今回は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』について語っていく。
本作はTVアニメ5期の放送中に上映された映画で、アニメ制作は引き続きボンズが担当している。
『ヒロアカ ワールド ヒーローズ ミッション』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 91点 |
世界観・設定・企画 | 83点 |
ストーリー | 84点 |
演出 | 90点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 89点 |
作画
テレビアニメ5期が微妙だった分、今回の劇場版の作品のクオリティーは極めて高く、まず間違いなくこれまでの映画の中でナンバーワンだった。
とにかく背景がよく動く。特にデクと轟と爆轟が合流してからの戦闘心は凄まじいものがあった。カメラワークがとんでもなく、これぞボンズの本気。
また、以前に比べて漫画的な表現も増えていると思う。
世界観・設定・企画
本作は舞台が世界に広がり、規模としてはかなり大きい。もちろん設定にはいくつか穴があるけれど、これぐらいガバガバでいいのかもしれない。
というか全体的にハリウッド映画みたいな作り方をしていて。世界観とか設定はイージーに、ストーリーはわかりやすく、そして映像は大胆。デクの黒鞭は明らかにスパイダーマンを意識してると思う。
ストーリー
前回は1年A組全員が深掘りされていたけど、今回はいつもの3人の戦闘シーンが多い。それと前半は、デクの逃避行が描かれるのだけど、これが中々におもしろかった。
演出
先ほども述べた通り、戦闘シーンが凄まじい。背景がめちゃくちゃ動いていて、その分カメラワークの大胆だ。特にデクと爆豪と轟が合流するシーンに関しては、長尺の大胆なカメラワークが行われていて、これは映画館で見たかった。
デクの黒鞭のスパイダーマンもどきのシーンに関しても、背景は3DCGだが、やはりカメラワークが凄まじかった。
キャラ
本作は再びデク、爆豪、轟のお決まりの3人が中心になって描かれた。それと本作の新キャラであるロディ・ソウルがいい味を出している。
音楽
主題歌はアジカンの『エンパシー』と『フラワーズ』で、これが最高によかった。これまでの主題歌でNo.1かもってぐらい。特に挿入歌の方はよかったなぁ。映画館で聞きたかったなぁ。
『ヒロアカ ワールド ヒーローズ ミッション』の感想
※ネタバレ注意!
世界が舞台だからちょっと「セカイ系」?
今回はスケールが一気に大きくなり「世界」が舞台になっている。これまでのストーリーも、一応スケールは大きかったけど、「1つのミスで世界滅亡」というシチュエーションは、これまでになかったと思う。
そのうえ、オリジナルキャラであるロディ・ソウル目線で言えば「世界or家族」の選択が迫られているわけで、これはもはやセカイ系だ。一応、本作が上映中に放送されていたTVアニメ5期も、轟家や志村家など「仕事か家族のどっちを選ぶのか?」というのがテーマになっていた。
ロディの気持ちもわかるっちゃわかる。ロディは、別に自分の保身のためではなく、あくまでも弟と妹のために日々を生きていた。だから、デクを見捨てようしたのも、それはそれで1つの正義だと思う。
当たって砕けて成長するプルスウルトラ
一方で、初期のロディがプルスウルトラしていたのかと言われれば、それは「No」である。ロディは、自分自身の可能性を勝手に決めつけて、未来のことを考えず、ただ毎日を一生懸命に生きるだけだった。環境のせいにしていた。
同じく、本作のラスボスであるフレクト・ターンも、自分の個性のことを「病気」だと結論づけ、限界を越えようとせず、結果として、非科学的な「個性終末論」に傾倒してしまう。
限界を超えるということは、苦痛を伴う行為だ。自らが「快適」だと思うコンフォート・ゾーンを抜け出して、「普通」を凌駕する必要がある。とてつもない努力が必要なのは言うまでもない。しかし、そうでもしなければプルスウルトラすることはできない。
プルスウルトラは苦痛を伴うから、楽をしたがる人間は、苦痛を避けるようになる。限界から逃げるようになる。何かのせいにするようになる。フレクトは自分の個性のせいにしたし、ロディは環境のせいにした。
本当は、個性は使い方次第でいい方向で使えるのだけど、それをどうするかを決定づけるのは当人次第だと思う。死柄木の個性だって、解体現場とかで使えると思うし、それはきっと僕たちの生きる世界でも変わらない。