弱キャラ友崎くんの原作ライトノベル全巻感想→面白い?つまらない?

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

本記事は『弱キャラ友崎くん』のライトノベルの全巻感想記事だ。1巻ごとに感想を書いているので、興味がある人はぜひ読んでみてほしい。

https://terukun.blog/tomozaki/
目次

『弱キャラ友崎くん』の原作ラノベの感想

弱キャラ友崎くん Lv.1

これが人生(クソゲー)攻略の最前線!

人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。

だって、人生には美しくシンプルなルールがない。あるのは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。

だから、クソゲー。
あまたのゲームに触れ、それらを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。

――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。

生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。
しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? 

……普通は、そんなの信じない。
だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 

第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む人生攻略論ただし美少女指南つき!

『弱キャラ友崎くん Lv.1』より引用

「人生はクソゲーだ」というテーマで始まった1巻。世界一のゲーマーであり陰キャでもある主人公が、徐々に人生を楽しんでいく爽快なストーリーとなっている。

アニメでストーリーは把握してきた。原作ライトノベルだと、友崎くんの冷静な分析が垣間見えるのでそれが楽しい。

特に1巻は「空気」をテーマにしていた。善悪を決める基準となる「空気」に対して、それぞれのキャラがそれぞれの対応をする。それがとてもコミカルに描かれているので、堅苦しいのが嫌いな人でも学べることは多いと思う。

弱キャラ友崎くん Lv.2

弱キャラの第2ステージは生徒会選挙!?

人生はクソゲー……ではないのかもしれない。少なくとも良ゲーであることは認めてもいい。学園のパーフェクトヒロインこと日南葵と付き合う(そういう意味ではない)ようになって、俺、友崎文也の価値観は根底からひっくり返されることになった。まあまだ神ゲーとは認めてないんだが、このゲームの最強プレイヤーである日南の指導のもと、レベルアップに励む日々だ。

季節は初夏。生徒会選挙の時期。日南が会長に立候補するのは当然として……え、みみみも出るの!? みみみをサポートすることになった俺は、これまでの経験をもとに日南に挑むが――?

発売即重版の話題沸騰作!! ちょっぴりレベルアップした弱キャラが挑む人生攻略論第2弾!

『弱キャラ友崎くん Lv.2』より引用

1巻同様に、2巻でも「空気」がテーマになっていた。「空気を作り出す能力」について説明されていて、なるほどなぁと思った。要は、先手で話題を作ることで空気を作り替えることができるのだという。

そしてその空気は最悪間違っていても良い。間違っていてもルールはルールなので、そのルールに乗っかって真っ向勝負する。これがゲーマーの哲学らしい。

そして本巻では日南と友崎の価値観の違いを見せつけられた感がある。日南は悔しさをバネにしてとにかくNo.1を目指すタイプだ。だが友崎は、No.1を目指すのはもちろんのこと、自分との戦いが何よりも重要だと主張する。だから、みみみに対しても「No.1にならなくてもいいんじゃないか」と問いかけていた。

この辺のギャップが次巻以降に描かれる気がする。

弱キャラ友崎くん Lv.3

こんなの弱キャラの夏じゃねえ!

怒濤の一学期が終わり、夏休み。
薄々特訓漬けになる気はしていたが、日南葵というリア充モンスターは俺の予想のはるか先をいっていた。

「まあ簡単に説明するとね、優鈴と中村をくっつけようって合宿なのよ」

BBQからの川遊びからの男女お泊まり。まあ、リア充を絵に描いたようなイベントだなと思う。問題はただひとつ。そこに俺も参加するということである。なにこの圧倒的違和感。
男同士のトークも頑張れって日南の意図は分かるけど、中村となに話したらいいんだよ……。さらに、日南のスパルタは止まらない。

「この夏の目標は、『菊池さんと付き合うこと』ってところね」

いやいやいや、それもうほとんど最終目標だろ! 俺の夏休み、どうなっちゃうの!?
バイト、合宿、デート……弱キャラにあるまじき、充実した夏が始まる!!

『このライトノベルがすごい!2017』で新作部門3位にランクインした超話題作、待望の続刊!! 弱キャラが挑む人生攻略論第3弾!

