ようこそ実力至上主義の教室へ(よう実)原作ライトノベル全巻の感想

本記事は『ようこそ実力至上主義の教室へ』、略して『よう実』の原作ライトノベルの全巻の感想をまとめている。

客層の参考までに私のプロフィールを軽く紹介する。

  • 20代男性
  • ライターやってます
  • 初ライトノベルが『よう実』
  • アニメは既に視聴
  • 電子書籍派
目次

『ようこそ実力至上主義の教室へ』の感想

ここから『よう実』の原作の感想を述べていく。ネタバレもするので、未読の人は気をつけてほしい。

『ようこそ実力至上主義の教室へ』感想

希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという全国屈指の名門校・高度育成高等学校。最新設備の使用はもちろん、毎月10万円の金銭に値するポイントが支給され、髪型や私物の持ち込みも自由。まさに楽園のような学校。だがその正体は優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校だった。ある理由から入試で手を抜いた結果、主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。同じクラスで成績は優秀だが性格に超難ありの美少女・堀北鈴音、気遣いと優しさでできた天使のような少女・櫛田桔梗らと出会うことで清隆の状況も変化していって…。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ』より引用

最初の1巻は『よう実』の設定の紹介を中心に物語がスタートする。完全実力主義の学校、最新設備が揃っている優れた環境、10万円分のプライベートポイント支給、これだけ見れば素晴らしい学校だと思う。しかし、完全実力主義ということでDクラスは10万ポイントを一気に失うことに。この展開はアニメでも見ていたけど、十分面白かった。やっぱりラノベは大体1巻が面白い。

さて、アニメとの違いだがネット上の多くの意見にもある通り、主人公の綾小路清隆の性格が随分違う。アニメでは心情が描かれない分、不気味な印象を抱かざるを得なかった。しかし、原作ラノベだと思ったよりもコメディが強い。ボッチなりに懸命に友達作りを頑張ろうとしている意思が見えたのが良かった。

そもそもなぜアニメだとあんなに不気味だったのだろう。それは綾小路清隆がめちゃくちゃポーカーフェイスだったからだと思う。ラノベだと文字媒体なので、心情描写で感情がある程度分かる。だが、アニメはしっかりとポーカーフェイスにする必要がある。そこの違いかなと思う。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(2)』感想

生徒の全てを実力で計る、完全実力主義の教育学校・高度育成高等学校。最底辺のDクラス所属の綾小路清隆は、心優しき美少女・櫛田桔梗に懇願され、Cクラスの陰謀で停学の危機に陥ったクラスの不良・須藤を助けることに。隣人たる堀北鈴音にも声を掛けるが、彼女はなぜか消極的。聡明な鈴音から唯一示されたヒントは、クラスメイトの地味少女・佐倉愛里の存在。事件の鍵を握る彼女を追跡するうち、清隆達は愛里の隠された秘密に気付き…。さらにはBクラスの謎の美少女・一之瀬も加わり、須藤の救済に挑む!大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第2弾!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(2)』より引用

2巻になると周りのクラスの状況が少しずつ分かってくる。Bクラスは一ノ瀬が中心の完全協力型、Cクラスはこの段階ではリーダーが明確に活躍しないが、暴力的だということが分かる。Dクラスのクラスメイトも少しずつ深堀りされていっている印象だ。

ストーリー自体は単純でまだまだターボをかけていない感じだ。これはアニメでも分かる。だが、テストやイベント以外でも仕掛けることができるのは面白い設定だ。学校生活で実力を競うのだとすれば、テストや文化祭がメインになってくるが、今回は日常の中でCクラスが仕掛けてきた。それを2巻の段階で仕掛けてきているのが面白い。決してネタ切れになっているわけではないからだ。

とにかく、アニメでも面白かった無人島編が楽しみである。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(3)』感想

