【言の葉の庭感想】新宿御苑の緑と、少年の愚かさが、美しい

言の葉の庭

今回は『言の葉の庭』について語っていく。

『言の葉の庭』は2013年に公開されたアニメ映画で、監督は新海誠が担当している。

目次

『言の葉の庭』の評価

※ネタバレ注意!

作画95点
世界観・設定85点
ストーリー80点
演出80点
キャラ80点
音楽80点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティは非常に高い。僕は本記事執筆段階で『星を追う子ども』を視聴していないのだけれど、多分、『言の葉の庭』で新海誠スタイルが確立された気がする。やはり背景のクオリティが非常に高く、現実世界よりも10倍ぐらい美しい。

世界観・設定

新宿が舞台。とはいっても新宿のビル街ではなく新宿御苑だ。僕は新宿に数え切れないくらいに訪れたことがあるけれど、こんな庭園が存在していたことすら知らなかった。今度行ってみようと思う。笑

ストーリー

46分というちょうどいい感じの尺。背景のクオリティが高いこともあり、とても濃密な時間だった。この時間帯の作品がもう少し増えてきてもいいかなぁと思う。

そして恋愛要素がかなり強いストーリーだった。新宿を舞台にしていることもあり、現代人の息苦しさが巧みに描かれているのも特徴。

演出

新海誠らしい演出だ。クライマックスの演出は、正直勢いだけって感じがするけれど、音楽との相性が抜群で中々エモい。

キャラ

今までの新海誠作品では考えられないくらいに、主人公が熱い。いや、本記事執筆段階で僕が『星を追う子ども』を未視聴だから、正確に「『言の葉の庭』から主人公が熱くなった!」と断言できないけれど、とにかく主人公が熱かった。具体的には、高校生特有の非合理性というか、夢を見ている感じが好き。特に、ユキノを罵った先輩を殴りにいくシーンが素敵だった。こういうの、結構好きなんだよなぁ。

音楽

ピアノ楽曲が印象的だった。『言の葉の庭』が”雨”をテーマにしているので、それとピアノ楽曲の相性が抜群。

『言の葉の庭』の感想

※ネタバレ注意!(『天気の子』の内容もネタバレします)

少年は、愚かである

余談になるかもしれないが、僕は新海誠作品だと『天気の子』が一番好きだ。セカイ系ボーイミーツガールとして完成されていると思うし、中盤で主人公の帆高が大人たちに銃口を向けるシーンがとにかく好きなのである。少年というのは良くも悪くも愚かで、夢を見続ける。それが『天気の子』で、とても素敵に描かれていると僕は思うのだ。

しかし、この”少年の愚かさ”というのは、当初の新海誠作品では描かれなかった。いや、正確に言えば描かれているのだけれど、それはあくまでも心情描写としてであり、『天気の子』のように感情的な形で描かれることはなかったと思う。

だが今回の『言の葉の庭』で、それが見られた。主人公のタカオは、ユキノを退職に追い込んだ上級生グループに一人で文句を言いに行き、それでボコボコにされるのだ。

これはどう考えても非合理的な行動だが、少年というのは愚かであり、合理性よりも感情を優先することが多い。だからこそ、青春は美しいのだ。と、僕は思っている。

実際、タカオは靴職人を夢見ている。「いまどき、靴職人かよ!」と思ってしまうけれども、やはり、夢見る少年少女ほど美しいものはない。

新宿御苑が美しい

新海誠作品の最大の特徴は、美術背景の美しさだ。基本的には実在する風景がモチーフとなっていて、それが新海誠スタイルの色彩で描かれる。そのため、”実在する風景よりも作中に登場する雰囲気の方が美しい”という現象が発生してしまうのだ。

『言の葉の庭』の舞台は新宿。駅周辺の狭苦しい感じと、すぐそばにある新宿御苑の落ち着いた雰囲気とのミックスが絶妙だ。

というか僕は何度も新宿に訪れているし、渋谷駅から新宿駅まで歩いたこともあるけど、新宿御苑の存在は全く知らなかった。Googleマップで調べてみると、想像以上に広いことに気づく。

そして『言の葉の庭』では、新宿御苑が非常に美しく描かれる。鮮やかな緑が印象的で、雨が降るシーンが大半ということで雫の描写も素敵だった。この作品から、新海誠作品の美術背景が完成されてきた感じがする。そして『君の名は。』以降は、3DCGとかを上手く使いながら、美術背景を活用した演出の完成度がより高まっていくという感じだ。

さいごに

新海誠作品だと、『言の葉の庭』は『君の名は。』の前作ということもあり、スタイルがほぼ完成されているように感じた。特に美術背景の美しさは圧巻。

そして新宿御苑という、都市圏居住の僕からしたら超近場に聖地があるわけなので、近いうちに訪れてみようと思う。

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