『弱キャラ友崎くん Lv.3』より引用

TVアニメ1期の終盤の内容、夏休み編だった。夏休みでは主に、合宿が取り上げられた。そこで水沢が日南に本音をぶちまける。

今回のメインテーマは「プレイヤー」と「キャラクター」だ。友崎によれば、プレイヤーで生きているのが日南で、キャラクターで生きているのが中村や泉なのだという。

そして水沢は今まで、プレイヤーとして生きてきた。しかし、友崎や中村を見て、キャラクターの生き方を目指すことを決心する。

こんな感じのストーリーだが、プレイヤーの生き方をする人は、全てを抽象的に見てしまうことがよく分かる。そしてNO NAME(日南)がnanashi(友崎)にアタファミで勝てないのは、NO NAMEが”本当にやりたいこと”を見つけられないからだと、友崎は考えた。

今後は友崎が、日南にキャラクターの生き方を教えていく展開になっていくだろう。しかし、本巻でもあったように、「なぜ日南はここまでプレイヤーの生き方にこだわるのか」という疑問も生まれる。この辺についても深掘りされていくだろう。

弱キャラ友崎くん Lv.4

こんなの無理ゲー?弱キャラvs女王再び!

人生で一番濃密だった夏休みが終わり、2学期。
俺と日南は少しだけ関係性を変えながら、それでも一緒に人生攻略を続けている。
さて、2学期はじめのイベント、球技大会。
日南から出された新たな課題は「やる気のない紺野エリカにやる気を出させること」。紺野エリカといえば、あの旧校長室で啖呵をきって以来、まともに言葉も交わしていない。だってこわいし。
俺はクラス内の観察を通して、紺野エリカに通用する「武器」を探すが――?

ボス戦再び!? 大ブレイク中の人生攻略ラブコメ、待望の第4弾!

『弱キャラ友崎くん Lv.4』より引用

4巻からはTVアニメ化されてない内容のため、新鮮な気持ちで読むことができた。

メイントピックは球技大会。それに加え、泉と中村の恋愛事情や、紺野エリカが作り出す陰湿な空気がストーリーの軸となっている。

それに対し友崎は、友人たちをコントロールする形でミッションを進めていく。そんな感じで8割ぐらい読み進めた段階で、ハッピーエンド的な終わり方をした。

しかしそこで終わらない。泉と中村が付き合った影響で紺野の態度が悪くなり、それに対してたまちゃんが狼煙を上げる展開になってしまう。しかも、クラスの空気はどんどん、「たまちゃんが悪い」という方向に進む。

この際の日南はいつも通りのパーフェクトヒロインではなく、どこか弱々しかった。とあるシリーズのアクセラレータみたいな感じで、「最強だけど他人は守れない」ということなのだろうか。

そして次巻にて、たまちゃんが友崎の弟子になるストーリーに突入する。アニメではたまちゃん推しだったので、とても楽しみだ。

弱キャラ友崎くん Lv.5

強キャラの弟子ができました。

教室での一件を受けて、まさかの師弟関係と相成った俺とたまちゃん。
表情、姿勢、喋り方。
俺は師匠として、自分が『リア充』になるために重ねてきた努力とノウハウを、たまちゃんに伝えていく……が。
ここで問題が発生する。意外というかなんというか、たまちゃんは普通に“強キャラ”だったのだ。
ていうかむしろ、俺より強い可能性すらある。あれ? 師匠ってなんだっけ?
俺がやってきたやり方では、たまちゃんを変えることはできない。じゃあ、俺にできることって一体?
そんなとき、協力を買って出てくれたのは……意外な人物だった。
「――なにやら、お困りの様子かな?」
強力な仲間を得た俺たちは、一つのゴールへと、少しづつ進んでいく。
パーティを組めば、戦い方が変わる。戦い方が変われば、いままで倒せなかった敵だって、倒せるようになる。
それに俺だって、少しは役に立つようになってきた……はずだからな!
――『みみみを悲しませない』。
そんな、なによりも大切な目的に、辿り着いてみせる。
大切な目的のためなら、自分を変えてでも正面から戦う。
そのやり方はきっと、誰かさんに教えてもらったことなのだ。
――大人気人生攻略ラブコメ、待望の第5弾!

