今回は『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ(以下、七夜の願い星ジラーチ)』について語っていく。
『七夜の願い星ジラーチ』は『ポケモンGA』における初の映画であり、シリーズ通算だと6作目となるポケモン映画だ。2003年に公開された。アニメ制作はOLMが担当している。
『七夜の願い星ジラーチ』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 75点 |
世界観・設定 | 75点 |
ストーリー | 75点 |
演出 | 70点 |
キャラ | 75点 |
音楽 | 75点 |
作画
作画のクオリティは明らかに落ちた。ポケモン映画といえばOPが挿入される大迫力のシーンだけれど、それが丸々ない。
それに前作の『水の都の護神』の背景があまりにも良すぎたために、本作の移動遊園地やファウンスはちょっと地味なイメージがある。移動遊園地に関してはもっと煌びやかにしてほしかったけれど、当時の技術だと難しいか。
世界観・設定
1000年に1度、7日間だけ目を覚ますジラーチの設定はおしゃれだ。ただ先ほども述べた通り、舞台設定がちょっと地味。ファウンスは武陵源がモデルとなっているようだけれど、『七夜の願い星ジラーチ』とはちょっと雰囲気が違うような……。でも七夕は中国発祥の文化か。
ストーリー
ストーリーは中々良かった。『七夜の願い星ジラーチ』で初めて、敵役と共闘する展開になったのではないだろうか。
それと今回はマサトが実質的な主人公。マサトって7歳らしいから、まあその辺の世代にも焦点を当てたストーリーだったと言うことだろう。
演出
音楽との連動が意識された演出だった。主題歌を作品の中に織り込む演出は、ポケモン映画だと初めてかもしれない。
また設定が設定なので、どこか切ない気持ちにさせられるシーンが多かった。ジラーチとの別れのシーンはもちろんのこと、サトシがマサトを慰めるシーンや、ラストのロケット団のシーンは、まるでミュージカルのような演出だったと思う。
キャラ
今回の敵キャラはちょっと地味。
あと、『アドバンスジェネレーション』の第1作目の映画ということで、ホウエン地方のポケモンが大量に登場した。フライゴンとかボーマンダとかキルリアとか。僕自身、エメラルドはめちゃくちゃやりこんでいたので、懐かしい気持ちになれた。
音楽
主題歌の『小さきもの』は、ポケモン映画の中でも屈指の名曲だろう。サビがとにかく耳に残るメロディーだ。
TVアニメではハルカやマサトがサトシとお別れするシーンにも『小さきもの』のBGMが挿入されていて、『アドバンスジェネレーション』の中だと特別な楽曲なのだと思う。
『七夜の願い星ジラーチ』の感想
※ネタバレ注意!
これまでにないほど壮大な世界観
『ポケモンRS(ルビー・サファイア)』では、宇宙をモチーフにしたポケモンが何体か登場しており、そのうちの1体がジラーチだ。ジラーチは1000年に1度に目覚め、しかも7日間しか目を覚さないという壮大な設定を持っている。
実際、ストーリーはとても切なかった。ジラーチの7日間が終わった後は1000年の眠りにつくわけだけれど、当然ながらサトシやマサトは1000年も生きれない。あのお別れのシーンは、本当にお別れなのだ。
個人的にはサトシがマサトを励ますシーンがとても印象的だ。
ジラーチにも眠っている千年は一瞬かもしれない。でも、こうして俺達と旅をしたのは違うんじゃないかなあ~。マサトもジラーチにも、その、一瞬とかじゃなくて、…俺、うまく言えないけどさ!
『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』より引用
そしてロケット団が完璧なセリフで物語を締める。
コジロウ「もう、お願いなんてどうでもいい」
ニャース「命が助かっただけで、十分なのニャ」
ムサシ「そうね。ここにこうしているだけで」
コジロウ「この瞬間を生きるのだ!」
ムサシ「幸せ感じながら」
ニャース「一瞬も永遠なのニャ!」
三人「なんだかとっても、いい感じ〜!」
『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』より引用
特に「この瞬間を生きるのだ!」や「一瞬も永遠」というワードは、心に刺さる名言だろう。
誰でもそうだけれど、壮大な未来を考えると、今が恋しくなってしまうものだ。でも壮大な未来なんか考えてもしょうがないし、今によって未来は出来上がる。ジラーチとはもう会えないかもしれないけれど、マサトとジラーチの心の中に思い出は残り続けるのだ。
さいごに
『七夜の願い星ジラーチ』は、これまでのポケモン映画と比べてもミュージカル調なストーリーだったと思う。まるでシェイクスピアの劇作のように、印象的な名言を散りばめてくるからだ。
その一方で、やはり作画のレベルは落ちていると思う。当然のことながら、年数が経過するたびに全体的な技術レベルは向上するわけで、それを考慮すると『七夜の願い星ジラーチ』の作画のクオリティはそこまで高くない気がした。
まあとにかく、次は『烈空の訪問者デオキシス』だ。これが2004年制作というのが信じられないのだけれど、子どもの頃から印象に残っていた作品なので、楽しく視聴したいと思う。