季節は夏。期末テストを乗り越え夏休みを迎えた清隆たちに高度育成高等学校が用意していたのは、豪華客船による2週間のクルージングの旅だった。喜ぶ面々だったが、完全実力主義の学校が単なる旅行を計画するわけもなく、船は無人島に到着。そこで本年度最初の特別試験―無人島でのサバイバルが通達される。生活物資は試験用に与えられたポイントで購入可能。だが試験終了まで保持したポイントは2学期からの学校生活にプラスされるという。上位クラスとの差を埋めるため、最底辺のDクラスはポイントの不使用を画策、サバイバルな生活に乗り出そうとするが、特別試験は甘いものではなく―!?大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第3弾!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(3)』より引用

3巻の内容はTVアニメでも放送されていたものの、この辺から群像劇な感じになってくるし、競技のルールもややこしかった。特に今回の無人島サバイバル編は1年生の中で戦うということで、初めて全クラスで戦う競技となった。ということで今まで得体の知れなかったAクラスのことも分かるようになってきた。とはいったもののこの段階のAクラスは坂柳と葛城で対立している状況だったので、全力の力ではなかったのだが。

無人島編ではやっと綾小路のヤバさが明らかになってくる。Bクラスは全員で協力する正攻法なのはともかくとして、Cクラスの龍園の作戦も中々奇抜だったし、Aクラスの作戦も手堅かった。その3クラスの裏を取った完璧過ぎる作戦を綾小路が展開したのだ。TVアニメでも鳥肌が立ったけど、原作を読んでいてもやっぱすごいな。結果発表のワクワク感が半端ない。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(4)』感想

夏休みを利用した特別試験前半戦―無人島サバイバルは無事終了。舞台は豪華客船でのグループ戦に移る。後半戦の試験内容は打って変わって、思考力が試される頭脳戦。A~Dクラスの全ての学生を干支になぞらえた12のグループに分け、各グループごとに一人だけ存在する『優待者』を見つけるというもの。クラス対抗という考え方を破壊する試験に驚愕する生徒たちだったが、葛城、龍園といった各クラスの実力者達は試験の狙いを見極め、暗躍を開始する。一方、清隆は同じグループに入ったクラスメイト軽井沢恵の持つ異質さに気づき―!?「私は―寄生虫。ひとりで生きることの出来ない、弱い生き物」清算できない過去との決別!学園黙示録第4弾!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(4)』より引用

ここからはTVアニメ化されていない内容となる。

まず豪華客船の試験がとても面白い。こんな試験、どうやって作者は考えているのだろう。結局、『優待者』の法則自体はとてもシンプルなものだったけれども、その法則にいち早く気づいてCクラス圧勝に導いた龍園の強さが際立つな。

そしてDクラスサイドではスクールカーストのトップに君臨する平田と軽井沢のカップルについて触れられることに。平田の過去も軽井沢の過去も中々の訳アリ。2人が仮のカップルを作り上げていたことも発覚。その2人がまず綾小路に頼るっていうのもなんだか面白いな。

そしてそして、ついに清隆が行動を起こす。Cクラスの連中を上手く誘導することで軽井沢を虐めさせ、それを清隆が助けるっていう構図を清隆自身が作り出すゲスすぎる作戦を実行。軽井沢に「股開け」って…、そんな卑猥なワード、ホワイトルームで習ったんか。結果的に軽井沢は何も知らないまま清隆に依存するようになっていく…。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(4.5)』感想

色々な事件が起こりつつも夏の特別試験は無事終了。高度育成高等学校の面々にも遂に正真正銘の夏休みがやってきた。しかし、夏休みの楽しみ方は人それぞれで―!?謎に包まれたA&Cクラスの生徒の意外な一面を描き出す「意外と伊吹澪は常識人である」&「意外と葛城康平は悩んでいる」突然のアクシデントから始まった堀北鈴音苦難の1日を描く「さりとて日常に潜む危険性」佐倉愛里のほんのちょびっとの勇気の結果は?「女難、災難の1日。天使のような悪魔の笑顔」夏といえばのプール回!「他クラスとの交流会」そして、シークレットな番外編も1本収録!大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録特別版、ショートストーリー集!

