『ヒロアカ7期』を視聴した。やっとリアルタイムに追いついた……。
本記事執筆時点で原作漫画は完結したが、アニメ版はあと少しだけ続く。ストーリーは既に最終章に入っていて、手に汗握る展開がずっと続いていく。
『ヒロアカ7期』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 88点 |
世界観・設定・企画 | 85点 |
ストーリー | 88点 |
演出 | 85点 |
キャラ | 88点 |
音楽 | 83点 |
作画
ひたすらカロリー多めな作画が続く。スマホに最適化された迫力あるシーンが続き、見ていて飽きることはない。戦闘シーンは映像で見せてくるが、会話シーンはシンプルなので、ストーリーが頭の中に入ってきやすい。
世界観・設定・企画
クライマックスに突入していることもあり、楽しいシーンはほとんどない。ひたすら辛い状況が続いていく。原作漫画に限りなく近いペースで制作されているため、リアルタイム性が強く、ファンの盛り上がりも凄い。日程調整はプロデューサーが頑張ったんだろうな……。
ストーリー
最終章ということでひたすら群像劇が続く。本来であればテンポが悪くなるところだが、1話単位でストーリーがちゃんと進むので、サクサク進んでいる感じがする。原作漫画のストーリーを上手く脚本に落とし込んでいる。
演出
原作漫画を読んでいる僕の弟曰く、登場人物の幼少期とかは原作漫画にはあまりないエピソードらしい。今回の『ヒロアカ7期』は、OP映像から「幼少期のキャラ」が向き合っているシーンが印象的に挿入されているけど、これはもしかしたらアニメ特有の演出っぽい。
キャラ
僕は、キャラの深掘りに関して、過去エピソードの回想シーンがあまり好きじゃない。ストーリーの都合でいくらでも設定を後付けできるからだ。
でも『ヒロアカ』はストーリー都合ではなく、「幼少期の体験が教育において重要」というメッセージを伝えようとしていて、実際に『オリジン』というタイトルに落とし込んでいる。だから過去エピソードが挿入されても嫌悪感を感じないし、むしろ過去のエピソードにキャラクターの原点が眠っている印象さえ受けた。
音楽
前半クールのOPはTK from 凛として時雨の『誰我為』で、終末期の世界が表現されている。後半クールのOPは優里の『カーテンコール』で、韻を踏んでいてリズミカル。映像のカットも合っている。
一方で前半EDはOmoinotakeの『蕾』で、これはまあ「うん……」という感じ。後半EDはざらめの『六等星』でお茶子とトガヒミコの関係性を歌っている。
全体的に『ヒロアカ7期』の世界観に合った楽曲が提供されてる感じだ。
『ヒロアカ7期』の感想
※ネタバレ注意!
答えを見つけるまでの物語
これまでの『ヒロアカ』は、それぞれのキャラが抱いている”正義”や”価値観”が提示され、それが作中のヒーロー社会と強く結びついていたのが、とても面白く感じられた。なぜなら、それが私たちの世界における「生きる意味」とか「社会観」を暗喩しているように思ったからだ。
んで、今回の『ヒロアカ7期』は最終決戦ということで、ある意味で「1つの答えを出すまでの物語」とも言える。それぞれの正義がぶつかり合って、一体何が正しいのかを見つける戦い。AFOは捻くれすぎだとしても、死柄木やトガヒミコは同情できる余地が十分にある。既にヴィランになってしまったのはしょうがないとして、そこからどのように生きればいいのか。そして社会の歪みがヴィランを生み出したことに対して、ヒーローや一般市民はどのように責任を取るべきなのか。そういう物語だと思う。
荼毘とトガヒミコの後悔
今回の『ヒロアカ7期』で、ひとまず荼毘とトガヒミコの戦いは終わった。2人も全く異なる背景を持っているように思うが、家族から見放された(と感じていた)点は共通している。特にトガヒミコに関しては、完全に家族から見放されていて、もう取り戻すこともできないから、多分荼毘よりも収拾がつかない状況だった。
そんな2人だが、最終的な結末はほとんど同じ。2人とも「後悔」していたのである。こんな簡単なことでよかったのか……、と。
それは、荼毘やトガヒミコだけでなく、轟家やお茶子も同じ感情を抱いていた。すごく簡単に言えば、ちゃんと受け入れて、ただ抱きしめることができれば、荼毘やトガヒミコを救えたはずだった。
荼毘もトガヒミコも、償いきれないほど多くの命を奪ってしまったけど、それでも前を向いて生きることはできたはずなのである。
意志は受け継がれる
『ヒロアカ7期』でもっともショッキングだったのが、爆豪が”1回”死ぬシーンだ。心臓がぶっ飛んだってことらしいから、それはもうとんでもない。展開的に、おそらく蘇るのだと思うけど、それにしても爆豪が1回見せた覚醒シーンも鳥肌モノだった。それを見たエッジショットが「こいつを死なせるわけにはいかない!」ということで、自分の命を犠牲にしてでも、爆豪を蘇生させることに決めたのである。
きっと爆豪は蘇り、最強のヒーローになるのだと思うが、これこそが『ヒロアカ』がやりたかったことのように思う。意志は受け継がれるものなのだ。このテーマはAOFの対比にもなっていて、そもそも”人間”という生き物は、愛で子供を育むことで、生き残り続けた種である。ワン・フォー・オールの個性の本質は「継承」だし、今回のエッジショットの行動も「継承」である。
デクはオールマイトから、轟はエンデヴァーから、そして爆豪はベストジーニストとエッジショットから意志を受け継ぐことで、今後もヒーロー社会を支え続けるのだと思う。逆に言えば、荼毘やトガヒミコは、社会の歪みから「正義」や「愛」を継承してもらえなかったから、人間性に問題が起きてしまったのだと思う。
さいごに
『ヒロアカ』のファイナルシーズンは2025年に放送予定とのこと。僕の予想だけど、多分何かしらの劇場アニメもやるのではないだろうか。
このままブランクを作らず、TVアニメ版も駆け抜けていってほしいと思う。