ピンポン(TVアニメ)評価:感想:レビュー→スポーツアニメの最高峰

ピンポン
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『ピンポン』のTVアニメについて語っていく。

『ピンポン』は1996年から97年まで『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた漫画が原作。作者は松本大洋だ。

これが2014年春クールにアニメ放送される。アニメ制作はタツノコプロ、監督は湯浅政明が担当している。

目次

『ピンポン』の感想

ネタバレしているので、未視聴の人は気をつけてください!

感想①:卓球経験者の目線で見てみた

僕は中学から大学までの10年間、卓球をやってきた。卓球関連の知識はもちろんのこと、卓球ならではの苦悩もある程度知っているつもりだ。

例えばOPには、デンマークのメイス選手とベルギーのセイブ選手のプレーが挿入されていることに、すぐ気づいた。卓球動画鑑賞が好きな人だったら一度は見たことがあるプレーで、あの横回転の入ったバックハンドは、メイス選手の代表的な技術だ。

そして『ピンポン』では、卓球ならではの苦悩もしっかり描かれている。具体的には2点。1つは才能。もう1つは、絶対的エースの存在によるチーム内の雰囲気悪化だ。

まずは才能について。卓球は他のスポーツと比べると、感覚的なセンスが要求される。もっと具体的に言うと、神経系の能力が求められるスポーツだ。これは幼少期のトレーニングが非常に重要になるうえ、遺伝、いわゆる才能の要素も大きい。しかも、他人の打球感覚を知る術がないため、自分に才能があるのかないのかの見極めも難しい。判断材料は、試合結果だけになると思う。また、神経系だけでなく、メンタルも要求される。トップレベルになると、数cm高くなるだけでチャンスボールになる世界なので、少しでもメンタルがブレると、プレーが一気にダメになる。ある意味、変態的なメンタルを持つ選手が、世界トップレベルの舞台に立てるといっても過言ではないだろう。

『ピンポン』では、ペコが最高の才能を持っていて、その対比として、才能に恵まれなかったアクマがいる。

そして、絶対的エースの存在によるチーム内の雰囲気悪化で言うと、そもそも卓球は個人スポーツだ。しかし、高校スポーツでやっていく以上、部活内でのチームワークも、とても重要になる。ただ、チームスポーツとは異なり、卓球(ネット系競技)には”個人の部”が別で存在しているので、最悪、こっちで活躍できればOKみたいな感じになる。つまり、スマイルみたいな独りよがりの練習も十分成立してしまうのだ。「チームメイトが弱くても、自分が強くなれれば、個人種目で活躍できるし」みたいな感じで。

これを踏まえた上で『ピンポン』を視聴すれば、卓球というスポーツを通じて、高校スポーツの面白さを楽しむことができると思う。

感想②:人生は楽しまなきゃ損

「『ピンポン』が何を伝えたかったのか」という問いがあるとしたら、僕は「人生は楽しまなきゃ損であること」だと答えると思う。

卓球をとことん楽しむことでゾーンに突入したペコとスマイルの決勝戦は、楽しむことが一番大事であることを証明するシーンだろう。挿入歌の『手のひらを太陽に』の歌詞を見ても、人生は楽しまなきゃ損であることを伝えたいように思える。

それに、TVアニメの『ピンポン』では、「血は鉄の味がする」が重要視されていた。ロボットのようなポーカーフェイスだったスマイルが、血の通った人間に戻り、笑顔を見せながら卓球する。この部分を、製作陣は一番見せたかったのではないかと思う。

『ピンポン』の評価

作画90点
世界観・設定90点
ストーリー90点
演出90点
キャラ85点
音楽90点

作画

松本大洋の独特な作画を完全に映像化してみせた。これぞ芸術って感じ。

世界観・設定

癖のある世界観だけど、僕はめちゃくちゃ好き。

ストーリー

実はなんだかんだで、主人公最強系のスポーツもの。そして、才能に対してどう向き合うのかが描かれる。スポーツ特有の葛藤のように思えるけど、競争原理の中で活動している人であれば、誰もが共感できるストーリーのはずだ。

演出

漫画に負けないくらいの演出だった。アニメ特有の演出が多く組み込まれていたのも良い。なんといっても、最終話の『手のひらを太陽に』は衝撃的だった。

キャラ

ペコ、スマイル、アクマ、ドラゴン、チャイナ。この5人の考え方の違いが考えさせられるものだった。

音楽

OPの『唯一人』、挿入歌の『Midnight Flight -ひとりぼっちのクリスマス・イブ-』、そして『手のひらを太陽に』が印象的。

さいごに

『ピンポン』は、非常に珍しい作品だ。何が珍しいのかと言うと、原作漫画・実写映画・アニメの全てのコンテンツで、高評価を得ている。しかも原作漫画は、いわゆる「映像化不可能」系の作風にもかかわらずだ。

ポップカルチャーが好きなのであれば、『ピンポン』は必ず鑑賞するべきだろう。僕もどんどん布教していこうと思う。

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