翠星のガルガンティア(TVアニメ)評価:感想→設定の作り込みが凄い

今回は『翠星のガルガンティア』について語っていく。『翠星のガルガンティア』はProduction I.Gによるアニメオリジナル作品だ。2013年春クールに放送された。

目次

『翠星のガルガンティア』の感想

ネタバレしていないので、未視聴の方でも読めます。

感想①:ガルガンティアの作り込みが凄い

『翠星のガルガンティア』はその名の通り、ガルガンティアが舞台となっている。ガルガンティアは複数の船舶が連結してできた巨大な船団だ。
このガルガンティアの作り込みがとにかく凄い。背景美術も作り込まれており、見ているだけで引き込まれる。ガルガンティアを舞台にしたオープンワールドゲームとかめちゃくちゃ面白いと思う。

『翠星のガルガンティア』の監督を務める村田和也は、元々、移動船団をコンセプトにした作品を作りたかったそうだ。10年以上温めていたアイデアだったという。
実際、ガルガンティアの作り込みは本当に凄い。『翠星のガルガンティア』はSFロボット系の作品だ。だが個人的にはSFロボットの戦闘シーンより、ガルガンティアでの日常シーンの方が遥かに面白く見れた。

というか、『翠星のガルガンティア』のメインの部分はガルガンティアでの日常なのだろう。SFロボットの要素は、ガルガンティアの引き立てに過ぎないということだ。

感想②:共同体と組織の違い

『翠星のガルガンティア』では”共存”がテーマとなっている。そしてガルガンティアは”共同体”がコンセプトだ。一方、主人公のレド(CV.石川界人)が所属する人類銀河同盟は”組織”がコンセプトとなっている。

共同体と組織は似ているようで決定的に違う部分がある。それは目的の有無だ。
共同体は自然発生的に生まれた存在で、そこに目的意識はない。いわゆる”縁”によって構成されており、お互いに助け合うことで今を生きている。ガルガンティアでも取り上げられていたテーマだ。
一方、人類銀河同盟は”ヒディアーズの殲滅”を目的として誕生した組織だ。この根底には”人類の生存”がある。しかしヒディアーズの殲滅を優先するがあまり、弱者を切り捨てる選択を取ってしまった。
レドは組織である人類銀河同盟を離れ、共同体であるガルガンティアでの生活を送るうちに、自分の行動が正しかったのかと振り返るようになる。その成長過程で学べることは非常に多い。

そしてここで注意してほしいのは、あくまでも「組織=悪」ではないということ。文明を発展させるには組織的な行動は必要不可欠だ。我々が住む現代社会も、組織的な行動によって作り上げられている。今こうして僕達が快適に過ごせているのも、組織という存在のおかげだ。
『翠星のガルガンティア』を表面的に見ると「共同体=善、組織=悪」のように感じ取ってしまうかもしれない。しかし作中でレドが提言することは理に適っており、参考にするべきポイントも多いはずだ。

ただ、僕達が住む現代社会があまりにも目的意識に縛られているのは事実だ。その影響で生きる目的を失っている現代人も多い。そういった人たちに刺さるのが『翠星のガルガンティア』ということなのだろう。

『翠星のガルガンティア』の評価

作画70点
世界観・設定80点
ストーリー68点
演出65点
キャラ65点
音楽70点

作画

ガルガンティアの美術背景は良かった。力が入っているシーン(伝統舞踊とか)も良い。だが、SFロボットの戦闘シーンがイマイチだった。

世界観・設定

ガルガンティアの作り込み、そこにSFロボットを組み込む設定が良かった。人間とロボットとの関係性の部分も悪くない。

ストーリー

膨大な世界観とコンセプトだった。これを1クールに上手くまとめることができている点は評価できるだろう。

演出

演出はちょっと微妙だ。平坦に進んでいる印象がある。キャラの心情描写を丁寧に描ければ、メリハリのある演出になっただろう。

キャラ

キャラの立ち位置はちゃんとしている。ヒロイン達も刺さる人には刺さるキャラデザだろう。

音楽

名曲製造レーベルのランティスということで、OP・EDはどちらも良かった。

さいごに

SFロボットアニメとしては面白い立ち位置の作品だ。ただ、肝心のロボットの部分がイマイチだったのがデメリット。僕のSFロボットアニメの経験値は大したことないのに、それでも「あ、この作画は微妙だ…」と感じてしまった。

しかし、ガルガンティアの作り込みは高く評価できるし、学べることは非常に多い。引き続きOVAを視聴しようと思う。

https://terukun.blog/gargantia-ova/
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