【劇場版グレンラガン螺巌篇感想】ゼロじゃないなら俺にとっては100%

劇場版天元突破グレンラガン螺巌篇

今回は『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇(以下、劇場版グレンラガン螺巌篇)』について語っていく。

『天元突破グレンラガン』は2007年春クールから2クールにかけて放送された。そして2008年9月に『劇場版グレンラガン紅蓮篇』が上映、2009年4月に『劇場版グレンラガン螺巌篇』が公開される。アニメ制作はガイナックスが担当した。

なお、僕は『天元突破グレンラガン』15周年プロジェクトのリバイバル上映を利用して、『劇場版グレンラガン螺巌篇』を映画館で鑑賞した。

目次

『劇場版グレンラガン螺巌篇』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定84点
ストーリー83点
演出85点
キャラ80点
音楽84点
※個人的な評価です

作画

作画がオバケ。特にラスト、天元突破したガンメンの戦闘シーンが凄まじい。通常、ロボットの戦闘シーンは線を崩すことがほとんどないのだけれど、今石洋介はロボットでもアニメーション表現を追求している。線が動きまくって、すごいことになっている。『劇場版グレンラガン螺巌篇』の最大の見せ場といっても過言ではない。

世界観・設定

天を突くドリルが、宇宙・次元を突くドリルにまで設定が広がった。ぶっちゃけ、この辺の設定はインフレしすぎてめちゃくちゃだと思う。でも、人間の最終到達点の一つが宇宙や次元の壁だと思うから「それを突き破るほどのドリルが人間に必要」っていう考え方もわかるっちゃわかる。

ストーリー

TVアニメ第2部のストーリーが編集されたストーリー。大きな違いとしては、大グレン団のメンバーの大半が生存したこと、新ガンメンが多数登場したことが挙げられる。特に新ガンメンが多数登場したことに関しては、今石洋介が劇場版でやりたかったことなのだろうなぁと思う。

演出

やはり今石洋介といえばケレン味あふれる演出だ。正直、「宇宙を投げる」とか「宇宙に波がある」みたいな表現は非常にレトリックだけど、これを見事に映像化した。ガンメンが銀河を投げるシーンや、螺旋エネルギーをマイナスにする波の描写は、アニメーションだからこそできる演出だったと思う。

キャラ

『劇場版グレンラガン螺巌篇』の最大の見せ場は2つある。1つめは、先ほどから紹介している新ガンメンの描写。そしてもう1つは、ヨーコとニアのお色気シーンだ。特にヨーコとニアの乳首を見られたのはたまらん。

音楽

挿入歌の『空色デイズ』は最高だった。やっぱり名曲だなぁと思う。

それと全体的に、劇伴がめちゃくちゃカッコよかった。岩崎琢の個性が全面に押し出されていたと思う。

『劇場版グレンラガン螺巌篇』の感想

※ネタバレ注意!

むちゃくちゃな設定にも意味がある

『劇場版グレンラガン螺巌篇』は、設定が急激にインフレする。ガンメンのサイズがどんどん大きくなっていき、最終的に多次元宇宙規模になってしまうのだ。色々な物理法則を無視したサイズ感だし、そもそも、サイズが大きければ大きいほど強くなるという設定も、あまりにも単純すぎて、もはや笑えてくる。実際、僕も映画館で鑑賞しながら思わず苦笑いだ。

『劇場版グレンラガン螺巌篇』に限った話ではなく、今石洋介×中島かずきの作品は、終盤のストーリーがとにかくぶっ飛んだものになり、それを気合いで乗り越えていくスタイルである。理論派のアニメオタクの人からすると、「なんだよこれ……」となってしまうのだろうが、でもこういう熱さを全面に押し出した作品もあっていいと僕は思う。

その中で『劇場版グレンラガン螺巌篇』における急激なインフレは、無茶苦茶なように見えて、実は意味があることなのではないかと思う。本作の肝は”穴掘り”と”ドリル”にある。穴掘りシモンは「墓穴掘っても掘り抜けて、突き抜けたなら俺の勝ち!」を信条としているキャラだ。『劇場版グレンラガン螺巌篇』だと、ニアを救い出そうとする件の以下のセリフが印象的だった。

ニア:可能性は果てしなくゼロに近い

シモン:でも、ゼロじゃないんだな。だったら俺にとっては100%と同じことだ。

『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇』より引用

なぜ「俺にとっては100%なのか」というと、シモンは絶対に諦めることをしないからだ。シモンは、天を突くまで穴を掘り続けられる人間なのである。だから0.0000001%だろうが、シモンは何百億回も打席に立てるので、そのごくわずかな確率を掴むことができる。多元宇宙からシモンたちが脱出できたのも、この理屈だ。シモンは、確率が本当に0%でない限り、何度でも立ち向かうことで、その確率を掴み取ることができる。これこそまさに天元突破である。

だから、ストーリーが宇宙規模に広がっても全くおかしくない。思わず笑ってしまうほどインフレした設定も、シモンたちにとってはマジのマジで本気なのだ。最終的に、螺旋エネルギーを持つ人間が半螺旋族を倒せたのも、人間たちの螺旋エネルギーが巡り巡って、シモンたちを助けたという見方ができる。これぞ、まさに人間のできることだ。

僕は現在23歳で、多分、僕が死ぬまでに、人間は宇宙に到達できるのではないだろうか。宇宙に完全移住するのは難しいと思うけど、僕が死んでからあと数百年もすれば、大宇宙時代が到来するのではないだろうか。これも、螺旋エネルギーが為せる技である。人類が何度も実験を重ね、ごくわずかな確率を掴み取ることができるからこそ、文明の発展がある。きっと人類は、いや、宇宙上に存在する生命体は、必ず次元の壁を突き破るだろう。なぜなら、確率がゼロじゃないから。確率がゼロじゃない限り、僕たち人類は、必ず墓穴を掘り抜けることができるのだ。

さいごに

やっぱり『天元突破グレンラガン』はめちゃくちゃにカッコいい。それに、得られる教訓もたくさんある。僕の人生観に影響を与えた作品だし、おそらく『天元突破グレンラガン』に影響された人は、一定数いると思う。

そして今石洋介のケレン味溢れる演出と、熱すぎるアニメーション表現が楽しかった。劇場版で見れて本当によかった。今後も今石洋介監督の作品をガンガン追いかけていこうと思う。

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