冴えない彼女の育て方(冴えカノ1期)評価:感想→現代ラブコメの代表作

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『冴えない彼女の育て方(以下、冴えカノ1期)』について語っていく。原作は富士見ファンタジア文庫で刊行されているライトノベルで、2019年12月段階で発行部数は350万部を突破している。アニメ制作は『SAO』や『かぐや様』を手掛けるA-1 Picturesで、しかもフジテレビのノイタミナ枠の作品だったので、期待値は相当高かったと思う。

目次

『冴えカノ1期』の感想

感想①:過去のエピソードが深堀りされていく構成

『冴えカノ』には他のラブコメとは異なる点がいくつかある。そのうちの一つとしてゼロからストーリーがスタートしているわけではないことが挙げられる。一般的なラブコメは高校に入学してから急に運命の人的な存在に出会って、そこからドッタンバッタンして恋愛するといったパターンだ。
例えば『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(以下、俺ガイル)』であれば、高校2年生の時に主人公・比企谷八幡がメインヒロインの雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣と出会ったところで物語がスタートしている。その後、過去の交通事故に関するエピソードが深堀りされていくが、恋愛において重要な要素になるほどではなかった。

だが、『冴えカノ1期』は過去のエピソードがメインに語られているのだ。流れとしては以下の通りだ。

  1. 主人公の安芸倫也とメインヒロインの加藤恵が運命的な出会いをする
  2. なぜか主人公にツンツンする沢村・スペンサー・英梨々と霞ヶ丘詩羽
  3. 英梨々と詩羽の過去のエピソードが深堀り

他の人が思っているより、僕は「この構成は斬新」だと考えている。英梨々と詩羽としては、安芸倫也とは恋愛において一種のケジメをつけている状態なのだ。この2人を争わせるだけでもかなり面白いラブコメにできるのに、これに加えて全く新しいジャンルのヒロインである加藤恵が登場するのだ。中々カオスだと思う。

感想②:ニュータイプのヒロイン・加藤恵

『冴えない彼女の育て方』のタイトルになっている『彼女』は間違いなく加藤恵のことだろう。だから加藤恵がメインヒロインだし、おそらく勝ちヒロインも加藤恵なのだろう。そんな加藤恵だが、全く新しいジャンルのキャラ性格をしている。

英梨々と詩羽はどちらも倫也のことが大好きすぎて、それがツンデレ属性に変化してしまったパターンのキャラだ。だが加藤恵は超ポーカーフェイス。コミュ障というわけでもなく、冷たいというわけでもない。「無関心」という言葉が一番似合うかもしれない。それなのになぜかノリが良くて、倫也の家に普通に泊まったりしてしまう人間なのだ。
ここまで感情を読み取らせないヒロインは中々いなかった。たまーに頬を赤らめたりするのでそこに萌えてしまうのだが、あまりにも無表情でフラットな性格でめちゃくちゃ地味なのだ。

『冴えカノ1期』の段階では英梨々と詩羽の存在感が強すぎて、加藤恵がサブヒロインみたいになっている。ここからどのように加藤恵が盛り返していくのか、非常に興味深い。

感想③:オタク向けの内容はやっぱりウケる

『冴えカノ』は同人ゲーム制作がメインテーマとなっている。そしてこのようなオタク向けのテーマはやはり一定の需要がある。しかもノイタミナの放送枠で放映されているため、一定数の視聴者も獲得していることだろう。ノイタミナは一風変わったジャンルで展開していく作品が多いので、知識欲を満たしたいアニメファンが多いイメージがある。そんな人達にとって「同人ゲーム制作」というテーマは非常に興味深いのだと思う。

アニメ制作会社P.A.WORKSが手掛ける名作・『SHIROBAKO』のように、クリエイター目線のテーマはやはり面白い。僕らみたいな消費ブタ(僕はいつか生産者側に立ちたいと思っている)にも参考になることは多い。
僕としては「同人ゲーム制作」は思っていたよりも簡単なのではないかと思ってしまった。イラストとシナリオと音楽とスクリプトさえできれば制作できるのだから、パソコンとタブレットが1台ずつあれば1年ぐらいで簡単なものを作れそうだ。1人で同人ゲームを作れば、イラストレーター・シナリオライター・作曲家・プログラミングのスキルが手に入るのだからこれほど良い教材はないと思う。

『冴えカノ1期』の評価

作画90点
世界観・設定90点
ストーリー85点
演出85点
キャラ95点
音楽85点

作画

安定感という点に関しては、今までのアニメの中でもトップクラスだろう。

世界観・設定

同人ゲームを作るという設定はありがちだが、圧倒的地味なヒロインを投入するのは中々新しい。

ストーリー

『冴えカノ1期』は過去を掘り下げるエピソードが中心に展開されていた。これも個性があっていいと思う。

演出

ド安定な作画に色覚を利用したフラットな演出が良かった。

キャラ

加藤恵、沢村・スペンサー・英梨々、霞ヶ丘詩羽。どれも非常に魅力的で可愛らしい。『俺ガイル』並のキャラの強さだと思う。

音楽

OP・ED、どちらも良曲だ。破壊力には欠けるけれども、可愛らしいメロディーで世界観を引き立ててくれる。

さいごに

『冴えカノ』は高いクオリティと放送枠による影響力のおかげで、しっかりと続編制作されている。『冴えカノ2期』も非常に高いクオリティで製作されているので、見ないと損だ。

https://terukun.blog/saekano2/
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