『ようこそ実力至上主義の教室へ(4.5)』より引用

『よう実』初のスピンオフ的なやつ。しかし気をつけてほしいのは、この「○.5」シリーズも本編とめちゃくちゃ関係あるので、しっかり読む必要がある。日常パートが多いとはいえ重要な伏線もあるので、しっかり集中して読むように。

豪華客船の特別試験も終わり夏休みに突入するわけだが、まずは伊吹のくだりが面白かった。なんだかんだでぼっちだけど好奇心旺盛な澪は占いに興味を持つことに。同じく清隆も外の世界特有の文化である占いに興味を持つ。そんな2人が出会い、そしてエレベーターに閉じ込められるエピソードだ。めちゃくちゃ面白い。

それと葛城のエピソードも良かったね。なんだかんだでDクラスのバカトリオはやっぱバカだなぁというか。DクラスのバカがAクラスの優等生に絡む展開は結構シュールだ。めちゃくちゃクールな印象がある葛城のちょっと健気なエピソードも良かったが、これが実はちょっとした伏線だったりする。

そしてプール回。というか水着回。水着回はライトノベルの場合、自分の想像力に頼る必要があるが、実はプール回はTVアニメで放送されているのでなんとなくイメージがしやすい。
このプール回が原作とアニメで違いすぎることで批判があったようなのだが、僕個人の感想としてはそこまで木にするレベルでもない気がしている。確かに清隆がプールに落とす女の子が、原作の軽井沢から堀北に変更されていたのは色々と矛盾が生じる気がするけど、その関連エピソードをカットしちゃえば2期も全然問題なく制作できる気がする。どうかな?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(5)』感想

長い夏休みを終えたDクラスを待ち受けていたのは体育祭。だが、高度育成高等学校の行事が生半可なものであるはずもない。全学年が赤と白の二組に分かれ勝敗を競う体育祭で、DクラスはAクラスと共にB&Cクラス連合と戦うこととなった。さらに全ての競技に順位がつけられ、順位ごとにポイントを得られるという。ここまで足を引っ張る存在だった須藤が一躍Dクラスの切り札となり、運動自慢達が腕を鳴らす。一方、自分のやり方を変えず周囲と軋轢を生む堀北。その隙をCクラスの首魁たる龍園と影に潜む裏切り者が見逃すはずもなく―!?大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第5弾!?究極の実力勝負の体育祭が始まる。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(5)』より引用

ついに体育祭がスタート。Dクラスは頭は悪いけれども運動神経が良いやつがいっぱいいるので大チャンスだったりする。しかもAクラスとタッグが組めるのはかなりデカイ。ということでDクラスの皆も張り切りまくりの展開になっている。

前回の無人島サバイバルもそうだったけど、頭が良いだけではダメ、っていうのがミソになる。今まで頭脳でクラスを支えていた人が体育祭では活躍できず、逆に今まで試験で足を引っ張ってきた人が体育祭で活躍する、みたいな要素が強く反映されていた。Dクラスの場合は須藤とかそうだけど。

一方で堀北はまだまだツンツンしちゃって、個人プレーを重視してしまう。これを龍園は見逃さず容赦なく堀北を追い詰めることに。この段階から龍園はDクラスに何かとてつもない人間がいることに気づいていて、それが堀北を操っていると思ってたんだよね。流石、龍園さんです。

そしてついに清隆がちょっとだけ本領発揮。体育祭のラストのリレーの全力疾走で多くの学生の度肝を抜いた。やっぱり主人公最強って最高だね。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(6)』感想

