【BLUE GIANT感想】2023年最高傑作かもしれないジャズアニメ

BLUEGIANT

今回は『BLUE GIANT』のアニメ映画について語っていく。

『BLUE GIANT』は石塚真一による漫画が原作。そして2023年2月に劇場アニメが上映された。

アニメ制作はNUTが担当している。

目次

『BLUE GIANT』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定85点
ストーリー90点
演出93点
キャラ85点
音楽98点
※個人的な評価です

作画

『幼女戦記』『デカダンス』で有名なNUT。最大の強みと言っても過言ではないカメラワークの良さが『BLUE GIANT』でのジャズ演奏シーンで活用されていた。手描きの部分は、ほぼ完璧といっていいだろう。

問題は3DCG。演奏シーンの3DCGのクオリティが低かった。予算の都合による部分が大きいと思うけれど、手描きがめちゃくちゃ良かっただけに悔やまれるポイントだ。

世界観・設定

ジャズをテーマにした成り上がりサクセスストーリー。東京という街の「あらゆる人が集まる」という特性を再認識させられた。

ストーリー

原作漫画10巻分を2時間にまとめるという無茶な構成だけれど、非常によくまとまっていた。僕は原作漫画を読んだことがないけれど、ストーリーはかなり良かったのではないだろうか。

始めから最後まで、ずっと面白かった。

演出

やはりジャズの演奏シーンの演出が素晴らしい。特に色彩表現がアグレッシブで、音楽との相性が抜群だった。それと、3DCGの演奏シーンは演出でそれなりにカバーできてはいたと思うけれど、もう少しやれたのではないかなと思う。具体的には、もっと寄りにしても良かったんじゃないかなぁ。

キャラ

キャラも非常に魅力的だった。プロの声優ではなく俳優を起用したようだけれど、これはこれでいい味が出せている。少なくとも僕は、気にならなかった。

音楽

音楽がとにかく最高。本当にヤバい。僕はジャズに詳しくないけれど、少なくとも映画館で再現できる範囲で、限界まで音楽性を突き詰めていたと思う。

本当にずっと聴いていられる音楽だったから、映画全体を通して飽きることが一切なかった。

やはりアニメ映画は、音楽がとても大事なのだと痛感させられる。いずれ音楽クリエイターがアニメ監督をやる挑戦的な作品が出てきてもおかしくない。

『BLUE GIANT』の感想

※ネタバレ注意!

2023年で最高のアニメ映画かも

『BLUE GIANT』に対する僕の第一印象は、「衝撃的」だ。まず『BLUE GIANT』を視聴する直前にスタッフ情報を見たのだけれど、なんとNUTが制作しているとのことだった。面白くならないわけがない。

そして実際に視聴して、やはり衝撃を受けた。ジャズの演奏シーンがとにかく素晴らしいのだ。通常の音楽アニメであれば、このような演奏シーンは1分半ほどしか挿入されない。しかし『BLUE GIANT』では、ほぼフル尺で挿入されていたと思う。

ただでさえ漫画10巻分を2時間でやり切るという無茶な行動に出ているのに、楽曲挿入もフルでやり切ってしまうのだから、これはもう挑戦的としか言いようがないだろう。

ストーリーや声優の演技は好き嫌いが分かれるとして、3DCGに関してはどう考えてもクオリティが低かった。ただしこれは、制作費の問題だろうと僕は推察する。むしろ、あれだけ手描きのシーンがこだわっていて音楽もガチなのだから、ここにリソースを集中させたと考えていい。そういった意味でも『BLUE GIANT』は良い意味で荒削りな作品だった。

そもそも僕は『BLUE GIANT』の予告を映画館で見たことがなかった。僕はこれでも、2022年に映画館に35回以上訪れたのだけれど、それで予告を一度も見なかったというのは少しおかしい。それにポスターもほとんど見かけなかった。

このことから『BLUE GIANT』は広告費に大金を投じていないことも推察できる。つまり製作費の大半を制作費に集中させたのだ。ビジネス的に成功するかはわからないが、少なくともアニメファンの1人としてはすごく嬉しい。

ちなみに、客の入りは僕が思ってた以上に良かった。口コミも絶賛の嵐(3DCG以外は)だし、より良い音響を求めて2回目をドルビーアトモスで鑑賞することも考えられるので、それなりにヒットすることが予想される。

以上を踏まえると、現状として、『BLUE GIANT』が2023年アニメ映画の最高傑作の最有力候補になる可能性が高いと思う。おそらく本命が『君たちはどう生きるか』で、対抗馬が『BLUE GIANT』という感じだ。

それほどまでに『BLUE GIANT』は僕の中で傑作だった。

主人公が行動力の塊

ネットを見ると「これは少しご都合主義」という評価が見受けられる。10代であれほどまでのジャズができるわけないというのだ。しかし、はたして本当にそうだろうか。

『BLUE GIANT』の魅力は、主人公・宮本大の行動力にある。彼は時間と場所があればサックスの練習を始め、上京した際にはアルバイトで生活費を稼ぎながら、様々なジャズバーを渡り歩き、そこで才能のあるピアニスト・沢辺雪折に出会い、会ったその日にバンドを組むことを提案した。

このように宮本大は、とにかくリスクを一切考慮しない。やると決めたらすぐにやってしまう。

僕からすれば「そりゃあここまでイカれてたら成功するに決まってる」という感じだ。というか初めてのライブの観客が5人しかいなかったのに、それを「最高だ!」と考えている超ポジティブ人間だ。おそらく宮本大には、失敗という概念がない。

この世には様々なサクセスストーリーのフィクション作品があるけれど、ここまで真っ直ぐな主人公は中々いないだろう。

さいごに

『BLUE GIANT』は想像以上に凄まじい作品だった。あんまり触れなかったけど、『BLUE GIANT』は泣けるアニメでもある。久しぶりにめちゃくちゃ泣いた。

やはり音楽は素晴らしい。なんだかよくわからないけど、音楽を聴くだけで泣けてしまう。

とりあえずジャズは聴いていこうと思う。できるだけリアルで。そして宮本大のような行動力を発揮したい。

『BLUE GIANT』は本当に素晴らしい作品だった。

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