とらドラ!評価:感想→現代ラブコメに刺さる王道ラブコメアニメ

星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『とらドラ!』について語っていく。

『とらドラ!』は2008年に放送されたアニメだが、現代でも根強い人気がある。周りの大学生にオススメしてみると中々の好感触だ。

ラブコメの王道を突き進むストーリーだからこそ、みんなに受け入れられるのかもしれない。

目次

あらすじ

生まれつきの鋭い目つきが災いして、
まわりには不良だと勘違いされている不憫な高校2年生・高須竜児は、
高校2年に進級した春、
新しいクラスで1人の少女に出会う。
彼女は、超ミニマムサイズな身長の美少女でありながら、
ワガママで短気・暴れ始めたら誰にも手が付けられない
通称”手乗りタイガー”と呼ばれる逢坂大河であった。

そして放課後、
竜児は誰もいない教室に1人残っていた”手乗りタイガー”の
ある一面を知ってしまう…。

竜虎相打つ恋の共同戦線、
超弩級のハイテンション学園ラブコメディーここに始まる!

テレビ東京・アニテレ『とらドラ!』公式サイトより引用

『とらドラ!』の感想

ここでは『とらドラ!』を個人的な目線で語っていく。ネタバレすることも多いので、まだ『とらドラ!』を見てない人はここで立ち止まって、TVアニメを見てほしい。

感想①:恋愛描写が繊細

『とらドラ!』は王道ラブコメとして根強い人気がある。現代では様々な特徴を生かしたラブコメが登場している中、ここまで根強い人気があるのはなぜなのか。

答えは恋愛描写の繊細さに尽きる。

僕が思うに、漫画のラブコメって恋愛描写が微妙だったりする。最近、一番人気があるのは『五等分の花嫁』だと思うが、恋愛描写は正直微妙だ。
それも仕方ないことで、漫画は基本的に週刊連載。常に読者の逆を突くような展開が求められる。そのため、恋愛描写がエンターテインメントになりすぎて、リアルが失われてしまうのだ。だが、『五等分の花嫁』がブレークしたのは、キャラの魅力に尽きると思うので、作品として成立した。

一方でラノベのラブコメは文字だけで表現する必要があるので、どれだけ心情を丁寧に表現できるかが勝負になる。『とらドラ!』という作品はラノベの中でも初期のラブコメで、王道だけれども恋愛描写がリアルだからウケた。それに加えてアニメ制作も力が入っていたので、ここまでの評価を受けるようになったのだろう。

『とらドラ!』の恋愛描写についてだが、女の子たちの心情がリアルだ。特に「奪い合い」の描写。女の子の闇を見た気になる。
それもそのはずで、『とらドラ!』の原作者の竹宮ゆゆこ先生は女性なのだ。女性作者が描くラブコメは、リアルな恋愛描写であることが多い。女の子の気持ちをよく理解しているからだ。そしてそれを見た男性の視聴者は度肝を抜かれる。

表面上でも女の子が殴り合うシーンが出るわけだから、「容赦ないなぁ」と思った。ただ、それぐらい恋愛はグロいものなのだ。ピュアな恋愛などほとんどない。それがよくわかった。

感想②:キャラデザは萌え要素ないのに…

『とらドラ!』のキャラデザは特別可愛いわけではない。最近だと『俺ガイル』や『冴えカノ』のような繊細なタッチで描かれるキャラが最高に可愛いのだが、『とらドラ!』にはそこまでの魅力がキャラデザにはない。

だが、なぜか惹きつけられる。その理由はどのキャラクターも性格がひと目で分かるからだ。逢坂大河はツンデレどころか暴力的だし、櫛枝実乃梨は天然のドが過ぎてて、川嶋亜美はいかにも悪女だ。「こんなの普通じゃね?」と思うかもしれない。でも他のラブコメ作品を振り返ってほしい。
確かに漫画原作のラブコメはこれぐらい個性強烈なのだが、ラノベ原作のラブコメはどうだろうか。『俺ガイル』も『冴えカノ』も『青ブタ』も恋愛描写に力が入っている反面、キャラデザは崩れにくい。個性は強いし可愛らしいキャラなのだが、キャラデザが崩れるほどではないのだ。

