鹿の王 ユナと約束の旅(劇場版)評価:感想→コロナ禍に見るべき作品

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『鹿の王 ユナと約束の旅(以下、鹿の王)』について語っていく。『鹿の王』は上橋菜穂子によるファンタジー小説が原作だ。これが劇場アニメ化され、2022年2月4日に公開される。

アニメ制作会社はProduction I.G。ジブリ作品の主力アニメーターだった安藤雅司と宮地昌幸が監督を担当している。

目次

『鹿の王』の感想

ネタバレしていないので、未視聴の方でも読めます。

感想①:やはりホッサルの目線で学ぶことが多い

『鹿の王』の主な登場人物は主人公のヴァン(CV.堤真一)、ヒロインのユナ(CV.木村日翠)、そしてもう1人の主人公のホッサル(CV.竹内涼真)がいる。『鹿の王』はヴァンとユナのやり取りがメインの物語だ。だが、僕たちが学ぶべき部分はホッサルの姿勢にある。

ホッサルは医者としてミッツァル(伝染病)の治療法を探し続けていた。しかし、当時は科学よりも宗教の方が圧倒的に信じられてきた時代だ。そのため、目に見えることができない伝染病は、宗教的なものによるものだと人々は考えていた。そんな世界の中、ホッサルは懸命に走り回り、そしてなんとか治療薬の開発に漕ぎ着けるのだ。

現在の私たちの世界も新型コロナウイルスの影響で、『鹿の王』と同じような状況にあると言える。そして『鹿の王』は”何を信じるべきか”という答えを示してくれる。それはもちろん”科学”だ。

しかし、多くの人は科学よりも、不安を煽ってくるマスメディアや友人からのソース不明な情報を信じてしまう。そしてその果ては、ワクチン反対派の人々にあるだろう。そんな人たちにぜひ『鹿の王』を鑑賞してほしいと思う。

感想②:伝染病の脅威を見える化させた

『鹿の王』は、その広大かつ複雑な世界観から映像化不可能と言われ続けてきたそうだ。そんな『鹿の王』をProduction I.Gは見事にアニメ化してみせた。Production I.Gは”広大かつ複雑な世界観”の作品を数多く手がけてきたアニメ制作会社なので、『鹿の王』にはピッタリだったかもしれない。

そんな中、特に僕が注目したのは、伝染病の脅威を”見える化”させたことだ。伝染病は目に見えないからこそ脅威だとも言える。それを『鹿の王』は絶妙な表現で”見える化”させた。登場人物の視点から見て、紫色の押し寄せる波のように表現したのだ。これがどこかジブリらしさを感じさせる。やはりこれは監督の力が大きいように思える。

『鹿の王』の評価

作画83点
世界観・設定80点
ストーリー80点
演出70点
キャラ60点
音楽65点

作画

映像化不可能と言われた原作小説を、しっかりアニメにしただけでも凄い。実際、ミッツァルが登場するシーンは相当巧く表現できていたと感じる。

世界観・設定

広大な世界観ではあった。だが、おそらく原作小説の半分も再現できていないのではないだろうか。または、分かりやすく表現するためにあえて再現させなかったのか。

ストーリー

大まかなストーリーの流れが良く、それでいて感情移入させられるストーリーだった。

演出

やはり伝染病の脅威を見える化させた演出が良い。原作小説ではどのような表現になっているかは存じ上げないが、とても分かりやすくウイルスの脅威を教えてくれた。

キャラ

キャラは特別魅力的だったようには見えない。まあファンタジー小説なので、ストーリーや世界観がメインなのだろう。

音楽

音楽も普通だった。ただ、EDは『鹿の王』と相性が良かったと思う。

さいごに

僕は公開当日の2月4日に鑑賞したが、観客の出入りは超微妙だった。しかし、製作委員会に日テレが参加していることからも、定期的に金曜ロードショーで公開されることだろう。確かに金曜ロードショー向けの作品だなと感じる。

そう考えれば、長期的に多くの人が『鹿の王』を鑑賞し、科学(医学)の重要性を改めて認識してくれるかもしれない。これによって新型コロナに対しても適切な対応が取れる人々が増える可能性も十分にある。僕も積極的に『鹿の王』を薦めたいと思う。

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