【SPY×FAMILY2期感想】ダミアンの野外学習がお気に入り

今回は『SPY×FAMILY シーズン2(以下、SPY×FAMILY2期)』について解説していく。

『SPY×FAMILY』は遠藤達哉による漫画が原作で、2022年春クールと2022年秋クールで分割2クールをかけてTVアニメ1期が放送。そして2023年秋クールにTVアニメ2期が放送された。

アニメ制作はCloverWorksとWIT STUDIOが担当している。

目次

『SPY×FAMILY2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画87点
世界観・設定80点
ストーリー83点
演出83点
キャラ84点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

作画の安定感は相変わらず。今となっては国民的アニメの一歩手前になりつつあることから、ちゃんとお金をかけて、作画崩壊にならないように画作りをしている印象を受ける。日常シーンと戦闘シーンのどちらも非常に安定している。また、3DCGの制作会社が変わったこともあってか、3DCGの印象が大きく異なる。クルーズ船での実写的な3DCGが印象的だった。

世界観・設定

世界観とか設定はTVアニメ1期から大きく変わっていない。偽装家族のキャラ構成になっているけれど、設定が深掘りされていることはなく、あくまでもエンタメ性が最重要視されている印象だ。

ストーリー

以前よりもショートストーリーが多い印象を受ける。シナリオがとても濃密で全然飽きない。

演出

『SPY×FAMILY2期』の演出で個人的におもしろいと感じているのは、あくまでも大衆ウケが最優先事項になっている点だ。恐ろしいぐらいに大衆がターゲットになっている。大衆ウケと挑戦的な表現の割合を示すなら9:1という感じ。逆に言うと、大衆向けであることを維持しながら、細かい部分で演出を作り込んでいるのである。7:3とか8:2とかはよく見かけるけど、9:1は実はあまり見かけない。極めて大衆的なコンテンツでありながら、優れたクリエイターと安定した資金供給のある『SPY×FAMILY』だからこその演出だと思う。

キャラ

キャラクターも相変わらず。なんだかんだで満遍なくサブキャラが活躍している。

音楽

有名アーティストによる暴力かと思うほどの選曲だ。OPの『クラクラ』はAdoの曲だけれど、それ以上に菅野よう子とSEATBELTSが編曲・演奏を手掛けているのがえげつない。最高におしゃれなナンバーに仕上がった。

EDの『トドメの一撃 feat. Cory Wong』は新進気鋭のクリエイター・Vaundyの曲で、菅野よう子のサウンドアレンジに負けないぐらいおしゃれな感じに仕上がっている。

『SPY×FAMILY2期』の感想

※ネタバレ注意!

『ダミアンの野外学習』と『家族の一員』がお気に入り

『SPY×FAMILY2期』のメインエピソードは豪華客船編だと思うけれど、僕は個人的に『ダミアンの野外学習』と『家族の一員』がお気に入りだ。

まず『ダミアンの野外学習』は、ダミアンを庇おうとするエミールとユーインの友情が素晴らしい。その上でグリーン先生の野外学習が描かれるのだが、これがまた素晴らしかった。思えば『SPY×FAMILY』という作品は、都会(といってもレンガ造り)が舞台になっている作品で、自然が描かれることはほとんどなかった。『SPY×FAMILY』の”擬似家族”のテーマ性も、どこか都会的で、そう考えると都会が舞台になるのは必然かもしれない。ということで『ダミアンの野外学習』で描かれた自然描写がとても印象的だったのだ。

そして『家族の一員』に関しては、最終回だから印象に残っているのもあるけれど、明らかに演出のレベルが違うように感じられた。『家族の一員』はロイドとボンドの(刺激的な)散歩が描かれるのだけれど、演出のレベルが明らかに違ったのは散歩ではなく、家の中にいるシーンだ。これまでにあまりなかった画面構成に加えて、アーニャの細かい動きがめちゃくちゃ作り込まれていた印象を受けた。

OPとEDの作画が素晴らしい

本編は極めて大衆的な作画である一方で、OPとEDでは非常にクリエイティブな作画を見せてくれるのが『SPY×FAMILY』の魅力の1つだ。それでいくと今回の『SPY×FAMILY2期』のOPとEDの作画は、近年のトレンドに乗っかったもののように思う。そのトレンドとは何かというと、”線を用いた表現”だ。

2022年ラストに『THE FIRST SLAM DUNK』というトンデモない3DCGアニメが登場したことで、多くの人が”手描きアニメ風3DCGの現在地”を知ることになる。そこで近年のアニメでは、3DCGアニメでは難しい”線の表現”が重要視されるようになった現状がある。その典型例が『SPY×FAMILY2期』のOPとEDだ。思えばTVアニメ1期では、エフェクトをガンガンに効かせた実写的な作画表現だったと思う。でも実際のところ、実写的な作画表現は手描きアニメよりも3DCGの方が強い。「手描きアニメにしかできないこと」ではないのだ。

その点、”線の表現”は3DCGアニメーションでは難しい。なぜなら3DCGは絵と違って、線ではなく形で表現するからだ。

本音を言えば、全12話のなかで0.5話ぶんだけ「挑戦的な作画」ということで”線の表現”を追求してみてもいいんじゃないかと思うけれど、どうだろうか?

さいごに

『SPY×FAMILY』は2023年12月22日より劇場版が公開されている。TVアニメ2期が放送されていて、かつ年末年始に公開されるタイミングということで、とてつもない興収になることが予想されている。もちろん、僕も鑑賞する。鑑賞次第、早急にブログを投稿しようと思う。

この記事をシェア
目次