今回は『ばらかもん』について語っていく。
2024年8月頭、仕事で長崎に1週間ほど滞在する予定があったので、五島列島を舞台にしている『ばらかもん』を視聴し始めたのがきっかけだった。結局、五島列島に行かないことにしたので、わざわざ『ばらかもん』を視聴した意味は無くなったけれど、普通におもしろいアニメだったと思う。
『ばらかもん』はヨシノサツキによる漫画(月刊少年ガンガン)が原作で、2014年夏クールにアニメが放送された。アニメ制作はキネマシトラスが担当している。
『ばらかもん』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 76点 |
世界観・設定・企画 | 75点 |
ストーリー | 78点 |
演出 | 78点 |
キャラ | 75点 |
音楽 | 65点 |
作画
この記事を書いていて知ったけど、『ばらかもん』はキネマシトラスなのか。キネマシトラスと言えば『メイドインアビス』で有名なアニメスタジオで、全体的な傾向として、作品のクオリティは高めだ。ということで『ばらかもん』も作画自体は結構良くて、ところどころで遊び心のあるシーンも見受けられた。
世界観・設定・企画
不祥事をやらかした書道家の主人公が、五島列島に強制送還され、そこでのんびりとした日々を送るという設定。五島列島らしさを徹底していて、全キャラが方言を喋る。正直、何を言ってるかわからない。
多分、どちらかと言えば女子ウケしやすい作品だと思う。
ストーリー
基本的には1話完結というか、ギャグアニメ的な感じでストーリーが進んでいく。なんだかんだでシリアス要素は皆無だ。
一応、本筋としては「主人公の半田清舟が心を手に入れるまでの物語」で、最後に清舟が「五島列島の人たちのために書道をやる」みたいなことを遠回しに言っていたので、物語は綺麗に終わっていると思う。
演出
ギャグのキレがいい。ただ勢いでボケてるわけではなく、時間をちゃんとコントロールしてボケている。それに加えて、ところどころでヌルヌル動くシーンがあったりして、メリハリもあった。
キャラ
ヒロイン?のなるは、どうやら9歳の子役が演じていたらしい。これが、めちゃくちゃいい味になっている。9歳で方言を喋るって、相当頑張ったんだと思う。
キャラの個性が強いわけではないが、なんだかんだで方言が強烈な個性になっているように思う。
音楽
前提として、本作の製作委員会は日テレとVap(日テレのレコード会社)だけで、EDでVap所属のNoisyCellというアーティストを起用している。
OPはSUPER BEAVERの『らしさ』で、これは中々気持ちいい。爽やか系のロックナンバーだが、Aメロのテンポ感が、どこか離島らしさを感じさせる。
一方でEDの方は、あまり好みではなかったかなぁ。
『ばらかもん』の感想
※ネタバレ注意!
離島生活に憧れる
『ばらかもん』は、東京生まれ東京育ちの書道家・半田清舟が、頭を冷やすために五島列島に左遷されるというもの。
ちなみに五島列島は、長崎県の西部に位置する列島で、基本的には福江島に居住する人が多い。アクセスは長崎からフェリーか飛行機で行くか、福岡から飛行機で行く方法もある。そう考えると、都市部(福岡だけど)からすぐアクセスできる離島だとも言える。東京で言うところの伊豆大島や八丈島のようなものだろうか。
とは言え、ちゃんとした離島ではあるので、生活インフラはちょっと微妙。一応、ローソンはあるらしいが、マクドナルドや牛丼チェーンは存在しないっぽい。ということで、それなりの離島ライフは楽しめそうである。
こうして『ばらかもん』を見ていると、離島生活に憧れる自分がいる。僕も神奈川育ちで東京にどっぷり使っているので、一度は離島暮らしで自分と向き合ってみたいと思う。特に新型コロナ禍から、そういうニーズはあると思う。
色々調べてみると、五島列島にはMassBASEというマンスリーマンションがあって、ここが月額7万円かららしい! そう考えると、ちょっと気分転換に五島列島籠り生活は、全然ハードルが高くないのだ!
長崎か福岡までLCCで飛んで、それから福江に飛行機で行く流れだと、上手くプランを組めば片道1万5,000円ぐらいで行けるぞ。半田清舟みたいに五島列島で引きこもりできるぞ!
東京に無くて離島にあるもの
東京に無くて離島にあるもの。それはご近所付き合いだ。
もう今となっては、東京圏だけで無く、本州全体で「ご近所付き合い」が無くなったように思う。なぜならインターネットの登場で、家の中でも世界中の人とやり取りできるからだ。特に子どもたちはスマートフォンにどっぷりで、SNS警察に野次られることはあっても、近所のおじちゃんに怒られることは、もう無くなっている。
一方で離島には、まだギリギリご近所付き合いが残っている。というのも、僕は1ヶ月ほど石垣島や宮古島周辺の離島を回ったことがあるのだけど、そこには非常に狭い世界があった。島内の人のことは大体わかる、いわゆるムラ社会である。
どれだけインターネットが普及していても、島の中に小売店が数ヶ所しかないような場所なので、自然とご近所同士で会話が生まれる。
半田清舟は、物語冒頭の時点では、自分を見失っていて「人のために何かをする」という発想すら無かった。典型的な20代前半男性である。
しかし、五島列島に飛ばされ、半強制的にご近所付き合いを始めるようになると、様々な人がおせっかいを焼いてくる。それに少しずつ感化された清舟は、最終的に「人のために」字を書くようになる。
僕たち都会人は、都会に何でもあると感じてしまうけど、何でもあるからこそ失われるものも存在することを自覚しないといけないんだと思う。そして、バランスを取るために、定期的に離島に訪れるのはアリなのかもしれない。
さいごに
つい先日まで知らなかったのだが、『ばらかもん』にはスピンオフの『はんだくん』というのがあって、これがしっかりアニメ化されているらしい。
ということで、時間があったら見てみようと思う。