今回は『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女(以下、劇場版魔法科)』について語っていく。TVアニメの『魔法科1期』が2014年に放送され、その後徐々に原作ライトノベルの発行部数が伸びていった。そして2017年に『劇場版魔法科』が上映される。
アニメ制作会社はマッドハウスからエイトビットに変更された。エイトビットは決して評判の悪いアニメ制作会社ではないのだが、少なくとも原作を超えるような面白さを提供するアニメ制作会社ではないなという印象だった。ということで個人的にはあまり期待値は高くなかった。
『劇場版魔法科』の感想
感想①:時系列がぶっ飛びすぎて…。
『劇場版魔法科』では急に新キャラが登場してくる。2020年に放送された『魔法科2期』になって初めて登場するはずにリーナが、『劇場版魔法科』で登場するのだ。『劇場版魔法科』は原作にはないオリジナルエピソードなので、原作ファンからしたら新鮮な気持ちで楽しめたのかもしれない。だが、僕のようにアニメしか見ていない人にとっては、何が何やらチンプンカンプンなのだ。
そもそもリーナのキャラ設定もどんな風になっているのかもよく分からないので、作品に入り込むことができなかった。おそらく『劇場版魔法科』を制作する段階で、『魔法科2期』の制作が確定していたわけではなかったのだろう。仮に『魔法科2期』を制作しない場合、リーナを活躍させる場を設けることができなくなってしまう。だったら『劇場版魔法科』に登場させてしまおう、ということになったのかもしれない。
ただそんなことをしていては当然、劇場版のクオリティは落ちてしまう。個人的には妥協を一切しない最高クオリティで劇場版を制作してほしい。これは多くのファンが思っているはずだ。
感想②:電撃文庫の劇場版って微妙
本記事は2021年5月に執筆していて、『劇場版魔法科』は2020年9月頃に視聴した。ということで、実は内容をあまりにも覚えていない。それに加えて、『劇場版魔法科』が特別面白かったわけではなかったので、印象にも残っていない。ということで今回は電撃文庫の劇場版のメディアミックスについて考えてみる。
電撃文庫の代表作といえば、『SAO』『とあるシリーズ』、そして『魔法科』だと思う。この3作はどれも劇場版が制作されているのだが、『とあるシリーズ』と『魔法科』の劇場版はかなり微妙だった。どちらも原作者の描き下ろしのエピソードだったが、別にストーリーが面白くないわけではない。ただ、尺を十分に確保できていない上に、アニメ制作の時間や資金も相当絞られていたのだと思う。正直なところ、これほどのビッグタイトル作品は、ある程度のクオリティで制作してしまえば、固定ファンがグッズ目当てに周回してくれるのだろう。だからコスパ重視の製作になってしまう。
その一方で『SAO』は本当に特別扱いされていて、尺もたっぷり取っているし、明らかにお金をかけている製作っぷりだ。クオリティが高い分、ドンドン売れていくようになるので良いサイクルが回っている。
やっぱり電撃文庫のメディアミックスのやり方は、アニメ好きからしたらちょっと嫌気が差してしまう。新人作品をなるべくアニメ化するのはいいんだけど、その分ビッグタイトルのメディアミックスが疎かになってしまっているのは大きな機会損失だと思う。まずはビッグタイトルのメディアミックスを優先させてしっかり資金と人材を確保できるようになってから、新作をプロモーションしていくべきだ。言い方はちょっと良くないけど、『とあるシリーズ』も『魔法科』もメディアミックスを本格化させれば十分お金になる。盤石な体制を整えてから、新作のプロモーションをしていったほうが長期的には良いと思うのだが、どうだろう。
『劇場版魔法科』の評価
作画 | 80点 |
世界観・設定 | 75点 |
ストーリー | 65点 |
演出 | 70点 |
キャラ | 75点 |
音楽 | 80点 |
作画
作画は良かったけれども『魔法科1期』ほどではなかった感じ。アニメ制作会社が変更になった影響だと思う。
世界観・設定
世界観・設定は悪くはないのだけれども、もう少し綿密に表現してほしかった。
ストーリー
来訪者編をTVアニメ化する前にリーナを登場させる謎ストーリー。しかも全体的にフラットな展開だった。バトルアニメとしてのメリハリがイマイチな印象。
演出
演出も目新しいものがなかった。せっかくの劇場版なのに。
キャラ
僕個人として、『魔法科シリーズ』のキャラにハマれていないのでこれぐらいの点数に。
音楽
音楽担当が岩崎琢ということで、相変わらず奇抜なものだった。これは個人的には好み。主題歌はちょっと微妙だった。