『とらドラ!』は平気でキャラデザが崩れるほど感情を出すし、それでいて恋愛描写が卓越している。漫画とラノベのいいとこ取りをしているようなものなのだ。

感想③:『オレンジ』というEDの破壊力

『とらドラ!』はOP・EDどちらも曲のクオリティが高く、人気がある。
その中でも後半のEDの『オレンジ』は間違いなく神曲だ。多くのアニメファンのアニソンランキングTOP10には確実に入るだろう。僕もTOP5には確実に入れる。

『オレンジ』を歌うのは『とらドラ!』のヒロイン3人。つまり釘宮理恵・堀江由衣・喜多村英梨の声優トリオだ。1人1人でも強力なのに3人揃ってしまっている。実際に曲を聞いていても、歌声が綺麗で素晴らしい。ぶっちゃけキャラの声がそのまま歌声になってるわけではないのだが、そんなことはどうでもいい。『オレンジ』という神曲ではこの歌声が最適解だ。

そして『オレンジ』はメロディーもいい。僕は曲を聞くときは歌詞よりもメロディーを聞くタイプで、だから洋楽も好きだ。そのため僕がアニソンを好きになる基準もメロディーによるところが大きい。そして『オレンジ』はなんともいえない甘酸っぱさがメロディーから感じられる。
特に最後のサビのクライマックスのところでイントロと同じメロディーが重なるのだが、その部分を聞くと脳汁が溢れてしまう。『オレンジ』を聞くときは必ず最後まで聞くようにしている。

そしてなんといっても『オレンジ』が評価される最大の理由は間違いなく歌詞だろう。『オレンジ』はタイトルのオレンジの通り、恋愛の甘酸っぱさとオレンジの甘酸っぱさを歌詞に掛けている。ありそうでなかった歌詞なのだが、実際に曲にすると凄まじいことになってしまった。Aメロ、Bメロもよくできているのだが、やっぱりサビが凄い。わかりやすい歌詞なのにとても深い。

ちなみに『オレンジ』は平成アニソン大賞で「選考員泣きの1曲」に選ばれている。

『とらドラ!』の評価

ここでは『とらドラ!』について個人的な目線で評価していく。

作画80点
世界観・設定80点
ストーリー90点
演出80点
キャラ85点
音楽95点

作画は2008年の中では間違いなくトップレベル。J.C.STAFFとは思えないぐらいだ。J.C.STAFFは他の有名作品だと『とあるシリーズ』や『ダンまちシリーズ』を制作している。この時代のクオリティでJ.C.STAFFには頑張って欲しいと思う。

世界観・設定は王道ラブコメということで特に強烈な特徴もない。だが特徴がないことが逆に特徴になっている感じもあって、現代ラブコメに刺さる内容に感じられる。

王道ラブコメという設定上、恋愛描写や構成が素晴らしかった。意外性はないのだが、とても繊細にストーリーが作られていることが誰が見ても分かる。

演出はかなり控えめだったように思える。『とらドラ!』の場合は演出を控えめにしたほうがいい作品なので良いとは思う。無駄な演出をしなかったことで高評価の80点。

キャラは先程述べたとおり。萌え要素はないがとこか惹きつけられる不思議な感覚だ。

音楽に関しては完璧とも言える。『オレンジ』ほどの破壊力はないが『バニラソルト』、『silkey heart』、『プレパレード』も素晴らしいアニソンだ。

さいごに

『とらドラ!』はアニメ好きなら絶対に見るべき作品だ。2008年制作ということで、現代のアニメ好きからは多少敬遠されるかもしれない。だからこそ控えめながらも布教していく必要がある。

僕の個人的な予想だが2020年代前半はラブコメの時代になると踏んでいる。ラノベ業界で多くの新作ラブコメが高評価されているからだ。そしてどれも設定の段階で個性があるのだが、だからこそ『とらドラ!』はまだまだ現代ラブコメに刺さる。

不朽の名作と言われてもおかしくないところまできている。

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