今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 -永遠と自動手記人形-(以下、ヴァイオレット外伝)』について語っていく。大絶賛を受けたTVアニメ1期が2018年冬クールに放送され、その翌年の2019年に3週間限定で上映された。アニメ制作会社はもちろん京都アニメーション。京アニ放火事件の影響もあって「上映ができないのではないか」という不安の声もあったのだが、無事に上映することができた。
『ヴァイオレット外伝』の感想
感想①:郵便配達人のストーリー
TVアニメの『ヴァイオレット』では「手紙」や「手紙を書くこと」がテーマになっていたが、『ヴァイオレット外伝』は「郵便配達人」、つまり「手紙を運ぶ人」にフォーカスされている。まさにサイドストーリーだ。ということなので主人公のヴァイオレットはあまり活躍することはなく、郵便配達人のベネディクトが注目されていく。
現代ではインターネットや携帯電話が普及しているので、世界中の誰とでもアクセスできるすごい時代になっている。だが『ヴァイオレット外伝』の世界の当時の時代では、遠くの人とやり取りすることは非常に難しかった。だから「小学生のクラスメイトだったあの子がどこで何をしているのか」とか、下手したら「生きているかどうか」も簡単に調べることができない。そこで手紙という媒体が活用されるようになるのだが、当然手紙を届けるためには郵便配達人が必要だ。そう考えると郵便配達人は想いを届ける職業でもあり、素敵な職業ともいえる。『ヴァイオレット外伝』ではこの点について深堀りされているのだ。
感想②:クライマックスシーンの圧倒的感動
『ヴァイオレット外伝』の基本的なストーリーは、昔一緒に生活していたエイミーとテイラーの再会劇だ。エイミーは偽りの名前で本当の名前はイザベラ。しかもイザベラは貴族の娘なので、強固なセキュリティで情報が広まっていない。だからテイラーはエイミーを探すのに一苦労する。そしてついに2人が再開することになるのだ。
だが、テイラーはエイミーの将来のためにも姿を現すことができない。代わりにベネディクトが、テイラーの書いた手紙をエイミーに渡すのだが、この時のテイラーが泣くのを我慢し、そしてついに泣いてしまう演出が凄まじいものだった。いつもはやる気のないベネディクトも泣きそうになってしまっていて、視聴者の多くがもらい泣きしてしまったことだろう。
このシーンのそれぞれのキャラの感情描写は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』全体を通しても最高レベルだと思う。異論は認めない。
『ヴァイオレット外伝』の評価
作画 | 100点 |
世界観・設定 | 95点 |
ストーリー | 100点 |
演出 | 95点 |
キャラ | 90点 |
音楽 | 90点 |
作画
とりあえず100点満点の作画。やっぱり背景とキャラの感情描写が凄い。
世界観・設定
今回は「手紙の配達」がテーマになっていて、まさに外伝という感じだった。着眼点がめちゃくちゃ良いと思う。
ストーリー
外伝的内容だけど、ここまでの完成度に持っていくのは凄い。
演出
反則演出でもある『みちしるべ』の挿入はないのだが、クライマックスのシーンの演出は本当に素晴らしかった。
キャラ
本作のメインキャラでもあるテイラーのキャラが凄く良くできている。めちゃくちゃ可愛いというわけではないのだけれども、どこか哀愁のあるあの感じ。良いキャラだ。
音楽
主題歌の『エイミー』の破壊力が凄まじい。
さいごに
2020年には『劇場版ヴァイオレット』が上映されている。多分これはアニメ史上最高傑作なので、見ないと本当に損だと思う。絶対に見てほしい。
さて、