『僕愛』と『君愛』はどっちから見るべき?【2作品同時上映の長所と短所】

『僕愛君愛』は どっちから見るべき?

先日、『僕が愛したすべての君へ(以下、僕愛)』『君を愛したひとりの僕へ(以下、君愛)』を鑑賞し、それぞれの感想をブログにも投稿した。

そして本記事では、『僕愛/君愛』の全体的な感想を述べていこうと思う。ネタバレしていないので、視聴前の人も安心して読んでみてほしい。

目次

『僕愛』と『君愛』はどっちから見るべき?

『僕愛/君愛』は、どちらを先に視聴するかでストーリーの印象が大きく異なる作品だ。一般的には以下のようになっている。

  • 『僕愛』→『君愛』は切ないエンド
  • 『君愛』→『僕愛』は幸せなエンド

僕はハッピーエンドが好きなので『君愛』→『僕愛』の順番で視聴した。そして確かに、『僕愛』→『君愛』だと切ないエンドになると思う。ただしストーリーの流れとしては『君愛』→『僕愛』な気がするので、個人的には『君愛』→『僕愛』をオススメしたいと思う。

『僕愛/君愛』に対する僕の感想

ここからはネタバレなしで、『僕愛/君愛』に対する僕の感想を述べようと思う。基本的にはビジネス面で語っていく。

超典型的な製作委員会方式

まず、『僕愛/君愛』は超典型的な製作委員会方式となっている。

そもそも、大半のアニメは製作委員会方式で資金を集めている。様々な企業がお金を出し合うことで、リスクを分散させているのだ。

では何が”超典型的”なのかと言うと、電通が製作委員会に加わっている点だ。ここ最近のアニメは①アニメ制作会社、②出版社、③音楽会社、④ゲーム会社、⑤テレビ局、⑥動画配信サイトが集まって製作委員会が組織されることが多かった。大々的なアニメでない限りは、広告会社が加わってくることはなかったと思う。

だが『僕愛/君愛』では、最大手の広告会社である電通が製作委員会に加わっている。しかも製作幹事とのことなので、資本を最も多く投下していると思われる。

まあ、資本をたくさん投下してくれる存在は製作委員会にとってありがたいことだ。だが、電通は広告費という形で資本を回収することができる。例えば電通が5,000万円出資したとしても、アニメの広告費として2,000万円用いられれば、それは全て電通に入ってくる。

アニメ制作会社や出版社などの企業は、アニメが公開されてからやっと資本を回収できる。その一方で、電通のような広告会社はアニメが上映される前に資本を回収できるのだ。

ファンとしては可能な限り制作費に回してほしいところなのだが、『僕愛/君愛』はかなり広告を出していたと思うので、案の定、電通の一人勝ちになっていると考えられる。

試みは中々面白い

『僕愛/君愛』の同時上映の試みはかなり面白かったと思う。僕は映画の知識がないのでなんともいえないところだが、同時上映でしかも視聴順によってストーリーの印象が異なるという作品は中々ないのではないだろうか。

今回は恋愛小説が原作だったけど、ルートが分岐するノベルゲーム原作で同時上映をやってみると面白いと思う。この場合、同時上映がとても重要だ。少しでも日程をずらすと、そこで時系列が生まれてしまう。

予算が分割されるのはキツイ

とはいえ、2作品同時上映をしてしまうと、予算が分割されてしまうのがネックだ。例えば3億円の予算があったとしよう、3億円でアニメ映画1作品を制作するのであれば、かなりの高クオリティが期待できる。しかしそれがアニメ映画2作品だと、1.5億円ずつになってしまうので、そこそこのアニメ映画が2本できるだけになってしまう。

この場合、どちらの方が期待値が高いかはなんとも言えないところだが、ファンとしては3億円かけたアニメ映画1本を見たいと思うだろう。なぜなら僕たちファンはお金を払ってアニメ映画を鑑賞するからだ。3億円のクオリティを楽しむのであれば、チケット2枚の3,000円よりも、チケット1枚の1,500円で見たいのである。

……ということで、予算が分割されるのはそれなりに大きいデメリットだといえる。実際、『僕愛/君愛』のクオリティは、映画館で上映する必要性を感じなかった。

まとめ

2作品同時上映の試みは面白かったけど、肝心のクオリティが追いついていなかった。これが2作品とも高クオリティで制作されていたら、それなりに話題になったと思う。その分、リスクは跳ね上がりそうだが。

また、『僕愛/君愛』のスピンオフとして『僕が君の名前を呼ぶから』が2022年8月に刊行されている。気になる方は読んでみるといいだろう。

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