今回は『徒然チルドレン』について語っていく。
『徒然チルドレン』は週刊少年マガジンで連載されていた4コマ漫画が原作で、これが2017年夏クールにアニメ放送されることにある。
アニメ制作はStudio五組が担当した。
『徒然チルドレン』の評価
※ネタバレ注意!
作画 | 72点 |
世界観・設定 | 70点 |
ストーリー | 70点 |
演出 | 70点 |
キャラ | 73点 |
音楽 | 75点 |
作画
中々に手堅いアニメ制作会社であるStudio五組がアニメ制作を担当しているということもあり、『徒然チルドレン』の作画は悪くないし、むしろ想像以上に良かった。ラブコメ作品ということで、本来であればそこまで動きが求められないが、主にギャグシーンでキャラをしっかり動かしている印象がある。
世界観・設定
高校生の甘酸っぱい恋愛をショートエピソードで次々と紹介していくという世界観。基本的に1on1の関係性が描かれるので、三角関係の泥沼要素は非常に薄い。安心して視聴できるのが売りだと思う。
ストーリー
元々15分枠のショートアニメなのに加えて、そこからさらにエピソードを4分割ぐらいするから、テンポが非常に速い。集中力が乏しくなった現代人にとってはちょうどいいテンポだと言えるだろう。これが4コマ漫画をアニメ化する最大のメリットであり、そういう点で見ると『徒然チルドレン』の構成はよくできている。
演出
4コマ漫画ということで起承転結のサイクルが高速で回っていく。多分、演出もやりやすいはずだ。毎回、EDをクライマックスの挿入歌として扱っているため、締まりがいい。
シリアス要素を薄めにして、全体的にコミカルに演出されているので、やはり安心して視聴できる。
キャラ
『徒然チルドレン』では実に多くのキャラが登場するが、この多くのキャラが密接に絡み合うことはなく、先ほども述べた通り、基本的には1on1。だから、意外にもキャラを覚えやすい。
個人的に好きなのは「菅原くん×高野さん」と「千秋×香奈」の夫婦ペア。どっちも激アツだった。
音楽
OPの『アイマイモコ』は水瀬いのりの代表曲の一つで、たしかにこれは中々にいい曲。EDの『Dear』はしっとりとしたバラードなのだけれど、挿入歌的な扱いになっているので『徒然チルドレン』のコミカルな雰囲気とのバランスが取れているのが個人的に良い。
『徒然チルドレン』の感想
※ネタバレ注意!
やはりショートアニメには可能性がある
『徒然チルドレン』は週刊少年マガジンのラブコメ作品の中でも、かなり異色だと言える。まず第一に4コマ漫画であることが、そもそも異色。でも、週刊少年マガジンの4コマ漫画といえば『生徒会役員共』もある。それでも『徒然チルドレン』が異色なのは、いわゆる「主要人物」が全然主要じゃない点にある。『徒然チルドレン』ではあらゆるキャラが登場し、それが4コマ漫画として描かれるため、1つのエピソードの単位が非常に小さい。
基本的に15分枠などのショートアニメは、1つの枠に大まかに1つか2つのエピソードが挿入される。だが『徒然エピソード』は大体4つの全然別のエピソードを15分に収めているため、非常にテンポが速い。
僕が思うに、これは”集中力の続かない現代人”にウケるんじゃないかなぁと思う。『徒然チルドレン』ほどのテンポ感であれば、倍速視聴されることも少ないのではなかろうか。ショートアニメや4コマ漫画のポテンシャルが、まだまだ引き出されていないような感じがする。
『徒然チルドレン』は、表情がいい
『徒然チルドレン』は高校生たちの甘酸っぱい恋愛を連続で紹介していく作品だ。当然、それなりにキュンキュンさせられるわけだが、『徒然チルドレン』は特に”表情”がいいと思う。『徒然チルドレン』は表情をガッツリ崩すタイプのキャラデザになっていて、例えば笑顔だったら、極端に口角が上がる。個人的には皆川さんの笑顔が好き。ガッツリ表情を出す感じが高校生らしいと思う。
たしかに、現実の恋愛は『徒然チルドレン』ほど甘くないと思うし、実際は『とらドラ!』や『true tears』みたいにドロドロしたものだと思う。このような作品は大抵の場合、表情を大きく崩すことはなく、それどころかセリフで心情を説明することも少ないので、それなりに頭を使いながら見なければならない。
『徒然チルドレン』は、とにかくわかりやすい。なぜなら、キャラクターの心情が大袈裟なくらいに表情に出るから。これはきっと幼稚な表現なのかもしれないが、アニメなんだからこれぐらい甘々な雰囲気でもいいではないか!
余談だが、僕は『徒然チルドレン』と同時並行で押井守版の『攻殻機動隊』を視聴していたので、尚更、『徒然チルドレン』の甘々な雰囲気にやられた。
一番好きなペアリングは?
『徒然チルドレン』は様々なペアリングが登場する。
「古屋×皆川」ペアは『からかい上手の高木さん』みたいな関係性が描かれていて、皆川さんのSっ気が可愛らしい。『からかい上手の高木さん』みたいに、クリティカルでもあれば、もっと楽しいことになっていたと思う(原作であるのかも?)。
「千秋×香奈」の夫婦ペアも中々面白い。コミカル要素が強いペアの一つだ。コミカル要素で言えば「山根くん×栗原さん」もいい。まあ実際に面白いのは本山くんだけど。
そして個人的に一番好きなペアリングが「菅原×高野」だ。当初は菅原くんが積極的にアプローチを仕掛けていたが、その頃の高野さんは恋を知らなかった。でも、今度は高野さんが菅原くんのことを意識し始めるようになり、エピソードを重ねるたびにどんどんアツくなっていくのだ。このどんどんアツくなる過程も『徒然チルドレン』だからこそできる演出というわけか……。
さいごに
ショートアニメの金字塔『ヤマノススメ』ほどじゃないにしても、もしショートアニメランキングを作成したら、『徒然チルドレン』は間違いなく上位にランクインするだろう。多分、誰が作っても上位に入る(相当卑屈な非リア充でない限り)。ショートアニメの特性を理解した上で、制作されていたのは間違いない。