今回は『SHIROBAKO』のTVアニメについて語っていく。『SHIROBAKO』はP.A.WORKSによって制作されたアニメオリジナル作品だ。2014年秋クールから2クールにかけて放送された。
アニメ制作を描いたアニメということで、アニメファンから長い間支持されている作品でもある。
『SHIROBAKO』の感想
感想①:アニメ制作に携わる全ての人にフォーカス
アニメ制作には数多くの職種の人が存在する。監督、プロデューサーはもちろんのこと、原画マン、シナリオライター、作画監督、3Dクリエイターなどだ。これらのキャラを1人1人丁寧に描いているのが『SHIROBAKO』の最大の特徴といえる。しかも、現実世界にいそうなキャラデザにもかからわず、ちゃんとアニメっぽいのが凄い。
『SHIROBAKO』を見ているだけで、アニメに携わる人達の職業や仕事内容が大まかに分かる。それだけでなく「ここまで複雑でタフな作業なのか…」と実感することができる。
もっと凄いのが、それぞれの職業の葛藤もしっかり描かれていることだ。例えば「アニメーターの3DCGへの不信感」だったり、「作画監督の原画マンに対する苛立ち」だったり。アニメファン視点だと、どれもリアルに見える。
そして主人公の宮森あおいが担当するのが制作進行というのも面白い。制作は現場を走り回る立ち位置なので、自然と様々な職業を紹介することに繋がる。
感想②:アニメに対する情熱を感じる
なんだかんだでアニメ業界はめちゃくちゃ熱いことが分かった。やっぱりクリエイターは熱い心を持ってるものだなぁ、と再認識することができた。
『SHIROBAKO』の場合は、おっさん勢の情熱が特に強い。最初に印象に残ったのは3D監督の下柳と作画監督の遠藤のお話。どちらもエフェクトにこだわっているのだが、遠藤は特に2Dのエフェクトにこだわっていた。そのせいで下柳と遠藤は対立することになる。だが、どちらも原点となった作品が同じところから、お互いの良いところを褒め合うような関係になったのだ。
また、管野監督(庵野監督のパロディ)のシーンも印象的だ。昔の絵しか書けない杉江が、後世に技術を伝承していく姿はとても心にきた。もちろん、木下監督の作品にかける想いも良い。
感想③:夢を目指し続ける人を応援する作品
そして『SHIROBAKO』が終盤になると、それぞれのキャラが「なぜアニメ業界で働いているのか」というテーマで考えるくだりになる。その終着点がちゃらんぽらんな平岡で、高梨と平岡が馬鹿みたいに夢を語り合うシーンはめちゃくちゃ感動した。やっぱり飲み会は夢を語り合う場所でなくちゃいけないと思う。
それとなんといっても『SHIROBAKO』のクライマックスのシーンとも言える坂木しずかの「今私、少しだけ夢に近づけました」だ。夢を目指し続けている人がこのシーンを見たら、誰もが号泣すると思う。僕もめちゃくちゃ泣いた。
「夢」で泣ける作品って、感動ポルノ系の作品とはまた違った感動がある気がする。なんというか、人生が変わる感動なのだと思う。
『SHIROBAKO』で登場するキャラのほとんどは熱い夢を持っている。ということは、現実世界でも1つ1つのアニメが制作される度にこれぐらいの感動があるのかもしれない。そう考えるとアニメ業界ってロマンがあるなぁと思う。めちゃくちゃ大変だろうけど。
『SHIROBAKO』の評価
作画 | 85点 |
世界観・設定 | 90点 |
ストーリー | 90点 |
演出 | 90点 |
キャラ | 88点 |
音楽 | 70点 |
作画
2014年の中ではトップレベル。隙がない。
世界観・設定
「アニメ制作」というテーマが既に勝ち。
ストーリー
ストーリーもめちゃくちゃ面白かった。アニメ制作あるあるを落とし込みつつ、日常シーンのギャグも面白い。
演出
演出もほぼ完璧。お仕事系だけどメリハリがある。
キャラ
一見地味のように思えるキャラも個性があるのだから凄い。
音楽
音楽は名曲ばかりでクオリティが高かった。これにアニソンならではの中毒性が加味されてたら…。
さいごに
『SHIROBAKO』は間違いなく傑作だ。アニメが好きな人はもちろんのこと、夢を追い続ける熱い人にもオススメの作品だろう。
そんな『SHIROBAKO』は劇場版が2020年に上映された。続編を制作することがほとんどないP.A.WORKSが6年ぶりに制作したのだから、相当力を入れていることが分かる。できることなら『七福神』が制作されるとこまで続編を制作してほしいなぁ。
https://terukun.blog/shirobako-movie/