【ガルパン最終章第3話感想】ガルパンはやはりおもしろい

今回は『ガールズ&パンツァー 最終章 第3話(以下、ガルパン最終章第3話)』について語っていく。

『ガルパン』はアクタスによるアニメオリジナル作品で、資本関係を見るに、事実上、バンナムによるオリジナルアニメのようにも見える。

2012年秋クールにTVアニメが放送された後、2015年に劇場版が公開。そして2017年より『ガルパン最終章』の上映がスタートし、2021年3月に『ガルパン最終章第3話』が上映された。

アニメ制作はアクタスが担当している。

目次

『ガルパン最終章第3話』の評価

※ネタバレ注意!

作画85点
世界観・設定83点
ストーリー83点
演出83点
キャラ79点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

久しぶりに『ガルパン』を視聴したけれど、やはり作画のクオリティが高い。戦闘シーンはもちろんのこと、それ以外のシーンでも非常にヌルヌル動く。『ガルパン最終章第2話』と『ガルパン最終章第3話』は約1年半のスパンがあり、それでいて興収も安定していることから、十分なリソースが充てられているのだと考えられる。

できることなら、ufotableぐらいに背景のクオリティを高めて、コンポジットにもっと多くのリソースを割いて、素晴らしいカメラワークが見られるようになるともっと楽しくなる。

世界観・設定

製作陣のミリタリー愛が伝わってくる。『ガルパン最終章第3話』ではVS知波単学園が描かれていて、この学園は第二次世界大戦の日本軍をモデルにしている。以前はとにかく特攻するだけのネタ的な感じだったけれど、今回は想像以上にマトモな戦いを見せてくれた。キーワードは”我慢”で、これはこれで日本的だと思う。

ストーリー

『ガルパン最終章』になってからは戦闘シーンの割合が一気に大きくなった印象を受ける。『ガルパン最終章第3話』も、VS知波単学園が終わった後、他の準々決勝の試合を描いてから、すぐにVS継続高校に移った。おかげさまで、めちゃくちゃ面白くなっている。

また、VS継続高校では、序盤であんこうチームが撃ち落とされるというまさかの展開に。色々調べてみたところ、VS継続高校の”あのスナイパー”は、フィンランド軍の”白い死神”と称されたシモ・ヘイヘがモデルになっているらしい。Wikipediaの情報を見る限り、マジでこいつが史上最強のスナイパーっぽい。

演出

戦闘シーンの演出がかなり面白い。本当に地形に沿った戦い方が描かれていて、これは相当に設定を作り込む必要があるし、実際にそれを画にするのに、相当の手間が発生する。というか、絵コンテの段階で3DCGと作画をミックスさせる必要があるから、プロジェクト管理も大変そうだ。いっそのこと全部3DCGにしてもいい気がするが、やはり「キャラクターは手描きでいきたい!」という気持ちがあるように感じられる。

実際、キャラクターの動きはヌルヌル動いていて、こだわりを感じさせられる(多分フルアニメーション)。

キャラ

相変わらずキャラクターがめちゃくちゃ多い。それも、それなりに名の知れた声優がたくさん登場しているので、収録だけでもそれなりのコストをかけているように見える。

最終章1話の中で、他校含めて全キャラクターの出番を作っているのが印象的。これは脚本家も苦労してるだろうな。笑

音楽

主題歌はいつも通りでOPが『Grand symphony』でEDが『Enter Enter MISSION!』。やっぱりEDがめちゃくちゃに良い。

そして『ガルパン』といえば、劇伴。モデルとなった国の代表的な楽曲が挿入されていて、聴いているだけで楽しくなる。

『ガルパン最終章第3話』の感想

※ネタバレ注意!

やっぱりガルパンっておもしろいよな

久しぶりに『ガルパン』を視聴した。以前視聴したのは2022年の初め頃。『ガルパン』の舞台である茨城県大洗市に訪れることになったので、そのついでに視聴しようと思ったのだ。そしていつの間にか『ガルパン』にハマっていった。

『ガルパン』の魅力は、やはり戦闘シーンにある。これは、異論は認めない。実際、大洗に訪れた際、アニヲタって感じじゃないサーフィン好きの人が「大洗に住んでるから」ということで『ガルパン』を視聴していて、その人もやっぱり「戦闘シーンが面白い」と言っていた。ミリタリーはどうしても敬遠される傾向があるけれど『ガルパン』に関しては、誰でも楽しめる戦闘シーンの面白さがある。
しかも、完全に現実主義というわけでもなく、アニメだからこそできる表現がたくさん用いられている。よくよく考えてみれば、戦車を用いた映像作品は、アニメが最適にように思える。実写映画の場合、戦車を用意するわけにもいかないし、CGを用いるにしても、相当高度なVFX技術が要求されて、コストがバカ高いことになる。一方、アニメであれば背景も戦車も3DCGで作れて、あくまでも手描きのキャラクターに合わせればいいので、モデリングの際にディティールを細かく追求する必要はない。また、何よりも、カメラワークを自由自在にコントロールできるのが強いと思う。

だからやはり、背景のクオリティをもっと高めて、カメラワークの柔軟性を高めていただけると『ガルパン』はもっととんでもないことになるんじゃないかなぁと思っている。

知波単学園の描き方

『ガルパン』に登場する学校は、各国の軍隊がモデルになっている。知波単学園の場合は日本軍だ。前回の戦いでは、カミカゼ特攻隊になぞらえた形で特攻作戦が実施されたが、特攻なので、ほぼ全て自滅。大洗女子学園が楽々勝てた経緯があった。しかし今回は、知波単学園が特攻することは一切なく、我慢比べの戦いに。特攻に頼ることなく、あらゆる攻撃方法を用いて、大洗女子学園を最後まで追い詰めた。

注目点はリーダーである西絹代が「このままではマズい」と立ち上がり、戦術転換をリーダー主導で実施した点にある。ぶっちゃけ、現在の日本は低迷している。責任を持って国を引っ張ることができない構造にあるため、何も変えることができず、心中モードに突入している。

そもそもカミカゼ特攻隊も、非常におかしな現象だった。日本軍及び日本人が、日本の正しさを最後までカルト的に信じていた。空気を読んでしまうからだ。「このままだと犠牲者が増える一方だ」とした米国が原子爆弾を日本に落としたのも、1人の日本人として申し訳ないが、米国に同情してしまう気持ちもわかるところだ。

そして知波単学園が”我慢”を戦い方に組み込んだのは、悪くない選択だったとは思う。一方で、ソフトランディングを示唆する意味合いも感じられ、はたして今の日本がソフトランディングで本当に変わっていけるかと言われると、それも少し疑問ではある。

『ガルパン』はその性質上、政治的な意味合いも強く感じさせられる作品だ。もちろん、これはエンタメとして提供されている作品だから、陰謀論的な深読みは厳禁だ。しかしそれでも、製作陣が各国軍から感じた印象が作品に取り入れられているのは間違いなく、その点から色々と教訓を得ることもできる。少なくとも、カミカゼ特攻をするよりは、ちゃんと相手を翻弄できる正しい戦術を用いた方がいいのは間違いなさそうだ。

さいごに

『ガルパン最終章第3話』までは動画配信サイトでの視聴だった。だが『ガルパン最終章第4話』は、いよいよ僕も映画館で鑑賞できる。戦闘シーンのSEや、各国の楽曲をモチーフにした劇伴を映画館で鑑賞できるのが非常に楽しみである。それに、早々にあんこうチームを倒された大洗女子学園がどのように立ち戻るかも非常に気になる。続編が公開され次第、すぐに視聴しようと思う。

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