今回は『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ(以下、映画クラマー)』について語っていく。略称がないのでとりあえず『クラマー』って略することにする。
本来はTVアニメの『クラマー』が放送される前、2021年4月1日に上映される予定だったが、”諸般の事情”によって6月11日に延期となった。本作のクリエイターの方々は以前不祥事みたいなこともあったので「その関係もあるのかな」と僕は考えている。
『映画クラマー』の感想
感想①:ストーリーは全然悪くない、むしろ良い!
ストーリーはかなり良かった。TVアニメ版の方は微妙に感じていたのだが、それもそのはず。『映画クラマー』の熱いストーリーを見た後にTVアニメの『クラマー』を見ていたら、また印象が変わったかもしれない。それほど『映画クラマー』のストーリーは良かった。
ストーリーは主人公の恩田希の葛藤が中心となっている。とてもセンスがあって男子選手とも互角にサッカーできるのに、”女子だから危ない”という理由で公式試合に出場させてくれない。そのもどかしさをテーマにしている。
女子サッカーの難しさもそうだけど、高校生にとっては”その今”がいちばん大事なわけで、将来のことなんか何も考えていなかったりする。恩田希は間違いなく女子サッカーのホープになるような存在だったので、監督はその将来性を見込んで試合に出さなかった。しかし恩田希にとっては”今が全て”なわけで、その辺の葛藤が作中のストーリーに上手く落とし込めていた。
感想②:映画って感じのクオリティ
やっぱり映画は作画がとても安定していて、かつ迫力がある。大画面で映し出すからか、3DCGも丁寧に制作されていて、中盤以降のサッカーのプレイでは迫力があった。サッカー系のアニメは、小学生の時に見た『イナズマイレブン』以来なんだけど、ここまでの作画だったら十分楽しめそうだ。
スポーツアニメは作画のクオリティが求められるジャンルだと思う。特にサッカーみたいにせわしなく動き続けるスポーツでは3DCGは必要不可欠だといっても過言ではない。ここ最近の3DCGは全然違和感もないので、これからは3DCGでスポーツアニメを手掛けることが増えてくるのだろう。
感想③:公開延期が少し悔やまれる
やはり公開延期が少し悔やまれる。元々のスケジュールは「映画→TVアニメ」ということだったので、映画を視聴しておく前提でTVアニメも制作されていたのだろう。
ちなみに本作の脚本を手掛けている高橋ナツコは、超ギリギリに納品するということでネット界では有名だ。
それが真実なのかはこちらで判断するのは難しい。だが、高橋ナツコやアニメ制作会社のライデンフィルムが手掛けてきた作品を振り返ってみると、”やらかしちゃった作品”が多いのは否定できない。
こんな事を言うのもあれだが、アニメが好きな人はクリエイター陣ついても理解があるといいだろう。そうすると、「なぜこのアニメが失敗したのか?」推測を立てることができるからだ。皮肉なことにアニメにはそんな楽しみ方もある。
『映画クラマー』の評価
作画 | 70点 |
世界観・設定 | 35点 |
ストーリー | 55点 |
演出 | 50点 |
キャラ | 40点 |
音楽 | 30点 |
作画
サッカー系のアニメはなんだかんだで始めてみたけど、競技の作画は結構良かったと思う。映画ってこともあって作画は基本的に安定してた。
世界観・設定
世界観・設定はいい線いってると思う。ただメッセージ性が重要なテーマなのにメッセージ性があんまり強くないっていうのがちょっと残念。
ストーリー
ストーリーは全体的に悪くなかった。
演出
日常シーンの演出もプレイ中の演出も良かった。だが、もう少し改善の余地はあった気がする。
キャラ
キャラはちょっと弱い。
音楽
音楽は微妙。
さいごに
やはり世界観・設定が全てだった。テーマがブレていたので何を伝えたいのかが薄くなってしまったように思える。noteでも『映画クラマー』や女子スポーツについて少し語っているので、そちらもぜひ読んでほしい。→こちら