うので、気長に待とうと思う。

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