CLANNAD AFTER STORY(クラナド2期)評価:感想→人生でした

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『CLANNAD AFTER STORY(以下、CLANNAD2期)』について語っていく。ただし、dアニメストアが『もうひとつの世界 杏編』を配信していなかったので、これについては説明できない。

『CLANNAD1期』が2007年秋クールから2クールにかけて放送された後、2008年秋クールから2クールにかけて『CLANNAD2期』が放送された。

アニメ制作はもちろん、京都アニメーションが担当している。

……まさに「CLANNADは人生」だった。

目次

あらすじ

京都アニメーション制作の大ヒットシリーズ「CLANNAD(クラナド)」の第2期!原作はゲームブランド「Key」の同名恋愛アドベンチャーゲーム。人と人との「絆」をテーマにしたファンタジックかつ感動的なストーリーで人気を博した。アニメ第1期で、さまざまな出来事を経て恋人同士になった朋也と渚。第2期の本作では、2人のその後を軸に、家族や友人との絆を丁寧に描いていく。アニメーション制作は「AIR」「Kanon」「けいおん!」を手がけ、高いクオリティでファンからの信頼も厚い京都アニメーション。

dアニメストアより引用

『CLANNAD2期』の感想

ここからは『CLANNAD2期』の感想を語っていくが、ネタバレをしていくので気をつけて読んでほしい。

序盤はテンポが早い

『CLANNAD2期』は1クール目までのテンポがとても早い。『CLANNAD1期』の続きということで、引き続き学校生活が中心となっている。この学校生活で『CLANNAD1期』では描かれることがなかったエピソードが深堀りされている。

『CLANNAD1期』では伊吹風子(CV.野中藍)、一ノ瀬ことみ(CV.能登麻美子)のエピソードと、ヒロイン争奪戦がメインだった。『CLANNAD2期』の序盤では春原陽平(CV.阪口大助)、相楽美佐枝(CV.雪野五月)、宮沢有紀寧(CV.榎本温子)のエピソードがメインになっている。

特に春原陽平のエピソードは一番鳥肌が立った。妹の春原芽衣(CV.田村ゆかり)との兄妹の絆も丁寧に描かれていたが、それよりも岡崎朋也(CV.中村悠一)との友情の演出が素晴らしい。今までボケに徹していた陽平とのギャップもあって、最後の演出ではめちゃくちゃ泣けた。
「殴り合える親友がいる人生が良かったな」と本気で思った。

このエピソード以降も、寮母の美佐枝さん、後輩の有紀寧の感動的なエピソードが控えている。これらのエピソードの最後に登場する光の玉が伏線となっているのだが、そこはあまり気にせず、ストーリーを楽しむことに徹したほうがいいと感じた。

16話からが本番

『CLANNAD2期』が「人生」と呼ばれる所以は、第16話以降のエピソードになる。そしてなんといっても第18話「大地の果て」、第19話「家路」が神回と言わざるを得なかった。この2つの回に主人公・岡崎朋也の人生の全てが詰まっている。

第16話「白い闇」

まず第16話「白い闇」では、渚(CV.中原麻衣)の出産がメインとなっている。「娘である汐を産んだと同時に渚は亡くなる」という展開だ。僕は視聴当時は20歳で、仮に結婚して嫁が出産するとしてもまだまだ先のことだと思っていた。だからこそ出産のことなんてよく分からないし、出産の厳しさも知らなかった
しかし、第16話は出産の厳しさと生命の尊さを学ぶことができる紛れもない神回だった。人によっては一番泣けるシーンとして選ぶことも多い。女性はこのシーンでグッとくるものがあるのかもしれない。
僕もめちゃくちゃ泣いた。渚よりも朋也に感情移入してしまった。この出産シーンと同時に流れる「渚~坂の下の流れ」のBGMがズルい。ここで『CLANNAD1期』のED、『だんご大家族』で泣ける理由が少しずつ分かってくる。

第18話「大地の果て」

第18話「大地の果て」は歴代のアニメの中でも一番の回、といっても過言ではない。それぐらい素晴らしいものだった。

渚が亡くなってから娘である汐とは別居、相変わらず父親とも疎遠の状態だった。この伏線が一気に回収されることになる。序盤は父親とのエピソードで、父親が自分のことを一生懸命育てていたことを知る。そして、朋也は汐と疎遠になっている自分と父親を重ねてしまうのだ。ここで僕は基本的にウルウルしていた。
そして菜の花畑のエピソードになる。僕はこのエピソードで3回泣いた。
まず、汐の「初めて…パパが…」の台詞と同時に「願いが叶う場所」のBGMが流れて涙が溢れた。
そして名セリフでもある汐の「泣いていいのは、おトイレかパパの胸の中だって…」、朋也が汐を抱きしめるシーンはありえないぐらい泣いた。「願いが叶う場所」がパワーアップして「願いが叶う場所Ⅱ」が流れたが、この曲は100%泣ける。
最後の3回目はトドメのオーバーキルだ。帰りの電車の中で朋也が渚が亡くなったことを改めて受け止めるシーン。ここでもありえないぐらい泣いた。