体育祭も終わり肌寒くなりつつある10月中旬。生徒会の新旧交代が行われ、生徒会長の座は堀北学から2年の南雲雅に引き継がれた。新時代の到来を感じさせる中、綾小路はクラスメイトの佐藤麻耶に人気のない渡り廊下に連れて来られる。「綾小路くんって誰か付き合ってる人とかいるわけ?その、電話番号交換してよ」向けられたのは半ば告白手前の言葉。体育祭での活躍の結果、綾小路に対する注目度は大きく上昇、周囲に大きな変化が訪れていた。そして到来する特別試験・期末テスト。例年退学者を出すペア制とペーパーシャッフルという複雑な試験にDクラスはどう活路を見出すのか。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第6弾!!

『ようこそ実力至上主義の教室へ(6)』より引用

6巻ではペーパーシャッフルとペア制のちょっとややこしい制度の特別試験が実施されることに。高得点を取れる人はなるべく高得点を出さず、低得点しか取れなかった人はいつも通り試験勉強を頑張る。これがクラス全体で出来ることだった。
ということで試験勉強のための綾小路グループが誕生。佐倉と幸村はちょっと存在感あったけど、三宅と長谷部はモブキャラ的な立ち位置だったよね。だけどこの綾小路グループの存在は、清隆にとっては結構デカイものになりそう。ちゃんとした友人関係って感じで。

そしてとにかく櫛田が厄介。本巻で、櫛田がめちゃくちゃ厄介な存在なことに改めて気付かされた。そりゃ清隆も櫛田を退学させようとするわけだ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(7)』感想

2学期も終了間近の12月半ば、Dクラスを裏で操る存在Xの特定のため、Cクラス龍園の執拗な調査が開始された。高円寺までもが疑いの対象となり、ターゲットが絞られる中、ついに龍園の魔の手は軽井沢恵に迫り…。そのような状況で清隆は唐突に茶柱先生に呼び止められる。珍しく弱気な表情の茶柱が案内した先にいたのは―「既に退学届は用意させてある。校長とも話がついている。後はおまえがイエスと言えばそれで終わりだ」「あんたの命令が絶対だったのはホワイトルームの中での話だろ。あの部屋はもうない。命令を聞く必要もない」退学を迫る清隆の父親、そして学校の理事長から、秘められた高度育成高等学校のシステムが語られ―!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(7)』より引用

ついに龍園VS清隆の決着がつくことに。龍園は前からDクラスには存在Xがいることを予想していたわけだけど、ついに動き出した。元を辿ればすべての始まりは豪華客船の軽井沢の虐めから始まっていたので、軽井沢を徹底攻撃して存在Xをおびき出すことに。そして清隆が一人で軽井沢を救い出すのだが、それが圧巻だった。圧倒的な暴力で腕自慢なCクラスをボコボコにするのだ。あのシーンはどこか爽快だったけれども、同時に龍園のかっこよさも垣間見えて良いエピソードだったな。

その一方で清隆の父親が登場。清隆を退学させようとするが、清隆はこれを普通に拒否。そして高度育成高等学校のシステムが語られるようになる。確かにこの高度育成高等学校はホワイトルームとは違った可能性に懸けていて、それでいてこのホワイトルームが清隆を守る存在となっているわけだ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(7.5)』感想

過去の呪縛から救ってくれた綾小路のことを意識するようになってしまった軽井沢恵。そんな彼女に、友人の佐藤麻耶から綾小路とのクリスマスデートについて相談が持ちかけられる。さらに同時に綾小路からも、佐藤について知っていることを教えて欲しい、と軽井沢に連絡が!?綾小路の行動は純粋な異性への興味のためのものなのか、それとも佐藤を利用するためのものなのか。「あーもう!何なのよあいつはあ!」クリスマス目前、軽井沢のモヤモヤは止まらない。一方、綾小路は新学期に向けて複数の人物と接触。一之瀬帆波のウィークポイント、新生徒会長・南雲雅の抱える闇、新たな情報は今後の波乱を予期させるもので―!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(7.5)』より引用

