【ヒロアカ劇場版『2人の英雄』感想】無個性でも活躍できる!

ヒロアカ劇場版第1作
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄〜(以下、2人の英雄)』について語っていく。

『ヒロアカ』は堀越耕平の漫画(週刊少年ジャンプ)が原作で、2016年春クールにTVアニメ1期、2017年春クールから2クールにかけてTVアニメ2期が放送された。そして2018年8月に『2人の英雄』が公開される。

アニメ制作はボンズが担当した。

目次

『2人の英雄』の評価

※ネタバレ注意!

作画91点
世界観・設定・企画83点
ストーリー83点
演出85点
キャラ83点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

ついにボンズの本気の作画を見ることができた感じだ。とにかく戦闘シーンの迫力がすごい。特にオールマイトとデクが共闘するシーンは凄まじいものがある。なんといっても背景が動くのだ。いまどき、こんなのはボンズしかやらない。笑

世界観・設定・企画

ヒーローの博覧会が舞台になっていて、全体的に世界観は楽しい。「街中での個性の使用が自由」というのも興味深い設定だ。

「無個性でも活躍できる」というメッセージがしっかり伝わってきた。

ストーリー

約90分というちょうどいい長さの尺で、1年A組のクラスメイトたちの活躍の場を持たせつつ、新キャラやオールマイトをしっかり深掘りしていた。デクにサポートアイテムを献上するなど、ストーリーを円滑に構築するためのギミックが、ナチュラルに仕掛けられていて、全体的にシナリオのクオリティが高いと思う。

演出

ボンズらしい演出が、やっと見れた。戦闘シーンの迫力の仕方が、これまでと全く違う。アニメーション表現のセンスを感じさせられる。終盤では3DCGを使用していたけど、なんだかんだで手書きアニメとのコンポジットはナチュラルだった。

キャラ

新キャラのメリッサ、デヴィットをしっかり深掘りしながら、オールマイトやデクも深掘りし、1年A組全員に活躍の場を持たせていた。強いていうなら、ヴィランのウォルフラムをもっと深掘りするとおもしろいと思うけど、流石にそんな尺はなかった。でも、オール・フォー・ワンに結びつけたのは、良いアイデアだと思う。

音楽

主題歌の『ロングホープ・フィリア』は、タイトルにもある通り、ほぼ間違いなくオールマイトとデヴィットの曲だと思う。菅田将暉らしい良い曲だった。

『2人の英雄』の感想

※ネタバレ注意!

シンプルなクオリティの高さ

『2人の英雄』は、シンプルにクオリティが高かった。

まず、アニメーション表現に関しては、戦闘シーンがとにかくすごい。視聴者を飽きさせないように、実に様々な動かし方をしていた。そして何よりも、オールマイトとデクの共闘シーンにおけるカメラワークは凄まじいものがあった。

通常、自由自在にカメラワークを活用するために、日本のアニメ業界では、背景を3DCGにすることで対応することが多い。その典型例が『鬼滅の刃』だ。一方で今回の『2人の英雄』では「背景を動かす」という旧来型の強引な方法で、ダイナミックなカメラワークを実現させた。いまどき、こんなアニメーション表現をやるのはボンズくらいしかない。このシーンを見て僕は「ついにボンズが『ヒロアカ』で本気になった!」と思った。できることなら、これをテレビアニメでやって欲しいけど、さすがにそんな無茶はしないだろう。

また『2人の英雄』は、ストーリーのクオリティも高かった。本作は、オリジナルストーリーということで、原作のストーリーに干渉しない程度で、おもしろいストーリーを作る必要がある。そのうえ『ヒロアカ』はキャラクターの数が非常に多く、それらのキャラクターの成長をちゃんと描く必要があるので、シナリオの構築難易度が高いことが予想される。

しかし、今回の制作陣は、この難しい仕事をちゃんとやり切った。様々な伏線やギミックを活用することで、全体として、エンタメ性の高いストーリーを構築することに成功したのだ。それでいて、原作との関係性もバランスが良い。完全にサイドストーリーと言うわけではなかった。

一方で、個人的には、ボンズらしい尖った『ヒロアカ』を見てみたいという気持ちがある。

無個性でも活躍できる場はある

結局、デクはオールマイトから個性をもらったわけで、無個性としての葛藤が描かれることは無くなった。その点、今回の『2人の英雄』でメリッサを通じて、無個性特有の葛藤を描いたのは、とても良かったと思う。

メリッサは無個性で、デヴィットはヒーロー向きの個性ではない。でも、自分たちで努力して、ヒーローをサポートするための研究開発に携わることで、世界平和を実現しようとしている点には、多くの学びがあるはずだ。別にインフルエンサーやイーロン・マスクのような超人である必要は無い。何か優れた才能を持っていなくても、努力と工夫次第で、いろいろなことができるはずだ。

そして実のところ、才能があろうがなかろうが、何かを成すためには、ほぼ間違いなく努力と工夫が必要なのである。とすると、結局は後天的な要素が重要であり、それって個人のマインドセット次第だよね、ということになる。僕たちは、メリッサみたいになれるのである。

さいごに

『2人の英雄』は、本気のボンズって感じがして、とてもおもしろかった。

この次はTVアニメ3期で、林間合宿編が描かれることが予想される。激アツな展開になることは間違いない。早速視聴しようと思う。

この記事をシェア
目次