今回は『ハウルの動く城』について語っていく。
『ハウルの動く城』は2004年に上映された長編アニメーション映画で、イギリスのファンタジー小説『魔法使いハウルと火の悪魔』が原作となっている。
アニメ制作はスタジオジブリ、監督は宮崎駿が担当した。
『ハウルの動く城』の感想
ネタバレ注意!
ストーリーが難解……というか無茶苦茶
『ハウルの動く城』は、魔女の呪いによって90歳の老婆となったヒロインのソフィーと、天才魔法使いだけど臆病な青年のハウルの物語だ。そして最終的に、この2人が結ばれる形でエンドとなる。
まず全体的に、展開がかなり複雑だ。ソフィーは老婆になる呪いをかけられてしまうも、おそらくこの呪いは最終的に解かれていない。けれどもハッピーエンド的な扱いになっている。
それにハウルの師匠であるサリマンの立ち位置もよく分からない。サリマンが敵役なのか味方役なのかが分かりづらいのだ。僕の理解力がないだけかもしれないけど、他にも飲み込みづらい部分がたくさんある。
また、ソフィーの外見が変化する理由も語られてなかった。一応ソフィーは90歳の老婆になったはずなのだが、60歳ぐらいになったりと若返ったりすることがある。最初は「キャラデザのミス?」とか思ってたけど、明らかに若くなっているので、意図的なのは間違いない。
ただ、精神面での変化が見た目に影響しているのは間違いない。ソフィーが自分らしく行動している時は若返っていて、逆に自信を無くしているときは老婆になるからだ。
どちらにせよ『ハウルの動く城』のストーリーは、論理性が整っておらず、勢いとノリで展開されている感じはする。まあそれはそれで普通に面白いので、全然問題ないのだけれどね。
自分を取り戻す物語
、『ハウルの動く城』は自分を取り戻す物語であることは、ほぼ間違いない。社会に呑まれることなく、自分自身の手で人生を切り開く。これが『ハウルの動く城』のテーマだと思う。
根拠としては、やはり冒頭のシーン。ソフィーの妹であるレティーが、ソフィーに対して「自分の人生を生きなよ」みたいな発言をするのだ。そこからソフィーは、ハウルとの出会いで運命が変わることになる。
また、ハウルも実は臆病者で、自信を持てないでいた。しかしそれも、守るべきもの(ソフィー)ができたことで自信を持つようになり、自分の命をかけてでも戦いに身を投じるようになったのだ。
やはり『ハウルの動く城』は、自分を取り戻す物語だったといえる。僕たちも社会に呑まれて自分を見失っていないか、自分を見つめ直す必要があるだろう。
『ハウルの動く城』の評価
※個人的な評価です
作画 | 95点 |
世界観・設定 | 85点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 80点 |
キャラ | 80点 |
音楽 | 80点 |
作画
『ハウルの動く城』のタイトルにもなっている城の動き方が凄い。単純に作画枚数を増やすだけではなく、独自の感覚で動きを付けている。とても奇妙な動きだが、それが僕たち視聴者を作品に引き込む。
世界観・設定
やはり城の設定が作り込まれているように感じる。多分、実際に内部がどのような構造になっているのかも設計しているはずだ。また、魔法使いっていう響きがもうかっこいい。魔法使いって久しぶりに聞いた。異世界転生系だと魔道士って呼ぶことが多いから尚更。
ストーリー
先ほども述べた通り、ストーリーはめちゃくちゃだと思う。宮崎監督は絵コンテを切りながら脚本を構想するようだけれど、そのデメリットが反映されてしまった感じはある。けれども勢いはあるので、十分視聴できるクオリティだし、なんなら面白い。
演出
演出といえるか分からないけど、声優の演技が抜群に上手い。特にハウル(CV.木村拓哉)が適役すぎる。よく芸能人が声優起用されることで炎上することがあるけれど、ジブリ作品の場合、しっかり味が出てるんだよね。ただのプロモーション出演というわけではないのだ。
キャラ
ジブリ作品が男性キャラの弱さを描くのは珍しいと思う。『ハウルの動く城』の場合、まさにハウルの弱さが剥き出しになっていた。こういうのは女性ファンが大好きな展開だよね。実際、ハウルは相当人気だと思う。
音楽
いつも通りのジブリクオリティ。ファンタジーRPGに登場するような幻想的かつ広大な劇伴だった。
さいごに
『ハウルの動く城』は、ジブリ作品で初めての海外小説が原作となった作品だ。この後に『ゲド戦記』が上映されるが、これも海外小説が原作となっている。
海外のファンタジー小説は、日本のファンタジー小説よりも欧州の世界観をしっかり再現している感じがする(そりゃ当たり前)。濃密な異世界転生作品を執筆したいのであれば、まずは海外ファンタジー小説を嗜むところから始めるべきなのかもしれない。