新生徒会長の南雲がきた!正直なところ、1年生編では堀北学と清隆の戦うシーンは少なめだったけれども、次の1年間のラスボスは南雲になりそう。まあ、大したことはなさそうだけどね。

そしてここでも伊吹澪と一緒に閉じ込められることに。Cクラスをボコボコにしたこともあって気まずい雰囲気になるんだけど、やっぱり面白かったっすね。

そしてそしてついにラブコメ展開に。佐藤が清隆に恋心を抱くようになるのだ。軽井沢の親友的存在でもある佐藤が清隆に恋するということで、軽井沢的にはどうしようもない立場になってしまったわけだ。結局清隆は佐藤を振ってしまうのだけれども、今後の軽井沢の動向に注目だ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(8)』感想

3学期開始と共に、高度育成高等学校の全生徒は山奥の校舎へと案内される。実施される特別試験の名称は『混合合宿』。男女別に1学年を6つのグループに分割。さらに2年、3年もグループに合流するという。最終的に所属する全生徒の平均点が高かった上位3つのグループにボーナスポイントが与えられる一方、最下位のグループ責任者は退学となるという。退学処分有りの特別試験に慄く一同。そしてグループの分け方は生徒に一任。敵同士だったはずのクラスと手を組むという感情的なもつれが波乱を生む!さらに新生徒会長の南雲、そしてあの高円寺にも動きがあるようで―!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(8)』より引用

今回は堀北学対南雲の戦いがメインだった。清隆は基本的に活躍せずに、静観を貫いていた。結果的に堀北が敗北ということになり、南雲の恐ろしさが分かるエピソードとなった。南雲は2年生全体を操ることでスケールの大きい戦略を用いることが可能だ。このように全学年対抗の特別試験で真価を発揮する。この矛先が綾小路に向いたら厄介だけど、この段階で南雲は清隆の真の実力にまだ気づけていない様子。そう考えるとやっぱり堀北学の方が優秀かも。

そして本巻の最大の見どころは”アソコ”のサイズを競う風呂場でのしょうもないエピソードだ。アルベルトや須藤などいかにもサイズが大きそうな人が注目される中、絶対に清隆に勝ちたい龍園が清隆の”アソコ”を指摘することに。しかしなんと、清隆の”アソコ”がとてつもないビッグサイズで…。というめちゃくちゃくだらないエピソードなんだけど、いつもクールな雰囲気ただよう『よう実』とのギャップがあって良かったな。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(9)』感想

綾小路への宣言通り、ついに坂柳有栖による一之瀬帆波潰しが始まった。暴力沙汰、援助交際、窃盗、強盗、薬物使用の過去があるといった一之瀬への誹謗中傷が学校中に広まっていく。噂の出所は間違いなく1年Aクラス。Bクラスの神崎らが止めにかかるが証拠がない。さらに一之瀬の動きも消極的。膠着した状況の中、ある人物が綾小路の前に現れる。「坂柳を止めてよ。あんたならそれが出来るんじゃないの」1年Aクラスの神室の要請に対し綾小路が下した決断は?そして櫛田桔梗が生徒会長の南雲雅に接触し、学校内に不穏な空気が流れ始め―。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第9弾! 

『ようこそ実力至上主義の教室へ(9)』より引用

今回はAクラス対Bクラスのバトルがメイン、特に一ノ瀬帆波に焦点が当たる。ここでも清隆は静観を貫くつもりだったが、坂柳の付き人の神室から坂柳の暴走を止めるように促され、一ノ瀬を助けることに。

それと一ノ瀬の裏で南雲の闇が蠢く…。南雲さん、やっぱえげつない。1年生の人間関係のこともよく理解していて、使えそうな女をドンドン手玉に取っていく。櫛田が南雲と手を組むのは非常に厄介だし、一ノ瀬とくっつこうとするのは個人的に嫌だ。笑

