今回は『劇場版 響け!ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜(ユーフォ2期総集編)』について語っていく。
『ユーフォ』は宝島社が刊行している小説が原作で、2015年春クールにTVアニメ1期、2016年秋クールにTVアニメ2期が放送された。そして2017年9月に『ユーフォ2期総集編』が劇場公開される。
アニメ制作は京都アニメーションが担当した。
『ユーフォ2期総集編』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 90点 |
世界観・設定 | 85点 |
ストーリー | 86点 |
演出 | 90点 |
キャラ | 90点 |
音楽 | 85点 |
作画
今回の『ユーフォ2期総集編』では、新規カットがかなり挿入されていたように感じる。総集編でも普通に楽しめるのが京アニクオリティ。
また『ユーフォ1期総集編』と同様に、演奏シーンでの金管楽器の反射など、作画がワンランク進化していた。
世界観・設定
総集編なので世界観や設定に大きな違いはないが、あすか先輩の設定がより深掘りされていた。また、久美子とあすか先輩の関係性だけが描かれているので、全体的にスッキリした世界観になっている。
ストーリー
TVアニメ2期は「2年生編」「高坂麗奈と滝先生編」「田中あすか編」の3つのストーリーが同時進行していたように思う。その中で『ユーフォ2期総集編』では「田中あすか編」だけにフォーカスしている。ということで、ストーリーがめちゃくちゃわかりやすくなっていた。
演出
総集編なので演出もクソもないが、やはりあすか先輩と久美子を深掘りしているのがいい。ただ、河川敷で『響け!ユーフォニアム』を演奏したシーンをラストに回した演出は素敵だった。
キャラ
あすか先輩がとにかく深掘りされた。僕はメガネ・黒髪ロング・巨乳・優等生のキャラがあまり好きではないのだけれど、あすか先輩だけは例外。めちゃくちゃに良い。
音楽
音楽はいつも通りめちゃくちゃ良かった。
『ユーフォ2期総集編』の感想
※ネタバレ注意!
最高すぎる田中あすか先輩
通常、1年生を主人公にした作品は、大抵の場合、1年生のキャラクターが深掘りされるものだと思う。特に『ユーフォ』みたいに高校3年間を描こうとしている作品なら尚更だろう。『ユーフォ』で言うと、久美子×麗奈が最優先で深掘りされるのが一般的である。
だが『ユーフォ』で最も深掘りされたのは久美子×あすか先輩だった。『響け!ユーフォニアム』のタイトル回収を使ってしまうのだから、これは間違いない。
ということは『ユーフォ』は1年生×3年生を深掘りしていたということになる。そんな作品って、他にはないのではないだろうか。
そして『ユーフォ2期総集編』では、田中あすか先輩が最高すぎた。完璧だと思っていた先輩も、所詮は1人の女子高生なのだ。完璧のように見えて、実はそうではないあすか先輩の素に深掘りすることができたのが、久美子だった。
久美子は、やはり他の人とは少し違う。女子高生にありがちな表面上の付き合いだけでなく、本質的なところに攻めていく感じが良い。だからあすか先輩も「黄前ちゃんだったら……」ということで、少しずつ素を出していったのかもしれない。
ユーフォニアムという楽器
『ユーフォ2期総集編』で印象的だったのは「ユーフォが好きかどうか?」というテーマだった。文化祭の時にあすか先輩が「ユーフォ好き?」と質問したのに対して、久美子は少し怖気付いてしまった。しかし全国大会の後で久美子は自信を持って「好きです!」と言うようになった。そして言わずもがな、あすか先輩もユーフォが大好きである。
そんな中、河川敷でのシーンであすか先輩は久美子のことを「ユーフォっぽい」と表現した。
「ユーフォっぽい」とは一体何なのだろうか。僕は吹奏楽をやっていたわけではないし、ユーフォニアムのことなどよく知らない。ということで、ちょっと調べてみた。
まず言わずもがなユーフォニアムは低音パートの金管楽器なのだが、実は音域的にはトロンボーン(秀一の楽器)とほとんど同じらしい。とはいえ、トランペットなどの高音域の楽器や、様々な表現ができるトロンボーンなどに比べると、ユーフォニアムが地味なのは否めない。それでいてチューバほどの存在感もないのだから、そう考えるとユーフォニアムは最もマイナーな楽器と言えてしまうのかも。
しかし吹奏楽部において、必要不可欠な楽器であることは間違いない。また、中低音域の楽器なので、主旋律と伴奏のどちらにも対応できてしまう。いわゆる何でも屋なのだ。
それでいくと久美子が「ユーフォっぽい」のは何となく合点がいく。あすか先輩の件、2年生の件、滝先生の件など、久美子はいつの間にか、あらゆるトラブルに手を出し、なんだかんだで解決に導いていた。一見すると地味なのだけれど、実は何でもできる久美子は、まさにユーフォっぽいと言える。
さいごに
『ユーフォ2期総集編』を視聴できたので、心置きなく久美子2年生編を楽しむことができる。そして、まずは『リズと青い鳥』だ。山田尚子の演出がゴリゴリに光っている作品だと聞いているので、めちゃくちゃ楽しみである。視聴次第、感想にしていこうと思う。