ここでは『小林さんちのメイドラゴン(以下、メイドラゴン)』について語っていく。
『メイドラゴン』の原作は月刊アクションで連載中。2019年10月段階ではシリーズ累計発行部数は200万部を突破している。
アニメ制作は『京都アニメーション』ということで、放送前からかなりの期待があっただろう。実際には、原作に忠実ながらも京アニらしい繊細な作画が光る、良作となった。
『メイドラゴン』の感想
感想①:流石、京アニクオリティ
京アニが作るアニメはマジでハズレがない。『メイドラゴン』も例外ではなく、普通に面白かった。原作のキャラデザを繊細な作画で動かしていくこの技術は、他のアニメ制作会社には中々真似できないだろう。
京アニの真骨頂は『メイドラゴン』のような日常パートにある。通常、アニメにおける作画では戦闘シーンや背景の美しさが挙げられる。京アニの戦闘シーンや背景美術はもちろん素晴らしいのだが、他のアニメ制作会社の追随を許さないのは日常パート。とてつもなく繊細に動き、1ショットの構成も見事だ。
さらに京アニは非言語コミュニケーションの再現度が非常に高い。非言語コミュニケーションとはその名の通り言葉を使わないコミュニケーションのことだ。非言語コミュニケーションをアニメで表現するには、キャラの表情を巧みに表現する必要があるので非常に難しい。だがそれをいとも簡単にやってしまうのが京アニなのだ。
感想②:シリアスパートはいらなかったかもしれない
『メイドラゴン』のネット上の評価はもちろんいいのだが、「シリアスパートがいらないのではないか?」という意見が散見される。確かに『メイドラゴン』の強みは、ドラゴンと人間によるシュールな日常パートだ。だが、それをシリアスパートが下手に邪魔してしまっている印象がある。これは原作の構成の問題なのでアニメ制作には非はないだろう。
とはいったもののストーリー進行において、このシリアスパートは絶対に必要だ。これがないとドラゴンと人間の関係性が深堀りされないので、作品としての重みが失くなってしまう。
僕個人の考えとしては、『メイドラゴン2期』で、誰もが納得する素晴らしいシリアスパートが用意されていると期待している。
感想③:海外人気が絶大で続編決定
『メイドラゴン』は多くのアニオタが視聴していたと思うが、円盤売上は2,500枚程と微妙な数字だった。だが、それでも『メイドラゴン』の2期制作が決まったのは、中国ファンの影響が大きい。中国の動画配信サービスのbilibiliでかなりの数の再生数を記録しているのだ。
その理由としては龍がモチーフになっている点、日本の日常生活が垣間見える点が挙げられる。
中国にとって龍は馴染み深いものであり、それが中国人に受け入れられたという意見がある。
それに加え、『メイドラゴン』はさりげなく日本の文化が表現されている。カンナ(CV.長縄まりあ)が通う小学校や、春夏秋冬の行事をちゃっかりアニメに落とし込んでいるのだ。なんだかんだコミケも日本独自の文化だしね。
『メイドラゴン』の評価
作画 | 90点 |
世界観・設定 | 90点 |
ストーリー | 90点 |
演出 | 85点 |
キャラ | 90点 |
音楽 | 95点 |
作画
作画は文句なしのクオリティ。京アニはやっぱりすごいなぁ。
世界観・設定
世界観・設定は非常に面白い。ドラゴンがメイドをやるとかどんなアイデアだよ。
ストーリー
シュールな設定を最大限活かしたストーリーだった。ノンストレスでイッキ見することができる。
演出
普通のアニメ制作会社が『メイドラゴン』を制作していたら絶対できないような演出を、京アニは普通に仕掛けてくる。
キャラ
キャラの個性は非常に強い。カンナを始めとしたドラゴン勢はもちろんのこと、人間勢のキャラも非常にいい。小林さんがいいキャラしてる。
音楽
OP・EDはどちらもクオリティが高く、BGMも印象に残る。特にOPの「青空のラプソディ」は映像も含めて中毒性が高い。
さいごに
流石、京アニといった印象だ。京アニってだけで相当のプレッシャーがあるはずだが、それを余裕で覆す安定したクオリティは流石だ。
『メイドラゴン2期』も引き続き京アニが制作することになる。1期の時の監督だった武本康弘監督は火災事件で亡くなってしまったが、『メイドラゴン2期』のクレジットでは「シリーズ監督」として、武本監督が明記されている。この辺のクリエイターリスペクトも流石だ。
『メイドラゴン2期』は事件後初のTVアニメになるが、容赦無く期待できそうだ。