【怪獣8号感想】夢を追う30代のおっさんが魅せる未来への希望

怪獣8号

今回は『怪獣8号』について語っていく。

『怪獣8号』は松本直也による漫画(少年ジャンプ+)が原作で、2024年春クールにTVアニメ1期が放送される。

アニメ制作はProduction I.Gが担当した。

目次

『怪獣8号(TVアニメ1期)』の評価

※ネタバレ注意!

作画89点
世界観・設定・企画82点
ストーリー80点
演出82点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

『怪獣8号』は、戦闘シーンと日常シーンで作画の雰囲気が全然違く、やはり戦闘シーンや怪獣の描写は凄まじい。しかしそのせいもあってか、日常シーンがチープに見えてしまうのが懸念点だ。もし日常シーンもシネマティックに描写されていたら、すごい作品になっていたと思う。しかしシネマティックにしすぎると、コメディ要素が薄くなる。悩ましい。

世界観・設定・企画

タイトルにもある通り、怪獣が登場する世界。Wikipediaにも書いてあるけど、怪獣系作品は、第二次世界大戦以降の『ゴジラ』系と、東日本大震災以降の『シン・ゴジラ』にわかれる。東日本大震災以降、怪獣は自然災害のメタファーとして扱われることが多く、今回の『怪獣8号』も怪獣の強さを「フォルティチュード」と呼ばれる数字で示していることから、自然災害をベースにしているのがわかる。

その一方で、ジャンプ的なコメディ要素もミックスさせており、少年も青年も楽しめる現代っぽい作品に仕上がった。アニメ制作をProduction I.Gが担当しているのも、しっかりしている。

ストーリー

やはりジャンプ作品ということもあり、ストーリーは抜群におもしろい。一気に視聴してしまった。主人公最強系の気持ちよさがありながら、ちゃんと主人公が努力しているシーンを描いているのもジャンプ漫画らしい。

また、テンポ感が非常に速く、この1クールで実に様々な衝撃を視聴者に提供することに成功している。

演出

戦闘シーンの演出は最高だ。カメラワークをガンガンに動かして、ダイナミックな映像を提供している。

また、怪獣デザインには『エヴァ』のスタジオカラーが参加していることから、怪獣の描写が実に生々しい(現実に存在しないのに)。

キャラ

『少年ジャンプ+』だけど、主人公が32歳というのが、現代アニメ界の「大人の子ども化」を如実に表している。でも実際のところ、32歳ぐらいが一番アニメが好きな世代だと思う。「まだ夢を追いかけられる」ということをおっさん達に示している。

ヒロインも中々に可愛いが、キャラデザが原作漫画に比べてチープかも。

音楽

OPはヤングブラッド、EDはワンリパブリックが担当というヤバすぎる構成。はたしていくら積んだのだろうか……。そしてこれで分かる通り『怪獣8号』は本気で世界を視野に入れていることがわかる。

『怪獣8号』の感想

※ネタバレ注意!

夢を追いかける30代のおっさん

ジャンプ作品を見るときに、とても大事にすべき視点がある。それは「なぜヒットしたのか」と言うことだ。やはりジャンプ作品は、インディーズ系の作品に比べて大衆的なので、ニッチ的なおもしろさには欠ける。というか、ニッチをジャンプ作品に求めるのは違う。
一方でジャンプが「売れる漫画」を追求しているのは、間違いない。そして売れる漫画とは、多くの人に刺さる作品ということである。それは逆に言えば、多くの人が求めている作品ということだ。

今回の怪獣8号の特徴は、やはり主人公にあるだろう。少年漫画にもかかわらず、主人公のカフカは32歳のしがないおっさんだ。もはや青年漫画である。ウィキペディアを読んでみると、編集部は「怪獣8号が若年層に響かないのではないか」と懸念していたようだが、実際には多くのファンを獲得することに成功する。

つまり世の中は「30代でも夢を追いかけていい」という希望を強く信じたいのだ。

そして、若年層にとって怪獣8号は「未来を楽観的に見ること」の手助けのようなものになっていると僕は考える。30代でも夢を追いかけていいのであれば、なんとなく未来に希望を持てるような感じがする。

怪獣は、はたして悪なのか?

東日本大震災以降、怪獣のメタファーが自然災害なのだとしたら、本作において、カフカが防衛隊に留まることができたのは、非常に大きな意味があると思う。なぜなら「自然災害=悪」の図式が成り立たなくなるからだ。

はたして、この世の中の自然災害は、完全悪なのだろうか。たしかに自然災害は、多くの生命を奪うし、文明社会に多大なる悪影響を与える。一方で、自然災害が地球の自浄作用という見方もできる。科学が登場する前、人類は自然に畏怖し、自然の怒りを買うことを恐れた。現代社会を生きる人類は、どうも自然をナメている感じがある。普通に考えて、地震大国に、耐震性の薄い原発を置いていいわけがない。

一方で人類は、自然が生み出すエネルギーを効率的に取り出すことで、文明を劇的に進化させてきた歴史がある。まだあまり現実的では無いかもしれないが、自然災害をエネルギーとして取り扱うこともできなくはなさそうだ。

今回の部隊長の判断は、カフカを防衛隊に取り込むことで、戦力を大幅に強化するというものだった。同じく、現代社会でも、自然災害を味方につける取り組みが実施されそうである。これはとてつもなくリスキーなことのように思えるが、そうでもしないとエネルギーを確保できない状況は、かなり現実的になっているようにも思う。

怪獣を味方につけなければいけない時代は、既に到来しているのかもしれない。

さいごに

『怪獣8号』は続編が決まっているらしい。

やはり戦闘シーンや怪獣の描写は素晴らしく、これを見るためだけに視聴するのもアリな気がする。それでいてストーリーは王道なので、ちゃんと楽しめる。

引き続き視聴を継続したいと思う。

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