『弱キャラ友崎くん Lv.5』より引用

本巻では、友崎が師匠としてたまちゃんを指導することになる。結果的にたまちゃんはもっと強キャラになることができて、問題は解決した。ラストでクラス全体の雰囲気を全部持ってったのがたまちゃんらしい。素晴らしいストーリー展開だと思う。

それと、日南葵のドス黒い部分が表に出てきた感じがある。それと同時に、パーフェクトヒロインとは少しかけ離れた印象を友崎くんは抱いた。これはもうね、日南葵を変えられるのは友崎くんしかいない気がするんだよね。この2人が付き合う流れになったら激アツだけど、そう簡単じゃないだろうな。

そして、場の空気を操る能力は非常に強力だということを再認識させられる。日本人の多くは空気に流されるからだ。友崎くんやたまちゃんが例外なのだろう。つまり、場の空気を操れることは、その場の人間を間接的に洗脳していることと等しい。現実世界でも日南葵のように場の空気を支配することで、トップに躍り出た人もいるはずだ。こういうことを考えさせられるのが、『弱キャラ友崎くん』の魅力でもある。

弱キャラ友崎くん Lv.6

文化祭目前、さまざまな思いが錯綜し――。

たまちゃんの問題がいったん解決し、文化祭を目前に控えた11月。

俺、友崎文也は日南との会議を再開し、また課題にとりくむ日々を送っている。
文化祭に積極的に関わりながら、集団での立ち位置を確立していくのがこれからの目標だ。

そんなとき、日南が俺に尋ねる。

「――あなたは、誰が好きなの?」

それは、俺がひたすら保留にしてきたこと。
「三年に進級するまでに彼女をつくる」という目標に向けて、避けては通れない問い。

日南は言う。誰を選ぶのかと。

けど、俺に誰かを選ぶ権利なんてあるのだろうか?
成長してきた実感はあるけれど、それでも、心の奥底で俺の弱キャラ精神が言うのだ。

――選ばれるはずのない俺が、誰かを選ぶなんておこがましい、と。

各賞総ナメの大ヒット人生攻略ラブコメ、待望の第6巻登場!

『弱キャラ友崎くん Lv.6』より引用

日南葵が友崎に「誰が好きなの?」と尋ねることで、一気にラブコメ展開となる。そして色々あって、みみみが友崎のことを好きなことが判明。というのが本巻の大きな流れだ。

本巻で注目するべきなのは、友崎の自己評価の低さだ。友崎は今まで、弱キャラとしての人生を歩んでいたがために、自己評価を低くすることで安心していた。しかし、それでは成長なんてできやしない。自分を強く見せて(=偽って)、どんどんハードルを上げて、そうやって本当の自分を強くすることができるのだ。これは人生において、とても大事なことのように思う。

そしてラブコメ展開になり、基本的にはみみみVS菊池さんの流れになるとは思う。だけど個人的には日南葵が気になるところ。ラノベラブコメは基本的に、メインヒロインと付き合うENDがセオリーなので、どう考えても日南葵はラブコメ展開に参戦することになると思う。でも、日南葵の立ち位置は友崎の”師匠”っていうのが…。どんな展開を見せてくれるのかが楽しみだ。

弱キャラ友崎くん Lv.6.5

少女たちの想いを綴る、珠玉の短編集!

あの日、彼女はまだ完璧じゃなかった。
あの日、彼女は人前で初めて泣いた。
あの日、彼女はすべてを振り切るスピードが欲しかった。
あの日、彼女は――……。

日南、菊池さん、みなみ、優鈴――。
少女たちのあの日の想いが、ここに紐解かれる。

6巻と7巻をつなぐ彼女の気持ちも……?

「弱キャラ友崎くん」の世界がさらに色づく、珠玉の短編集。

『弱キャラ友崎くん Lv.6.5』より引用

「6巻であの終わり方をしておいて何で短編を挟む!?」と思ってしまうが、6.5巻をしっかりと読むと、ここで短編を挟む理由がちゃんと理解できる。本巻では、ヒロインたちの心情を垣間見ることができるストーリーとなっている。

5巻でなぜ、日南があそこまで感情的になったのか。そして日南の恋愛観を見ることができる。

また、文化祭において菊池さんがクラスのみんなと混じり合うことの”意味”も知れる。

そしてなんといっても、みみみの心情描写には大注目だ。

個人的には、やはり日南の恋愛観が非常に気になる。というか、日南の恋愛観が好きすぎる。一気に推しに、いや、嫁にしたくなってきた。嫁にしよう。

弱キャラ友崎くん Lv.7

そして、舞台の幕が上がる。

掛けられた言葉。誠実の意味。向き合った、彼女の気持ち。

俺をとりまく環境の変化は劇的で。
けれど、そんなことはお構いなしに時間は進んでいく。

文化祭の準備もいよいよ佳境。
演劇の練習が、ついに始まった。

登場人物と演者のイメージを近づけるため、俺と菊池さんは「日南の過去」を取材することになるのだが……?

