【バケモノの子感想】胸の中の剣を振れ!

バケモノの子

今回は『バケモノの子』について語っていく。

『バケモノの子』は2015年に上映された長編アニメーション映画だ。アニメ制作はスタジオ地図、監督は細田守が担当した。

目次

『バケモノの子』の感想

ネタバレ注意!

環境をどう捉えて、どう対応していくのか

子どもというのは、環境に大きく影響する生き物だ。例えば父親が野球好きで子どもに野球をやらせてみたり、お金持ちの家庭だから小学校から私立に所属したりする。そしておそらく多くの人は、環境に流されるままに人生を歩んでいく。

その一方で、「今いる環境から離れたい!」と思う子どももいる。早く実家から出たい、という人はこのタイプだろう。しかし現実問題として、高校生の段階で一人暮らしするのは少々無理がある。だから多くの人は、楓のように大学生や社会人まで辛抱して、そこから自分の道を歩んでいくことだろう。

そして『バケモノの子』では、蓮と一郎彦の対比が興味深い。蓮は環境に適応する道を選んだが、一郎彦は環境に呑み込まれてしまうのだ。

そもそも環境そのものを変えることは非常に難しい。それなのに環境のせいにしていても、しょうがないのだ。だが、環境そのものを変えることが難しくても、自分のいる環境をチェンジすることはできる。だからつまり、環境のせいにするのはお門違いで、結局は自分の意志で環境を変えられるのだから、自己責任の問題なのだ。

胸の中に剣を宿す

『バケモノの子』のクライマックスシーンは、熊徹が付喪神に転生して、蓮の胸の中に剣が宿るシーンだろう。これは作中序盤で熊徹が「胸の中の剣を振るんだよ!」といったセリフや、心の闇がポッカリと空くシーンが伏線となっている。その伏線回収があまりにも綺麗だったので、感動してしまった。

胸の中に剣を宿すというのは、信念を持つことと同義だと思う。人生における圧倒的な軸を手に入れた人間というのは強い。蓮は熊徹の意思を心に宿すことで、これからも強く生きていくのだと思う。

『バケモノの子』の評価

※個人的な評価です

作画90点
世界観・設定80点
ストーリー86点
演出85点
キャラ80点
音楽70点

作画

作画のクオリティは高い。特に戦闘シーンのクオリティは高いと言わざるを得ないだろう。カメラワークの使い方が秀逸で、渋谷の街をダイナミックに表現している。

世界観・設定

渋谷を舞台設定したのはいいものの、聖地巡礼に上手く繋げられなかったのがちょっと残念。この点についてはこちらの記事を参照してみてほしい。

ストーリー

ストーリー蓮が幼少期の時と青年期の時に分けられる。特に青年期のストーリーが秀逸だった。人は誰もが大人になり、自分の力で生きていけるようになる。そうなった時に、今までお世話になった先生や親にちゃんと恩返しできているのだろうか。恩を仇で返すような人生だけは避けたい。

演出

細田守作品はなんだかんだで日常シーンが面白い。間を巧く活用した日本式のギャグを展開してくれる。

キャラ

細田守作品特有の影のないキャラクターデザインは、今回も採用されている。やはり影がないと、キャラクターの存在感が際立つし、表情もしっかり印象付けられる。

音楽

音楽はあまり印象に残っていないかも……。

さいごに

『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』に続き、夏の細田守作品第4作目となった『バケモノの子』は、細田守作品の中でも感動的な作品に仕上がった。クライマックスシーンでは僕も思わず涙が出てしまったものだ。

一応、渋谷が舞台として描かれているので、機会があれば聖地巡礼してみたいと思う。

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