『バカテス1期』感想:夜中にこっそり起きて見る深夜アニメの代表作

バカとテストと召喚獣
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『バカとテストと召喚獣(以下、バカテス1期)』について語っていく。

先日、『ぐらんぶる』を視聴したのだが、その際に原作者が『バカテス』と同じことを知った。ということで早速視聴してみた次第である。

なお、『バカテス1期』のアニメ制作はSILVER LINK.が担当している。

目次

『バカテス1期』の評価

※ネタバレ注意!

作画85点
世界観・設定・企画80点
ストーリー83点
演出88点
キャラ84点
音楽90点
※個人的な評価です

作画

少なくとも、僕が視聴してきたSILVER LINK.作品の中で、クオリティが高いことは間違いない。予算もちゃんと投下されているからか、フルアニメーションのシーンも見受けられた。

多分、本作の監督を務める大沼心さんは、SILVER LINK.のエース監督なのだと思う。シャフト作品の制作に携わっていたことから、画面構成も超独特。映像を素で楽しめた。

世界観・設定・企画

タイトルだけ見ると「能力系バトル?」と思いがちだが、実際はコメディ作品。テストで戦うシーンも少なく、ギャグ展開が多い。

また、全体を通してギャルゲーらしさが感じられる。監督が「美少女ゲーム好き」ということもあるし、2010年放送という時代性もあると思う。

総じて「これぞライトノベル!」って感じだし、深夜アニメって感じもする。

ストーリー

基本的に1話完結が続く。一応、本作のメインパートは「試験召喚戦争」にあるのだが、エピソードのほとんどが日常パート。僕は原作を読んだことはないが、どうやら相当にストーリーをイジったらしい。個人的に、この判断は成功だと思っていて、独特な雰囲気を作り出すことに成功したと思う。

最初はギャグのノリについていけなかったが、すぐ慣れた。

演出

シャフト出身監督ということもあり、演出のクオリティーはとても高かったと思う。2000年代のギャルゲー原作アニメを彷彿とさせる演出も見受けられたし、画面構成の独特なものが多く、飽きることがなかった。なんだかんだアニメーションにしかできない演出が満載だったと思う。

キャラ

2010年制作ということで、ゼロ年代のギャルゲーらしさと2010年代の繊細めな雰囲気がちょうど良くミックスされている。瑞希は『涼宮ハルヒの憂鬱』のみくるちゃんみたいで可愛らしいし、美波の声質もクセになる。

それと女性ファンをターゲットにしているのか、BL要素や中性的な要素が強くなっている。

音楽

OP『Perfect-area complete!』は作詞が畑亜貴、作曲・編曲が前山田健一という超絶ヤバい曲。そしてやっぱり曲もめちゃくちゃ良くて、僕も目覚ましアラームとして活用させてもらっている。てか改めて聴くと歌詞のリズム感が凄すぎる。

ED『バカ・ゴー・ホーム』は『有頂天家族』でも有名なmilktubの楽曲で、『バカテス』のバカな雰囲気に完璧にマッチしている。

『バカテス1期』の感想

※ネタバレ注意!

圧倒的「雰囲気」

僕は2020年の新型コロナ禍、大学生のときに、いわゆる「深夜アニメ」を見るようになった。だが、それまでに「深夜アニメ」に全く触れてこなかったわけではなかった。小学生の頃、漫画の立ち読みでお世話になったBOOK OFFでは『涼宮ハルヒの〇〇』みたいな本が羅列されているのを目にしたし、友人が『まどマギ』のほむらちゃんにハマっている様子を隣で見ていた。

「深夜アニメは中学生の頃に見るのが一番楽しい」という言説を聞いたことがある。僕が中学生の頃(2012年から2015年)と言えば、『SAO』や『ノゲノラ』を始めとするラノベ作品の全盛期。だからなのか、2010年前後のラノベ原作アニメから、どこか背徳的な、それでいて懐かしい雰囲気を感じる。

そして、その最たる例が『バカテス』だった。

『バカテス』のストーリー展開や映像表現は、割とハチャメチャである。メッセージ性があるわけでもない。でも、何となく雰囲気が良いから、ずっと見ていられる。夜中にこっそり起きて、クラスメイトにも内緒にしながら見るアニメとしては、『バカテス』は最高の作品だと思う。

具体的には、ギャルゲーから引き継がれた「萌え」と、当時のラノベ作品の「現代性」が上手くミックスされているのが特徴だと感じた。それでいて映像表現には、マニアが思わず納得するほどの「面白さ」がある。質がちゃんと高いから、飽きることがない。

瑞稀ちゃんと美南ちゃん

『バカテス』のヒロインの姫路瑞希と島田美波は、個人的に悩みどころでして、どっちが良いか決められない!

まあ個人的な所感を置いておいても、この2人のヒロインは、当時の時代感で見ても、割と典型的なキャラクターではある。瑞希ちゃんは優等生タイプだけどドジっ子天然で、美波ちゃんは王道ツンデレの暴力系。出尽くされたキャラではあるが、キャラデザがいいし、声優の声質も少しクセがあって耳に残るので、イメージに残りやすい。

それに「召喚獣」という名目で、デフォルメキャラバージョンが登場するのも、今思うと面白い演出だと思う。

僕は、ノーマルバージョンよりもデフォルメバージョンの方が好きで、ごく稀に買うキーホルダーも、基本的にはデフォルメキャラバージョンを購入する。そういうグッズビジネス的な観点でも見ても、よく作られている作品だなぁと思う。

男子高校生のバカ騒ぎは楽しい

『ぐらんぶる』きっかけで『バカテス』を視聴し始めた僕としては、やはり男どものバカ騒ぎに注目したい。『バカテス』は可愛らしいヒロインが目立つが、シナリオの軸になっているのは男4人のバカ騒ぎである。

もちろん、この男4人には、木下秀吉も含まれる。というか、普段は女として扱われる秀吉が、男で集まるとちゃんとバカ騒ぎに巻き込まれるから面白いのだ。

『バカテス』は『SAO』とか見たいに達観しているわけではなく、ちゃんとバカをやっていて、しかもそれを終始貫くから、見ていて安心感があるのだと思う。この安心感に、ちょっとだけ恋愛要素のスパイスを加えてあげれば、中学生や高校生のアニメファンは、一瞬にしてハマってしまうだろう。

青春パンクの風味があるmilktubの『バカ・ゴー・ホーム』も、『バカテス』のバカ騒ぎに一役買っている感じがある。

さいごに

『SAO』が放送される前の、2010年前後のラノベ原作アニメは、めちゃくちゃ「深夜アニメ!」って感じがするから、有名どころは全部視聴したいと考えている。そういう意味で『バカテス』は、最も典型的な作品だと言える。

とりあえず続編のOVAとTVアニメ2期を視聴しようと思います。

著:井上 堅二, イラスト:葉賀 ユイ
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