今回は『耳をすませば』について語っていく。
『耳をすませば』は『りぼん』で連載された漫画が原作で、これがスタジオジブリによってアニメ化され、1995年に劇場版が上映された。
監督は近藤喜文が担当した。
『耳をすませば』の感想
ネタバレしてません。
「ザ・青春」な2つのストーリー
『耳をすませば』は2つの視点で鑑賞できると思う。1つめは、恋愛ストーリーだ。これは言うまでもないと思うが、雫と聖司の2人を中心に、恋愛ストーリーが描かれている。
そしてもう1つは、将来に向き合うストーリーだ。例えば聖司はバイオリン職人を目指すことを宣言しており、それに影響されて雫も小説家を目指す。また、その対比として、雫の姉である汐は将来が決まらないから大学にやりたいことを探しているし、雫の親友である夕子はひとまず進学するために勉強を頑張っている。
バイオリン職人や小説家というのは、もちろん普通の生き方とは言えないだろう。だからこそ雫は聖司をヨリドコロにしようとする。これがなんとも青春って感じなのだ。個人的にこういうストーリーがめちゃくちゃ好きなんだよなぁ。
横断歩道を渡らないで道路を跨ぐシーン
『耳をすませば』の舞台は、多摩や武蔵野などの西東京だ。東京23区ほどではないにしても、建物が立ち並び、交通量の多い地域であることは間違いない。それでいてどこかのどかな雰囲気も流れているエリアでもある。
これはジブリ作品としては、割と異例なケースだと思う。ジブリといえば『となりのトトロ』や『もののけ姫』のように、自然を描くことが多いからだ。それでいうと『耳をすませば』は都会を描いている作品だといえる。
そして特に印象的だったのが道路を跨ぐシーンだ。『耳をすませば』では、横断歩道ではなく普通に道路を横切るシーンが何回も登場する。その都度「あ、危ない!」と思わせる場面だったりもする。
確かに西東京エリアの道路って中途半端だ。交通量がそこまで多くないのに信号機が設置されたりして、イライラしたりする。だから僕もよく、信号機とか横断歩道とか関係なしに道路を横切る。これって当たり前のことだけど、それをアニメに落とし込むのがジブリの真骨頂。このシーンだけでリアリティが一気に増している。
『耳をすませば』の評価
※個人的な評価です
作画 | 90点 |
世界観・設定 | 85点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 85点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 85点 |
作画
しっかりフルアニメーションで、車や電車の動きがリアルなのが良かった。現代アニメだったら迷わず3DCGを使うところだけど、当時は手描きが当たり前。良い味が出てる。
世界観・設定
西東京の雰囲気を上手く表現しているなぁと思う。23区ほど都会でもないけれど栄えているエリアで、それでいて入り組んだ街並みやちょっとした自然があったりする。ジブリ作品でコンビニが登場するのって中々ない。
ストーリー
序盤・中盤はめちゃくちゃ面白かったけれど、終盤はちょっと駆け足だったかなぁと思う。特に、雫と聖司がなぜお互いのことを好きになったのかは見えづらかった。まあ、あえて見せなかったというか、それを描くことが不必要だった可能性もあるけれど。
演出
ジブリ作品でキュンキュンするとは思わなかった。ラストシーンが凄く印象的だ。それと、『カントリーロード』のセッションのシーンは良かった。音楽を趣味にしたいなぁと思わせる。
キャラ
月島雫が中々可愛い。天沢聖司も、女子中学生が好きそうなキャラだ。月島家の家族も一人一人が良い個性をしている。
音楽
『耳をすませば』といえば、やはり『カントリーロード』だ。エンディングの方は、雫が和訳したことになってると思うけど、和訳のセンスが抜群すぎる。
さいごに
本記事を執筆している最中に知ったことだけれど、『耳をすませば』の実写映画が制作されるらしい。これが普通の実写映画だったら「まあいつも通り駄作なんだろうな」と思うけれど、今回は原作の10年後を描くという設定なので、中々アツい感じになっている。まあ、僕は多分みないと思うけれど、気になる方はぜひ視聴してみてほしい。
また、作中で雫が執筆していた小説がモデルとなっている作品が『猫の恩返し』だ。直接の続編ではないものの、『耳をすませば』の設定が一部引き継がれたりしている。こちらも是非視聴してみてほしい。
https://terukun.blog/neko-ongaeshi/