今回は『バカとテストと召喚獣にっ!(以下、バカテス2期)』について語っていく。
『バカテス』は井上堅二によるライトノベルが原作で、2010年冬クールに『バカテス1期』が放送。2011年夏クールに『バカテス2期』が放送された。
アニメ制作はSILVER LINK.が担当している。
『バカテス2期』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 85点 |
世界観・設定・企画 | 80点 |
ストーリー | 85点 |
演出 | 87点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 85点 |
作画
相変わらず作画はめちゃくちゃいい。というか『バカテス1期』よりも挑戦的になった気がする。監督の大沼心さんはシャフトで作品を監督していた経験があり、それが本作にもちゃんと生かされている。僕自身、『バカテス』の雰囲気やテンポ感に慣れてきたこともあって、自然な形で映像を楽しめるようになった。
世界観・設定・企画
『バカテス2期』はラブコメ要素が非常に強くなっているが、やはり最後は「バカ」で締めくくる構成になっている。それにしても「いかにもライトノベル!」って感じがしているのが、当時の深夜アニメらしいなぁと思う。
ストーリー
ストーリーのテンポ感は以前にも増して速くなっていると思う。実際、今回も相当なボリュームを1クールのアニメに落とし込んだっぽい。でも、映像表現がおもしろいし、そもそもストーリーの中身を気にしなくてはいけないジャンルではないので、特に問題はない。
演出
シャフトっぽい演出が盛り沢山。大沼心監督は『防振り』や『魔王学院』でもディレクターを務めているようだけど、ここまで挑戦的じゃなかったような……。
キャラ
ラブコメ展開が続出ということで、やはり姫路さんと美波がいい感じ。最初は姫路さんの方が好きだったけど、段々と美波に寄ってきている。明久のかっこいい一面が見れたのもヨシ。
それと『バカテス2期』では、回想シーンを通して各キャラクターのバックグラウンドが描かれているのも特徴だと思う。
音楽
今回の『バカテス2期』の主題歌は、前回の『Perfect-area complete!』ほどの衝撃はないにしても、中々にいい。
OP『君+謎+私でJUMP!!』は作曲・編曲でI’veの高橋一矢が参加しており、たしかにビジュアルアーツの雰囲気を感じさせられる楽曲で、若干ギャルゲーの雰囲気も残る『バカテス』との相性は良かった。また、EDの『エウレカベイビー』は前山田健一が作曲・編曲ということで、こちらも電波ソング調のメロディーとなっている。特にイントロとサビ終わりのリズムに中毒性がある。
『バカテス2期』の感想
※ネタバレ注意!
ラブコメ展開がいい感じ
思えば最近はラブコメなんてほとんど見てなかったから、『バカテス2期』は久しぶりのラブコメ系ライトノベルということになる。とは言え、やはり基本的にはギャグアニメなので、全体として安心して見ていられる。
個人的には美波回が好きだった。美波が勘違いしてデレッデレになるところから、明久の本当の魅力に気づくまでのツンツン展開も含めて、かなり良い感じのツンデレ具合だ。
これ、中学生や高校生の時に見たら、間違いなくハマっていたに違いない。少なくとも僕であれば原作小説を一気読みするだろう。これぐらいライトなラブコメが、なんだかんだで1番現実逃避的なんだよな。
映像表現について
ショートアニメが普及する現代社会では、多くの人々が長尺の動画を見られなくなっている。ちょっとつまらなければすぐに次の動画に移ったり早送りしたりする。そんな時代では、刺激的な映像が求められるわけで、その代表例が『ぼっち・ざ・ろっく!』だ。『ぼざろ』は、とにかく派手な演出が多く、視聴者を飽きさせないためのギミックを連続で仕掛けている。これぐらいしないと、もう視聴者の気を引くことはできない。近年はアニメの視聴回数が伸びているそうだが、その実態は「ながら視聴」や「倍速視聴」ではないだろうか。つまり、ただストーリーを情報として取り込んでいるだけである。
一方で『バカテス』は、2010年代初めの時点で、現代アニメに匹敵する情報量となっている。映像のテンポ感が非常に速く、エキセントリックなカット割りを駆使して、物語がどんどん進んでいく。少なくとも僕は本作を倍速視聴で見ようとは思わない。また、このテンポ感の速いストーリー構成は、原作を消化する上でも有効だ。『バカテス』はTVアニメ1期で複雑なアニメ化をやってしまったため、そのツケがTVアニメ2期に回ってきているのだが、それでも十分に視聴できる構成になっているのも映像表現によるところが大きい。
当然、これはシャフト作品の監督経験があるアニメ監督の大沼心による影響が大きいと考えられる。大沼監督は、ここから『プリズマ⭐︎イリヤ』『のうりん』『落第騎士の英雄譚』『防振り』『魔王学院』など、SILVER LINK.作品の中でも名作を扱うようになってくる。ちょっと追いかけてみようかな……。
さいごに
『バカテス』のTVアニメはこれで終了……。放送終了から10年以上経過しているので、流石に続編アニメが制作されることはないだろう。
正直、原作小説を読むかどうかはかなり悩んでいる。TVアニメと同じコミカルな雰囲気が原作小説にもあるのであれば、ぜひ読んでみたいと思う。
実際のところ、井上 堅二先生は『ぐらんぶる』という超名作を作り出しているわけだから、優秀なクリエイターなのだと思う。
『ぐらんぶる』を見たことがない人は、ぜひ視聴してほしい!