『ようこそ実力至上主義の教室へ(10)』感想

季節は春、3月を迎えた高度育成高校の1年生。だが3学期末試験時点で歴史上初めて退学者を出さなかった結果、1年の全クラスに追加の特別試験『クラス内投票』が実施されることとなった。それは生徒自身が退学者を選ぶ非情な試験。誰かが退学しなければならない。その現実を前に冷静な平田の声も届かずCクラスは分裂。疑心暗鬼が広がる中、裏切り者も現れ最大の危機を迎える。一方他クラスの状況はAクラスが早々と退学者を決め、Dクラスは龍園が退学濃厚。そんな状況の中、Bクラス一之瀬はクラスメイトを救うため南雲生徒会長とある取引をしようとしていた。だがその条件は一之瀬が南雲と交際するというもので―!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ(10)』より引用

ついに初めての退学者が確実に出ることになる今回の試験。しかもそれをクラス内投票で決めるっていうえげつない試験だ。ここで清隆的には櫛田を退学させたいところだが、今回の試験内容的に櫛田を退学にさせるのは厳しそうだ。しかも清隆が退学のターゲットにされているとのこと。結果的に清隆を退学させるように仕向けたのは櫛田ではなく山内だったようだが、山内も坂柳に操られていただけでしかも坂柳のクラスは清隆に賞賛票を集めるように画策していたと。それで堀北の進言もあって(清隆が裏で仕組んでた)山内が退学することに。このシーンは読んでいて辛かったなぁ。しかもそれと同時に平田の人格も壊れちゃったし。

Bクラスは皆で仲良くポイントを使って退学者を出さないようにすることに。しかしポイントが足らず、一ノ瀬が南雲と接触することに。でも、Dクラス(元Cクラス)の龍園派のメンバーが龍園の大量のポイントを渡すことで利害が一致。Bクラスは退学者を出さずに済み、Dクラスは軽井沢を脅迫した真鍋が退学することに。これをきっかけにBクラスはまた一致団結(とはいえかなり苦しくなるが)し、Dクラスは龍園の復活のきっかけを掴むことができた。

一番残酷だったのはAクラス。坂柳は葛城を苦しめるため(他にもいっぱい理由はあるけれど)に葛城の付き人の戸塚を退学させたのだ。葛城の悔しそうな表情が辛い…。妹想いなエピソードも相まって残酷なシーンとなった。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(11)』感想

初めて出た退学者の衝撃冷めやらぬ中、1年最後の特別試験『選抜種目試験』がついに告知された。内容は総合力が問われるもので各クラスは筆記試験、将棋、トランプ、野球等、勝てると思う種目を10種選抜。本番では1クラスを相手に、ランダムに選択された7種の種目で争うというものだ。また各クラスには1名司令塔が存在し、勝てば特別な報酬が得られるが負ければ退学となるらしい。綾小路は自ら司令塔に立候補。そして坂柳が望んだ通り、AクラスとCクラスとの試験対決が決定する。「だが私は楽しみになったぞ綾小路。これでやっと、おまえの実力を見られるんだからな」綾小路VS坂柳の激戦必至の一騎打ち始まる!

『ようこそ実力至上主義の教室へ(11)』より引用

ついに1年最後の特別試験がスタートに。本巻の見どころは龍園の復活と坂柳の心情描写だと思う。

まず龍園の復活は普通に痺れた。相手が一ノ瀬だったのがちょっと複雑だけど、容赦なくBクラスをボッコボコにしてCクラスに復帰することきっかけになった。
一方でAクラス対Cクラスは思っていたよりも普通の展開。最後の坂柳と清隆の戦いはハラハラドキドキだったけど、新理事長の月城の妨害もあって坂柳が勝利することに。まあ、坂柳戦はもうちょい後に取っといておくのが良さげだし、これはこれで良かったかなと。

