今回は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(以下、エヴァ破)』について語っていく。僕が初めて見たのは小学生の頃で、金曜ロードショーで見ていた。当時、『翼をください』が流れたときは鳥肌が立ったものだ。
あらすじ
真の姿が現れる、新EVA伝説第2ステージ
新たな未来を新たなビジョンで語る、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』全4部作(公開は全3回を予定)。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』公式サイトより引用
2007年9月に公開された第1部「序」は、大きな拍手をもって迎え入れられた。
リビルド(再構築)という手法で大きくスケールアップされた映像は、観客の心を大きく揺り動かしたのである。
その感動をふまえ、次のステップを目ざして第2部「破」が始動する。
汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗ることで、自ら戦うことを選んだ碇シンジ。
大きな運命を託された14歳の少年の物語は、ここから未知の領域へ突入する。
綾波レイと人気を二分するヒロイン、アスカがエヴァンゲリオン2号機に乗って参戦。加えて魅惑の新ヒロイン、マリが登場する。
謎の敵性体“使徒”とEVAシリーズの戦いは新エヴァンゲリオン仮設5号機の参加で、さらに激しくエスカレートしていく。
スクリーンに続々と展開する、誰も見たことのないバトルシーン。
驚異のスペクタクルの興奮は、未知の物語へとつながっていく。
あえてTVシリーズと同じ出発点からスタートしてみせた新EVA伝説。
この第2ステージからは新しい要素が加わり、大きく物語のポイントが切りかわっていく。
そこから見えてくる全4部作の真の姿とは、はたして何なのだろうか?
『エヴァ破』の感想
ここでは『エヴァ破』の感想について語っていく。ネタバレもしているので、未視聴の人は気をつけてほしい。
感想①:TVアニメの『エヴァ』とは大きく異なるストーリー
僕はTVアニメの『エヴァ』をよく知らない。どうやら、TVアニメとは全く違うストーリー展開らしい。
まずキャラ設定が大きく異なる。TVアニメには登場しなかった真希波・マリ・イラストリアスが突如登場し、アスカの名字が惣流から式波に変更。綾波レイも感情豊かになっている。
また、3号機のテストパイロットがTVアニメと異なるらしい。これって大きなストーリー変更だと思う。TVアニメでは鈴原トウジが担当していたが、『エヴァ破』ではなんとアスカが乗ることになる。そしてシンジが暴走してしまい悲惨なことになるわけだ。
このように『エヴァ破』では、TVアニメとは異なるストーリー展開をしていく。『エヴァ』の新劇場版は4部作になることが決まっていたので、この後の展開が当時は全く予想できなくなったことだろう。いよいよ『エヴァ』が本領を発揮し始めたのだ。
感想②:挿入歌のセンスが異次元
『エヴァ破』ではとても印象的な演出が僕の中で2つあった。
一つは『今日の日はさようなら』を用いた演出。『今日の日はさようなら』は第9使徒に乗っ取られた3号機を初号機が止めるシーンで用いられた。アスカが乗っている3号機を食い止めるために、シンジが乗った初号機が暴走。3号機を容赦なく破壊するという内容だ。中々グロテスクに表現されている。
このシーンに『今日の日はさようなら』を挿入するのは、「狂ってる」としかいいようがない。だが、ミスマッチだと思いきや、なぜか相性抜群なのだから不思議だ。
結果的にこの演出には様々な効果があった。僕の中で一番大きかったのが「異常すぎて見ることしかできなかった」ことだ。
グロテスクなシーンに『今日の日はさようなら』を流しているのはあまりにも異常で、ただ呆然と見ることしかできなかった。一方で『エヴァ』の作品の中でも、初号機が暴走しアスカごと3号機を破壊してしまうという異常極まりない状況を、ネルフの職員はただ見ることしか出来なかった。実はこの2つの現象が見事にマッチしているのだ。
『今日の日はさようなら』を流すことで、視聴者の感情移入の対象を変更することができている。実際に僕は、シンジやアスカといった当事者から、ネルフの職員の第三者に感情移入の対象を移していた。ネルフ職員は『エヴァ』の中でも一般的な人間なので、多くの視聴者が感情移入しやすい。これによって、『エヴァ』という作品により深くのめり込むきっかけを作り出している。
そしてクライマックスシーンの『翼をください』も素晴らしい演出だった。『翼をください』は元々、どこか神聖な雰囲気がある曲だったが、これがあまりにも『エヴァ』とマッチしていた。シンジが人間をやめるところと、『翼をください』の歌詞がリンクしていたのが鳥肌立った。
これらの演出のせいで『今日の日はさようなら』と『翼をください』の捉え方がガラッと変わってしまったのは言うまでもない。これでまだ『エヴァ破』なのだ。このあとにまだ2部作続くと思うと、武者震いしてくる。
『エヴァ破』の評価
ここでは『エヴァ破』のアニメとしてのクオリティについて、個人的な目線強めで評価していく。
作画 | 90点 |
世界観・設定 | 90点 |
ストーリー | 90点 |
演出 | 100点 |
キャラ | 90点 |
音楽 | 95点 |
作画
もうさすがという感じ。『エヴァ序』と異なり、戦闘シーンも多く、独特の演出もあったりして作画の良さに圧倒された。
世界観・設定
『エヴァ』の世界観MAXだった。特にラストシーン付近は『エヴァ』にしか作れない世界観だった。
ストーリー
『エヴァ破』になってから恋愛要素も目立つようになってきた。アスカとの恋愛シーン、ラストの綾波を救い出すシーン。どれも心打たれるものだった。
演出
『今日の日はさようなら』や『翼をください』を『エヴァ』で流すセンスが凄い。何回見ても鳥肌立ちまくり。
キャラ
『エヴァ破』からはシンジと綾波以外にもアスカやマリ、カヲルといった人気キャラクターが登場する。僕としてはアスカ推しだったので点数が上がった。
音楽
EDの宇多田ヒカルの『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』も良かったが、挿入歌が異次元だった。
さいごに
今回の『エヴァ破』は、当時小学生だった僕の価値観を大きく変えたことは覚えている。もちろん、こどもだけでなく大人も楽しめるのが『エヴァ』の面白さなわけだが、正直「凄すぎる」としか言いようがない。単体で見ても楽しめるレベルの作品なので、まだ見てない人がいたらぜひ見てほしい。