【ルギア爆誕感想】人間の所有欲について考えさせられるポケモン映画

ルギア爆誕
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕(以下、ルギア爆誕)』について語っていく。

劇場版第2作となる『ルギア爆誕』は1999年夏に公開。アニメ制作はOLMが担当した。

目次

『ルギア爆誕』の評価

※ネタバレ注意!

作画82点
世界観・設定65点
ストーリー60点
演出70点
キャラ75点
音楽75点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティは高いと思う。『ルギア爆誕』もまだセルアニメだったわけで、それであれだけのアクションシーンを描いているのは評価すべきだろう。特に海のシーンは圧巻。

また、『ルギア爆誕』では3DCGが多用されていた。しかし3DCGに関していえば、当時のピクサー映画の衝撃が残っている時期だっただろうから、それほど大したことはなかったのかもしれない。

世界観・設定

『ミュウツーの逆襲』よりも、メッセージ性は薄い。アクションに重きを置いているためだろう。ただ一応、敵キャラであるジラルダンで、所有欲の愚かさが描かれてはいる。

ストーリー

全体的なストーリーは微妙だった。『ミュウツーの逆襲』ほどのメッセージ性がない。また、「世界を救う」系のストーリーの割には、かなりあっさりしている。それに『ルギア爆誕』の中心キャラと言っても過言ではないルギアが、そこまで活躍しているように見えなかった。『ルギア爆誕』のヒロインであるフルーラの印象も薄い。大人が楽しめるアニメという感じではなかった。

その一方で『ミュウツーの逆襲』よりもダイナミックなストーリーで、アクションシーンも多め。まだ発売されていなかった『ポケモン金銀』のプロモーションだと考えれば、キッズ向けに重点を置いたとみていいだろう。そう考えると『ルギア爆誕』のストーリーは、たしかにキッズ受けが良さそうだ。

演出

やはりアクションシーンの演出が良かった。特に嵐の中での海で船を出すシーンは「セル画でどうやって表現してるんだろう」と考えさせられた。

キャラ

今回のゲストポケモンであるヤドキングは、なんとダウンタウンの浜田雅功らしい。声を聞いただけでは全然気づかなかった。笑

先ほども述べた通り、やはりルギアの印象が薄いのが問題。それに全体的に、ゲストキャラの印象が薄い。ヤドキング以外。

音楽

まさかの安室奈美恵。笑 作曲は小室哲哉が担当。時代を感じさせるなぁ。でも『ルギア爆誕』との親和性が高いかと問われると、かなり微妙だ。

『ルギア爆誕』の感想

※ネタバレ注意!

『ミュウツーの逆襲』と比べると……

『ミュウツーの逆襲』と比べると、質が一気に落ちてしまったように思える。そもそも僕は、こういうキッズ向けアニメは、二面性が面白いと個人的には考えている。表面的にはキッズが好きそうなアクションシーンを大量に盛り込み、その裏側で大人たちにしかわからないメッセージ性のあるシナリオを挿入する。この二面性が、キッズ向けアニメの醍醐味だと僕は思っている。

それでいくと『ミュウツーの逆襲』は、まさに二面性の強い作品だった。一方の『ルギア爆誕』は、かなりキッズに寄せていて、付き添いの大人たちが寝落ちしたであろうことは容易に想像できる。

とはいえ、アクションシーンと3DCGに関しては『ミュウツーの逆襲』からかなりパワーアップしていた。1999年ごろは、おそらく深夜アニメ絶不調の時期(エヴァ以外)で、多くのリソースがポケモン映画に投下されていたことがわかる。僕は1990年代のアニメをほとんど視聴してこなかったのだけれど、『ルギア爆誕』を始めとするポケモン映画のクオリティはかなり高かったのではないだろうか。

人間のコレクション欲は怖い

『ルギア爆誕』から数少ないメッセージを読み取ろうと思うと、必然的にジラルダンの言動に注目がいく。ジラルダンはおそらく大富豪で、ルギアを手に入れるためにファイヤーなどの伝説のポケモンを乱獲していた。

それでまあ、このことからわかることと言えば、人間のコレクション欲(所有欲)は怖いということだ。特に僕がこの記事を書いている2023年3月現在は、モノを所有する必要性が非常に薄まっている。例えばDVDを所有する必要はなく、インターネットさえあれば動画配信サービスにログインして、いつでも映画鑑賞できる。インターネットの登場によって、モノを共有することが容易くなったのだ。

そしてモノの所有欲を切り捨てれば、必然的にモノに執着することは無くなり、自分の人生を歩むことができる。例えばマイホームやマイカーにこだわりのない人は、家や車はレンタルやサブスクリプションを利用し、余ったお金と自由で、いろんなことにチャレンジしていくだろう。

それでいくと『ルギア爆誕』で描かれる所有欲は、ちょっとしたメタ要素が含まれている。ポケモントレーナーはポケモンを所有しようとするではないか! 『ミュウツーの逆襲』でも同じことが言えるけれど、ポケモン映画は『ポケモン』の軸と真逆のことを主張することがある。これをもし意図的にそうしているのであれば相当面白いけど、はたして実態はどうなのだろうか。

さいごに

『ルギア爆誕』の次は『結晶塔の帝王 エンテイ』だ。こちらもストーリーを全然覚えていないので、非常に楽しみ。視聴次第、ブログにしていこうと思う。

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