今回は『プリマドール』について語っていく。
『プリマドール』はゲーム制作ブランドのKeyによるメディアミックスプロジェクトで、2022年夏クールにアニメが放送された。アニメ制作はバイブリーアニメーションスタジオが担当した。
『プリマドール』の感想
正直、めちゃくちゃもったいないと思った。作画・音楽・キャラ・声優などの要素が非常に良かったのに、脚本がダメすぎて全部棒に振ってしまったという感じだった。個人的に、シリーズ構成はそこまで問題なかったと思う。でも1話1話のシナリオがダメすぎて、全部台無しになってしまった感じだ。
やはり一番の問題点は急すぎる展開だ。『プリマドール』は基本的に1話完結型でストーリーが進んでいく。
ここ最近のアニメで1話完結型は定番のスタイルだと思う。だが、よくよく考えてみたら、Key作品で1話完結型で上手くいった例はほとんどない。大体のKey作品は、一人のキャラに対して3話以上のボリュームをかけてゆっくりと描いていた。元々Key作品は壮大な世界観がベースになっているから、それを1話でまとめるのは少々無理があるのである。
それと、明らかに泣きすぎだし歌いすぎだった。とにかく登場人物が泣きまくって歌いまくるので、視聴者もどんどん冷めていってしまう。『プリマドール』は、僕たちのことを何回泣かせにきただろうか。多分10回以上は泣かせにきてるけど、1クールで10回は流石に多すぎだと思う。そういうのは、本当に大事なところだけで良いと思うのに。泣かせにくるのではなく、心温まるぐらいがちょうどいいと思う。
『プリマドール』の評価
作画 | 77点 |
世界観・設定 | 75点 |
ストーリー | 40点 |
演出 | 35点 |
キャラ | 77点 |
音楽 | 80点 |
作画
作画は、これまでのKey作品に引けを取らないぐらいのクオリティだった。バイブリーアニメーションスタジオは個人的に好きなアニメスタジオではなかったけど、今回はしっかり仕事したと認めざるを得ない。戦闘シーンの作画は微妙だったけど、キャラの動きがちゃんと可愛らしかったので、全然OK。
世界観・設定
『ごちうさ』と『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と『サクラ大戦』を混ぜたみたいな設定だった。既視感がかなり強い。
ストーリー
ストーリーの大筋にそこまで問題はないと僕は思う。ただし、シナリオのクオリティがかなり低かったと思う。『プリマドール』は1話完結型でストーリーが進んでいくのだけど、Keyらしさ溢れる壮大な設定を1話で片付けられるのか、という問題が出てくる。
そしてKey作品は、”なんだかんだ終盤が盛り上がる”っていうのが特徴だったと思う。しかし『プリマドール』は第1話のシナリオが一番冴え渡っていた……と個人的に感じた。
とにかく、シナリオのクオリティが低かったと思う。もっと尺に余裕を持たせるべきだった。やっぱり2クールは必要だったかも。
演出
シナリオのクオリティが低いというのもあって、演出のクオリティも低かった。とにかく、『プリマドール』は歌いすぎだし泣きすぎだ。歌も涙も、大事な場面までとっておきにしておくのがベターだろう。
Keyといえば、前半で笑い多めの日常を見せて、終盤で一気に泣かせにくるというのがお決まりだったはず。そのセオリーを貫けばいいと思うのだけど……。そう考えると、一話完結型とKey作品は相性が悪いのかも。
キャラ
キャラはめちゃくちゃ良かったと思う。『プリマドール』に登場するキャラは基本的に全員可愛かった。矢野茜のキャラクターデザインって目がクリッとしていて可愛らしいよね。
音楽
楽曲もめちゃくちゃ良かった。特にOPの『Tin Toy Melody』は、さすが麻枝准としか言いようがない。劇伴のクオリティも最高で、そういえば第1話で初めて劇伴を聞いたとき、僕の中でめちゃくちゃ期待値が高まっていたのが記憶に新しい。シナリオが微妙になっていくKeyだけど、音楽だけは色褪せることがない。
さいごに
最初に『プリマドール』を知ったときは「え!? これKey作品じゃん!」とか思ってしまったけど、やっぱり大コケしてしまった。ここ最近はKeyアニメの信用が落ちていく一方だけど、それでもやはりKeyには期待してしまう。
最近のKeyは本業のゲームの調子が良く、『サマポケ』や『ヘヴバン』のアニメ化はほぼ確定しているといっていいだろう。こちらはシナリオが既に好評なわけだから、あとはしっかりアニメ化するだけである。これは期待したいな……。