俺の、俺たちの―――。
一度きりの文化祭が、幕を開ける。

『弱キャラ友崎くん Lv.7』より引用

ついにやりやがった。友崎くんが菊池さんと付き合うことに。一度は菊池さんに振られるものの、みみみが友崎くんの背中を押してあげることで、友崎くんが菊池さんに告白。それで付き合うことになったのだ。そうなるとやはり、みみみがすごく辛いなぁと思う。キャラ人気はみみみが圧倒的に高いのだけれど、ストーリーの流れを考えるとこれが妥当だと思う。まあこれはこれで、みみみの人気が出そうだし。

それともう一つ、日南葵の知られざる秘密が暴かれようとしている。もしかしたらだけれど、日南葵がパーフェクトヒロインになったのには、何かしらのきっかけがあり、そのきっかけが妹関係である可能性が出てきたのだ。そして菊池さんは、日南葵には友崎くんが必要だと感じている。

さあ、ここからどうなるのだろうか。このまま菊池さんルートでゴールインということになるのだろうか。それとも新たに日南ルートが開拓されるのだろうか。どちらにせよ、日南葵の秘密が少しずつ明らかになっていくのだと思う。それはそれで楽しみ。でも菊池さんの悲しむ顔だけは見たくない……。

弱キャラ友崎くん Lv.8

新章開幕!!

文化祭が終わり、冬休みが明けて。
人生攻略に大きな区切りをつけた俺の目の前に、新たな難題が立ちふさがっていた。

――進路調査票。
将来なにをして、どう生きるのか。
そんな、ある意味「人生を決める」問題が、明確な期限をもって迫ってくる。

もちろん日南の課題も継続中だ。
「日南と同じくらいのリア充になる」ため、新学期も俺は課題をこなしつつ、自分の本当にやりたいことを追求していく。

アタファミのオフ会、たまちゃん宅への訪問、そして菊池さんとの新しい関係……。
新しい日々は、新しい出会いを連れてきて――?

大人気人生攻略ラブコメ、新章開幕の第8弾!

『弱キャラ友崎くん Lv.8』より引用

新章開幕ということで、ストーリーの展開が大きく変わった。色々な軸でストーリーが進むが、大きく分けて3つあるかなと思う。

1つめは、友崎くん×菊池さんのカップルの進捗具合だ。序盤は仲睦まじい様子を見せつけてくれるが、スケジュール調整や新キャラ・レナちゃんの登場により、いきなりピンチの状態になる。ラストも菊池さんが「一人で帰りたい」と言い出す始末。はたしてどうなることやら……。

2つめは、進路関係だ。それぞれのキャラがどのような進路を考えているのかが描かれる。友崎くんたちが所属する関友高校は進学校のため、大学進学が基本的な進路となる。しかし友崎くんは「そんな簡単に決めていいのかな?」と疑問に思い、クラスメイトに聞き込みしたり、アタファミのオフ会に参加するなどする。その結果、プロゲーマーになるというのだから最高だ。これはこれでかなり面白い展開だと思う。

そして3つめは、日南葵の動向だ。現段階で日南葵は、東大に進学して外資系金融などの超エリートコースを歩むことを目標としている。それに怖気付く友崎くんだが、日南葵をアタファミのオフ会に誘うことに。これを起点に、友崎くんは「人生の本当の面白さ」を日南葵に教えようとする。はたしてこれが日南葵に響くのかどうか……。

どちらにせよ、新しい展開になってきたのは間違いない。そしてやはり気になるのは友崎くん×菊池さんの動向だ。付き合った後を描くラブコメは少ないので、ここはぜひとも注目して行きたい。

弱キャラ友崎くん Lv.8.5

“本編級”短編集、ふたたび。

文化祭が閉幕した翌日。
2-2の面々は、打ち上げ兼クリスマスパーティを開催する。

各所で盛り上がるなか、友崎は、ふたりで話す日南と菊池さんの姿を見かける。
あいまいに誤魔化されるも、友崎はその内容がやけに気になって――。

NONAME誕生。みみみと菊池さんのカフェトーク。カラオケ会。友崎と出会う前のレナなど……。
年が更けていくなか綴られる、それぞれの人生。それぞれの選択。

アニメ化企画も進む人生攻略ラブコメ、待望の第8.5巻。
ドラマCD付き特装版と同時発売。

『弱キャラ友崎くん Lv.8.5』より引用

『弱キャラ友崎くん』の二度目となる短編集。基本的に短編集は伏線巻となっているので、次巻では伏線回収に期待したいところだ。

気になるところとしては、クリスマスパーティでの菊池さんと日南の会話、NONAME誕生のきっかけ、レナの過去編といったところだろうか。特にNONAME誕生のきっかけに関しては、非常に重要な伏線になる気がしている。日南が心から楽しんでいる可能性のあるアタファミは、そんなところでスタートしていたのかと思う。

