今回は『劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(以下、劇場版はめふら)』について語っていく。
『はめふら』は山口悟によるライトノベルが原作で、2020年春クールにTVアニメ1期、2021年夏クールにTVアニメ2期が放送された。そして2023年12月に『劇場版はめふら』が公開。
アニメ制作はSILVER LINK.が担当した。
『劇場版はめふら』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 70点 |
世界観・設定 | 60点 |
ストーリー | 69点 |
演出 | 73点 |
キャラ | 70点 |
音楽 | 80点 |
作画
『劇場版はめふら』はTVアニメに比べて圧倒的に作画がよかった。普通に『はめふら』のネームバリューにふさわしいクオリティまで底上げされたと思う。体感としては「力が入ってる時のSILVER LINK.」という感じだ。
また、映画館のスクリーンを意識してアスペクト比も横長なものに変更。それにあわせて、作画の構成なんかもいつもと違う感じになっている。これがTVアニメでも続けばいいのに。笑
世界観・設定
アニメオリジナルの劇場版にありがちな「シリアス強めの世界観」だ。また「同じ制作会社のゲームは世界観が繋がっている」ということで、新しい乙女ゲームが乱入して、そこでカタリナが奮闘する感じになっている。
それでいて、ついに”魔法”がフル活用されるようになっていて、ジオルドとがメラゾーマぐらいの魔法を出している。これはもはやバトルアニメ。でもまあ、これはこれでアリだ。
個人的には、TVアニメに比べて、ターゲットをやや女性に寄せた印象を受けた。
ストーリー
今回の『劇場版はめふら』は、原作者・山口悟による完全新作の書き下ろしになっている。そして、シリアス要素が非常に増えていて、バトル要素も増えた。
全体的なストーリー構成は「まあ、普通」という感じなのだけれど「劇場版1本の中に上手く収めたなぁ」という印象を受けた。
サーカスでの出会いから王国滅亡阻止まで『はめふら』の割にはエキサイティングでボリューミーなストーリーだったと思うけど、しっかり尺に収まっている。
演出
作画が向上したことに伴い、演出のクオリティも劇的に向上した。時折、2コマ打ちやフルアニメーションと思わされる動きも見受けられて、リソースにそれなりの余裕が生まれていることがわかる。
また、ピンボケを利用した実写的な演出も見受けられて「これは本当に『はめふら』なのか?」という感じだった。
キャラ
『劇場版はめふら』のゲストキャラであるアーキルに深堀りしたこともあって、いつものメインキャラである4人の存在感がかなり薄まった。まあこれはしょうがない。
音楽
結構ガチめの挿入歌を作ってたり、主題歌がangelaと蒼井翔太のコラボだったりで、音楽にはかなり力が入っていたことがわかる。
『劇場版はめふら』の感想
※ネタバレ注意!
やっぱり女性客が多い!
実際に『劇場版はめふら』を映画館で見たわけだが、やはり女性客の方が多かった。割合で言うと8:2で女性の方が多い。
しかも女性と言っても、年齢的には非常に若く、多分、10代(JK)と20代前半がほとんどだったように思える。「乙女ゲーム」ってかなり古めかしい設定な気もするけど、それは関係なしに、純粋に「異世界転生系」として作品を楽しんでいるのかもしれない。
それで実際に『劇場版はめふら』を視聴してみて、TVアニメより、やや女性向けなストーリーになっていた気がする。でもそれはおそらく、『劇場版はめふら』のシリアス要素の割合が大きかったのデカい。シリアス要素が多く、カタリナが少女漫画のようによく泣くので、それが影響したのだと思う。
それにしても作画がいい……
それにしても『劇場版はめふら』は作画がよかった。挿入歌のミュージカルシーンや戦闘シーンなど、全体的に作画カロリーが高かったのに、作画が十分についてきた。それに日常シーンでも、キャラが全体的に細かく動いていた(これはTVアニメではほとんどなかった)。
個人的に印象に残っているのは、王女のフリをしたクミートが初めて登場するシーンで、あの怪しさ満点のヌルッとした動きを見て、「いつもの『はめふら』とは違う」と思わされた。
また、明らかに作画の構成も飛躍的にパワーアップしている。先ほども述べた通り、ピンボケやカメラのブレなんかの実写的な演出が用いられていた。個人的に印象に残っているカットは、星空の下でカタリナとアーキルが会話するシーン。星空が非常に綺麗だったし、斜めの角度を用いたりして「星空の下の二人」を強調しててエモかった。
さいごに
個人的には『はめふら』は3期をやるのではないかと思う。出版社は一迅社だから続編制作に意欲的だと思うし、『はめふら』はほぼ間違いなくビジネスが黒字になる。
もし劇場版と同じクオリティでTVアニメ3期をやってくれるのであれば、僕は間違いなく視聴する。一方で、クオリティが微妙っぽかったら、多分見ない。
まあこれについては、続編発表に期待だ。