今回は『ぼくらのよあけ』について語っていこうと思う。
『ぼくらのよあけ』は、『月刊アフタヌーン』で連載されていた漫画が原作だ。そして2022年10月に、アニメーション映画が公開される。
アニメ制作は、ゼロジーが担当した。
『ぼくらのよあけ』の感想
ネタバレ注意!
『雨を告げる漂流団地』と似てる
同年に公開されたアニメ映画である『雨を告げる漂流団地』とよく似ている。というのが『ぼくらのよあけ』に対する僕の第一印象だった。
イメージカラーが”青”だし、団地が舞台になっているからだ。団地って中々被らないテーマだと思うから、尚更そう感じる。
そして『ぼくらのよあけ』と『雨を告げる漂流団地』であれば、後者の方が全体的にクオリティが高いと思う。作画・ストーリー・演出・音楽、そのどれもが『雨を告げる漂流団地』の方が優れている。
『ぼくらのよあけ』はストーリーが微妙だったと思う。心情の変化に対する動機が弱かったからだ。例えば主人公の母親は当初、「団地に入るな!」と厳しく注意していた。しかしいつの間にか「まあ今回は目を瞑ろう」という感じに、子どもたちに少しばかり無茶なことをやらせていた。
こんな感じの心情のブレが、他にもいくつか見受けられた。もう少し強い根拠が必要だったのではないかと思う。
「嘘」がテーマ
少しメタ的に『ぼくらのよあけ』を見ていくと「嘘」がテーマになっていることがわかると思う。実際、『ぼくらのよあけ』では様々なキャラが嘘をついていた。
そしてそう考えると、登場人物たちの心情に軸がないのも納得できてしまう。制作陣がこれを意図していたのかは定かではない。だが実際、人間は常に変わり続けるし、流れるように嘘をつくものだ。
また、ここで取り上げる「嘘」は、約束を違えることも含まれる。
そういえば、いざ子どもの頃を振り返ってみると、「約束」をとても気にしてた気がするなぁ。例えば、親が「休日は遊びに出かけよう」って言ってたのに、なぜか連れてくれなかったとき。僕はとても反抗していた気がする。まあ今振り返ってみると、単純に親が仕事で疲れてたからだと思うけど。
だからもし僕が親の立場になったら、子どもに対する約束はちゃんと守ろうと思います。子どもだからって、約束を軽視するのはよくない。
『ぼくらのよあけ』の評価
作画 | 80点 |
世界観・設定 | 70点 |
ストーリー | 68点 |
演出 | 65点 |
キャラ | 70点 |
音楽 | 50点 |
作画
クオリティは思ってたよりも普通だった。それはあくまでも期待値より低いというだけで、クオリティ自体は普通に高い。特に背景やCGが良かった。キャラの動きは、まあ普通。
世界観・設定
現代的なジュナイブルという感じ。大人向けというよりは子ども向けの設定だと思う。
ストーリー
ストーリーは120分という長尺の割に、論理的な部分が作り込まれていなかったように思う。特に、キャラの心情がブレすぎている。態度が急変するので、どうしてもそこが気になってしまい、中々のめり込めなかった。
演出
個人的には、岸姉弟の家族愛を見せつけてくるシーンの演出が好き。ここはもっと深掘りしても良かった気がするなぁ。
キャラ
「小学生である必要はあるのだろうか?」と思ってしまったけど、これはおそらく親目線のストーリーも加えたいからだと思われる。
それと全体的にキャラは良かった。心情がビタっと決まってれば尚良かったんだけどね。
音楽
音楽は普通。特に印象に残った部分もなかったかな……。
さいごに
『ぼくらのよあけ』は正直のところ、なんともいえないクオリティだった。面白いことには面白いけど、1,900円払う価値を感じる人は、そう多くないだろう。個人的には、もう少し挑戦的なアニメ表現を試みてよかったと思う。音楽をゴリゴリの電子音楽にしてみたり、ね。
どちらにせよ、保守的なアニメ映画に、僕はそこまで価値を感じない。原作漫画の売り上げ向上に繋がるのかも怪しいところだ。