『ヒロアカ ユアネクスト』感想:若者もいつか、継承する側の人間になる

ヒロアカ劇場版第4作
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

2024年8月29日、最寄りの109シネマズのIMAXで『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』を視聴した。

僕は、この日のために『ヒロアカ』を一気見したわけで、しかも『ヒロアカ』の映画は毎度、とても素晴らしい作画を見せてくれるから強く期待していた。

んで、まあ見たわけだけど、結果としては「思ってたより……」という感じだった。

目次

『ヒロアカ ユアネクスト』の評価

※ネタバレ注意!

作画89点
世界観・設定・企画85点
ストーリー80点
演出85点
キャラ85点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

TVアニメ6期や7期の怒涛の作画に慣れてしまったため、今回の劇場版は相対的に作画のクオリティが高いとは、あまり思えなかった。また、今回はIMAXで鑑賞したのだけど、こちらもIMAX仕様になっていた感じもしなかった。少し遅れて公開された『きみの色』ほどの感動はなかった。

とはいえ、これはあくまでも相対的な話であり、全体としてクオリティは高いし『ヒロアカ』らしさも感じられた。

世界観・設定・企画

「次は、君だ……」という『ヒロアカ』屈指の名言を再利用して、「次世代」というメッセージを強調している。本作が終わったあとは、いよいよ最終決戦が始まるわけだが、そこにオールマイトはいない。デクがやらなければならない。

『ONE PIECE』もそうなのだけど、名作ジャンプ漫画は、ほぼ必ず「世代交代」の要素が入ってるんだよな。

ストーリー

ストーリーは、劇場版作品によくあるやつ。でっかい城が現れて、その中で群像劇的にバトルが描かれる。結局、ラスボスはアンナ。それと前作のように世界の命運が懸っているわけでもなかったら、そこがピンとこない。難しい。

演出

3DCGに頼りすぎないボンズらしい演出ではあったが、前作ほどの挑戦的な演出ではなかった。それと先ほども述べたように、IMAXに適した演出ではない。『鬼滅の刃』レベルのカメラワークか、音楽がないと、IMAXの迫力についていけないのかも。

キャラ

今回の主なオリジナルキャラはダークマイト、ジュリオ、アンナの3人。ジュリオは女性人気が出そう。

ダークマイトは、まさに「ザ・ヴィラン」という感じで、これまでの映画の敵役の中でもっとも薄っぺらかった。

音楽

OPとEDは令和を駆け抜けるアーティスト・Vaundyが担当。OPが『ホムンクルス』で、こっちの方が有名だけど、個人的にはEDの『Gift』の方が好き。

『ヒロアカ ユアネクスト』の感想

※ネタバレ注意!

継承される側と継承する側

『ヒロアカ』は「正義」や「愛」などの普遍的なテーマをいくつか取り扱っているが、その中で「世代交代」というのがある。

最大の敵であるオール・フォー・ワンは、事実上の不老不死。「全ては自分のために」ということで、自分第一の人生を送るためだけに、色々なものを壊してきた。一方でワン・フォー・オールは「継承」の個性である。僕たち人間が、次の子どもたちに未来を託すように。

これは『鬼滅の刃』と同じ構図だ。ラスボスの鬼舞辻無惨は不老不死で、鬼殺隊は何世代にも渡って意志を引き継いできた。『ONE PIECE』も、おそらく五老星は800年以上生きた不老不死だと考察されているが、その中でもDの意志が引き継がれてきた。

これは事実上、愛を描いている。なぜなら「子ども」は愛の結晶のようなものだからだ。自分第一で不老不死になるのではなく、愛を育んで将来を託す。こんなキリスト教的な思想が、自然と作品の中に織り込まれているのだ。

今回の『ヒロアカ』の映画のタイトルは「ユアネクスト」で「次は君だ」という意味だが、これこそまさに世代交代のメッセージである。それを勝手に勘違いした自分勝手なやつがダークマイトということなのだろうが、重要なのは、私たちもいつか、継承しなければいけないときがくるということなのである。

僕は今、24歳で、どちらかと言えば継承される側の年齢だけど、徐々に「継承する側」の人間になると考えられる。それを忘れてダークマイトみたいになるのはやめておこう。笑

IMAX問題

僕は、この映画を映画館でちゃんと見るために、色々のものを犠牲にして、『ヒロアカ』を一気見し続けたのだ。実際、『ヒロアカ』の映画はTVアニメに比べて遥かにクオリティが高く、ボンズらしい作画も見受けられる。特に前作の『ワールド ヒーローズ』に関しては、漫画的な表現が多く、カメラワークも挑戦的だったことから、ぜひとも映画館で見たい作品だった。

では、今回の『ユアネクスト』はどうだろうか?

本作は『ヒロアカ』初のIMAX、Dolby Cinemaの上映が決定されていて、最近の映画界はアニメ頼りだなぁと思いつつ、『ヒロアカ』のIMAXを密かに楽しんでいた。

しかし蓋を開けてみると、「なんだかなぁ」という感じなのである。たしかに普通におもしろいが、驚きとかサプライズが無かった。IMAXだからこそできるカメラワークもないし、音響が凄まじいわけでもない。

一応調べてみると、本作から監督が変わったようなので、その影響はある? というか、普通にTVアニメと同時並行で映画も作るっていうスケジュールに無理があるような気もする。

どちらにせよ、正直に言えば、IMAX特有のサプライズ感が、今回の『ヒロアカ』からは無かった。

さいごに

引き続きTVアニメ7期は続いているので、こちらも視聴しようと思う。そして多分、このペースだと完結編は映画でやるかも?

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