初見でこの3コンボに耐えられる人がいるのだろうか。正直、9割以上の人が泣いてしまうこと間違いなしだと思う。

第19話「家路」

第19話では朋也と父親がついに仲直りするのだが、このエピソードは誰でも痺れる。京アニが手がけた『AIR』はシングルマザーと一人娘の素晴らしいエピソードだったが、『CLANNAD』はシングルファザーと一人息子の素晴らしいエピソードになっていて、この2つはよく比較される。
『CLANNAD』の場合、父親との疎遠関係を序盤から表現していたので、その分感動できる。

やっぱりここでも「願いが叶う場所Ⅱ」が流れる。この曲はズルすぎるから本当に流すの辞めてほしかった。めちゃくちゃ泣いてしまった。
特に終盤、朋也と父親が別れるシーンが泣けた。朋也が幼少期の父親の愛情を思い出しながら、「長生きしてくれよ」「絶対に恩返しに行くからな」のセリフで泣かない人いるのか?
このエピソードはどちらかと言うと男性視聴者の心をグッと掴むものだったと思う。朋也の熱いセリフに共感してしまうはずだからだ。

麻枝准はやっぱり天才だった

『CLANNAD』はゲームブランドの『Key』によって制作されたゲーム。それを京都アニメーションがアニメ制作した。そしてゲーム、アニメの両方に麻枝准が深く関わっている。

ゲームのメインシナリオは麻枝准が書き下ろしたものだ。風子のエピソードや、アフターストーリーのほとんどは麻枝准が書いている。
そしてなんといっても麻枝准は楽曲が素晴らしい。『AIR』の『鳥の詩』や『夏影』も担当していた。『CLANNAD』では1期EDの『だんご大家族』、2期OPの『時を刻む唄』、最終話の『小さな手のひら』。BGMでは『渚』や『願いが叶う場所』などを制作した。
個人的には『小さな手のひら』が大好きだ。なんだかんだ『CLANNAD』の全てを詰め込んでいる気がする。聞き終わった後の余韻も凄まじい。

ちなみに『だんご大家族』や『時を刻む唄』はゲームにはなかった楽曲だ。だが、京都アニメーションが麻枝准にお願いして制作してもらったとのこと。『CLANNAD』は全体的にもアニメオリジナルエピソードが多いらしい。原作をリスペクトしつつも、改良を加えていく。簡単そうに見えるが非常に難しいことだ。さすが、京都アニメーションといったところだろう。

『CLANNAD2期』の評価

ここからは『CLANNAD2期』のアニメとしてのクオリティについて個人的な目線強めで評価していく。

作画90点
世界観・設定90点
ストーリー100点
演出100点
キャラ85点
音楽100点

作画

さすが、京都アニメーション。2008年制作のクオリティとは思えない。京都アニメーションは、感情表現や人間の柔らかい動きが他の制作会社と比べてずば抜けている。それが改めて分かる作画だった。

世界観・設定

基本的には人間の絆をテーマにしているが、ちょうどいいぐらいにファンタジー要素が入っている。「願いが叶う場所」という設定はストーリーそのものを引き立てる素晴らしい設定だと思う。

ストーリー

完璧だった。Keyと京アニがコラボして4クールも使うとここまで素晴らしいものができるという良い例だと思う。

演出

演出も文句なしの100点満点。全体的に演出は素晴らしいのだが、特に第16話以降はずば抜けて良かった。

キャラ

長い時間視聴しているだけあって、流石にキャラに感情移入できるようになってしまう。渚は全然推しではないのだけど、とにかく尊い。風子が登場してくれたのも感慨深いものがある。

音楽

とにかく神曲揃い。OP・ED・挿入歌が素晴らしいことはもちろんのこと、BGMが素晴らしい。流れるだけで涙が浮かぶBGMだ。

さいごに

「CLANNADは人生」

まさにそのとおりだと思う。友達、兄妹、親、子ども、生徒と教師、仕事仲間など、全ての人間関係における絆が丁寧に描かれている。岡崎朋也以外の全てのキャラクターの人生が丁寧に描かれている。
ラストの『小さな手のひら』が流れるシーンで『だんご大家族』の意味もやっと理解できた。

僕はアニメを繰り返し見るということはあまりしないのだが、『CLANNAD』と『AIR』に関しては数年おきに振り返りたいと思っている。

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