それとドラマCDの小説版が面白かった。『俺ガイル』もそうだったけれど、ドラマCDの小説版って駆け引きのテンポが良いから、読んでいて面白いんだよね。

弱キャラ友崎くん Lv.9

付き合って初めて、わかること。

冬。彼女である菊池さんとすれ違ってしまった俺は、言葉を重ねてもう一度心の距離を近づけようとする。

そのなかで、俺は自分の業とも呼ぶべきものに向き合うことになる。
それは、今まで気付かなかった菊池さんの一面をも明らかにして――。

弱キャラのままでは絶対に気付かなかったこと。気付けなかったこと。
そして、俺にとっても菊池さんにとっても特別な、日南葵という存在。

俺は初めての彼女と、この難問をクリアすることができるのだろうか。

人生のバイブル的青春小説、待望の第9巻!

『弱キャラ友崎くん Lv.9』より引用

9巻では、友崎くん×菊池さんの仲直りが取り上げられるのだが、これが想像以上に複雑だった。友崎はゲーマーであるが故に一人でも生きていけて、しかも誰よりも大切な人である日南を変えたくて、それでいて菊池さんと付き合っている。一方の菊池さんは友崎が必要ではあるのだが、小説家志望が故に、相手のことをズバズバと読み解いていく恐るべき洞察力がある。日南はそれに恐怖していたわけだけれども、友崎もそれを体感してしまったようだ。

そして何よりも、本作の前提でもあった友崎=弱キャラという要素が覆ってしまった。元々、友崎くんは強キャラだったのだ。誰も助けを借りることもなく、そして変化を拒むこともなく、一人で生きていけてしまう存在。まあそれは僕も前々から思っていたけれど、一人で生きていける人間は強いと思う。強いが故に、独りぼっちなのだ。

だから9巻のラストでは、友崎と日南はお互いに独りぼっちであることが述べられていた。それは『俺ガイル』の雪ノ下雪乃と比企谷八幡と同じような雰囲気がするけれど、それとは少し違う気がする。雪乃と八幡は若さ故に捻くれていたのだけれど、友崎くんは捻くれているわけではない(日南は捻くれすぎて一周回った感じ)。

どちらにせよ、これぞ新世代のラブコメって感じがするストーリーだ。ここからどのように展開されるのか全く予想ができない。

弱キャラ友崎くん Lv.10

友崎くん、新章始動!

3月。日南の誕生日が近づいていた。

泉の発案で、USJでの思い出旅行とサプライズパーティが企画される。
チーム分けしてプレゼントを用意し、“一番日南を喜ばせたチームが勝ち”という主旨だ。

俺は菊池さんと水沢の3人で、日南の好きなレトロゲームを再現することを考えるが――。

あの日、突きつけた真実。終わりを迎えた共闘関係。たとえ、日南の操るキャラクターじゃなくなったとしても。
それでも、俺は……あいつを、日南葵をあきらめたくなかったから。

人生攻略ラブコメ、第10巻。待望の新章開幕!!!

『弱キャラ友崎くん Lv.10』より引用

10巻は9巻から1年ほどのスパンが空いてしまっていたらしい。僕は最近一気に読み進めているので、そこには気付けなかった。あの終わり方から1年経過っていうのは相当ヤバい。笑

そして10巻では、日南葵の誕生日会のエピソードが繰り広げられる。友崎がゲーム制作を提案したり、水沢が告白したりしようとするなど、中々の展開。その中で水沢が形式っぽいトークの可能性を見出したのが印象的だった。確かに本音ではない言葉かもしれないけど、そういう建前っぽいトークスキルが求められる仕事もいくつかある。特に営業なんてまさにそうで、水沢と日南にはその才能があると思う。

そしてなんとなーく、物語が終盤に近づいていようとしている。伏線が残り少なくなってきたからだ。ここで日南と水沢が付き合うとしたら、ラブコメとしてはそれでエンドでいいと思う。進路もそれぞれで固まってきてるし。

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