【はめふら2期感想】スナック菓子のように軽くて美味しいアニメ

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X

今回は『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X(以下、はめふら2期)』について語っていく。

『はめふら』は小説家になろうで投稿されていたWeb小説が原作で、2015年より一迅社文庫アイリスで刊行開始。2020年春クールにTVアニメ1期が放送され、2021年夏クールにTVアニメ2期が放送された。

アニメ制作はSILVER LINK.が担当している。

目次

『はめふら2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画60点
世界観・設定60点
ストーリー65点
演出68点
キャラ70点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

TVアニメ1期に比べて、作画が明らかによくなった。正確に言えば、通常時の作画のクオリティは大して変わらないものの、見せ場で良作画を少しだけ出すようになった感じだ。

ただし相変わらずOPの作画は微妙で、それどころか絵コンテ段階でかなり微妙な気がする。せっかくOPがいい曲だから、OPだけは作画に気合い入れても良かったんじゃないかなぁと思う。

とはいえ、SILVER LINK.の「予算の中で上手くやる技術」は相変わらずで、そればかりはしっかり評価しなければならないだろう。

世界観・設定

『はめふら2期』では”破滅フラグ”の要素はほとんど出ず、”魔法と剣の世界”とか”中世貴族”の世界観のみが継承され、そのなかでドタバタラブコメディが描かれている。

ただし、”破滅フラグ”の要素はなくても、恋愛ゲームの要素だけは残っていて、今回の『はめふら2期』では、ジオルドとキースを攻略したことになっている。

ストーリー

今回は3巻から5巻までを映像化しているため、単純計算だと1巻あたり4話ペースでアニメ化していることになっている。でも、尺にはかなり余裕が感じられた。

また『はめふら1期』ではカタリナが破滅フラグを解消するために幼少期から色々と根回しするシーンが描かれていたのに対し、『はめふら2期』では、ひたすらカタリナが愛されるストーリーとなっている。ここまで来ると、もはやカタリナが聖人に見えてくるというか、ジャンルとしては、悪役令嬢系というより日常系に近い気がしてくる。

演出

TVアニメ1期から大幅にパワーアップしたと感じるのが演出だ。作画と同じで、通常時で大きな変化はないけれど、見せ場での演出がとても印象的だった。

クライマックスにあたる第11話『キースがいなくなってしまった…(後編)』はもちろんのこと、個人的には第8話『お見合いしてしまった…』のピントを活用した演出が印象的だった。

キャラ

先ほども述べた通り、クラリスがあまりにもお人好しすぎるので、ちょっと浮世離れ感が出てしまっている。これはこれで逆に、視聴者視点だと現実逃避的なキャラになっているというか「結局は『はめふら』も異世界転生系なんだなぁ」という印象を抱いてしまった。

また、男女から愛されるハーレム展開になってきていて、まあこれはこれで、泥沼のシリアス展開ゼロの日常系だと思えば、普通に楽しく見れる。個人的には、メアリがいい味を出していると思う。

音楽

OPの『アンダンテに恋をして!』は、TVアニメ1期の『乙女のルートはひとつじゃない!』に続いて、中々の電波ソングに仕上がっている。でもやっぱり「映像がもう少し良ければ……」と思ってしまう。

EDの『give me ♡ me』も中々いい曲。アニサマで聴いたことのある曲だったので、個人的に印象に残っていた。アニサマでも、この曲は中々盛り上がっていた気がする。

また、あらためて『はめふら2期』を振り返ってみると、劇伴が中々よかったと思う。

『はめふら2期』の感想

※ネタバレ注意!

『はめふら』はスナック菓子みたいなもの

今更の話だと思うが、アニメを初めとした映像コンテンツは、どれだけの視聴時間を稼げるかが重要だ。当然、1話切りされるよりは最終話まで視聴してくれた方がいい。そして、従来のパッケージを前提にしたビジネスの場合、アニメにもそれなりのクオリティや濃密さが求められていた。しかし現代は配信がメインになっていて、このビジネスモデルの場合、必ずしもクオリティや濃密さを追求する必要はなく、むしろ視聴時間が伸びてくれるのであれば、ながら視聴でも構わないわけで、つまり、仕事しながらとかゲームしながらでも見れる「軽いアニメ」が視聴者に求められているのではないかと思う。

それでいえば『はめふら』は、まさにスナック菓子のごとく軽い。『はめふら』にメッセージ性のようのものはほとんどなく、恋愛展開も薄い。そう考えると『はめふら』は日常系のようなものだ。

でも『はめふら』がおもしろいのは、何かに特化しているわけではないということである。全体における絶妙なバランスが「軽さ」を生み出していると考えられる。

例えば異世界転生系の作品で比較するなら『リゼロ』や『幼女戦記』は、間違いなく重い作品である。一方で『このすば』は、一見すると軽い作品のように思うが、実はそんなことはない。『このすば』はとにかくギャグに全振りしていて、そのギャグがかなり面白いから、仕事とか作業とかのながら視聴ができなくなってしまうパワーがあると考えられる。そういう意味では、実は『このすば』も重い作品なのではないだろうか。

一方の『はめふら』は、ギャグ展開も恋愛展開もシリアス展開も、全体的にほど良いバランスになっている。見方を変えると「個性がない」になるのかもしれないが、そこは声優の演技と、”悪役令嬢のパイオニア”というイメージが補っているように感じられる。

だから『はめふら』はサクッと楽しめる非常に軽い作品に仕上がっていて、ついつい手を伸ばしたくなってしまうのだ。それでいて、たしかに視聴者層は男女でほどよいバランスになっているのだろうが、グッズ収入などのキャッシュポイントの大部分は女性ファンに依存しているのも非常におもしろい。偏見かもしれないが、男性ファンよりも女性ファンの方が、二次元コンテンツに対する財布の紐が緩いので、女性ファンにキャッシュポイントを設けるのは、かなり美味しいと思う。

そう考えるとビジネス的にも『はめふら』はサクッと稼げる美味しいコンテンツなわけで、製作者視点でも視聴者視点でも『はめふら』はスナック菓子のようなのである。

さいごに

『はめふら』は2023年に劇場版が公開されていて、そもそもそれを映画館で視聴するために、僕は『はめふら』のTVアニメを見ていたのであった。ということで、一刻も早く『はめふら』の劇場版を視聴しようと思う。

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