重要なのは坂柳の心情描写だ。坂柳は感情や人の温かみを知らない(坂柳もだいぶ冷酷だけどね)清隆に、人間としてのぬくもりを教えたいそうだ。清隆にとってのキーパーソンになるのは間違いなさそうだなぁ。

あと平田とのシーンはめっちゃ感動しました。ラノベで初めて泣きかけました。

『ようこそ実力至上主義の教室へ(11.5)』感想

学校側の介入というアクシデントがあったものの、1学年の最終試験を退学者なしで乗り越えたCクラス。最後の行事、卒業式を迎える。兄との最後の接触に踏ん切りのつかない堀北にアドバイスを与えつつ、綾小路は月城理事長代行対策に動き出す。システムにはシステムで対抗、坂柳理事長に連絡を取り、1年Aクラス担任の真嶋、茶柱と秘密裏に接触、交渉を試みる。一方で綾小路の偽の姿について疑念を持つクラスメイトも現れていた。好奇心と願望の下、1年Cクラス松下千秋が綾小路の追跡を始める。そして1年という月日は生徒同士の関係を大きく進展させるには十分な期間で―。新たな学園黙示録、1年生編完結!

『ようこそ実力至上主義の教室へ(11.5)』より引用

本巻の見どころは堀北兄妹の別れのシーンと清隆×軽井沢のカップル成立だろう。

堀北兄妹の別れのシーンは素直に感動した。今まで心を閉ざしていた鈴音がやっと心を開いたというか、これをきっかけに鈴音は大きく成長するのだと思う。ここでいくつかの伏線があったのが、まず僕の予想から。やはり鈴音が『よう実』のラスボスになるのだと思う。清隆は自分を超える存在を探しているようにも思えるし、それに適任なのはやはり鈴音なのではないだろうか。
そして堀北学の卒業後の進路に関する伏線だ。特に詳しく説明されているわけではないのだが、確か綾小路を自分と同じ進路に誘っていたようなセリフがあったはず。『よう実』の人気がキープされるのであれば、高校卒業後のエピソードも展開されるんじゃないかな?
ちなみに鈴音のショートヘアーは結構好みです。

そしてついに清隆と軽井沢のカップルが成立することに。しかし清隆の表情が冷酷過ぎる。この感想を読んでいてまだ原作を読んでいない人はぜひ原作を読んでほしい。ここはアニメでも見たいなぁ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』の感想

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』感想

高度育成高校での2度目の春を迎えた綾小路達Dクラス。持ち受けるは試験だけではなく、個性的な新1年生達。中学時代龍園と悪名を二分した宝泉和臣、同じ中学出身を名乗り櫛田に接近する八神拓也、気分屋で綾小路を引っ張り回す天沢一夏。そして4月最初の特別試験は1、2年生がペアとなる筆記試験。ペアの合計点が基準を下回れば2年生のみ退学となる。さらに南雲が各生徒の能力を表示する新アプリを実装。それが全生徒に公開されたため学力の高い生徒に人気が集中。2年Dクラスは苦境に陥る。またペアを組む必要上、綾小路もホワイトルーム出身の1年生を見抜けなければ即退学の状況となり―!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』より引用

ついに2年生編がスタート。一気に登場人物が増えたから覚えるのが大変だけれども…。そして南雲くんの策略もあって新しいルールが追加されまくり。全学生のプロフィールを確認することができるOAAの導入、1年生に対する特別ルールである綾小路狩り、そして1年生の中に潜むホワイトルーム生の捜索など、意識しないといけないことが急増…。これは慣れるしかないな。

一方で堀北との真剣勝負の数学のテストでは清隆が容赦なく満点を叩き出すことに。問題なのは今回に限って数学のテストがめちゃくちゃ難しい仕様になっていて、普通の高校生では解けないような問題があったことだ。どう考えてもありえない実績を叩き出してしまうことに。笑
これは今後の動向にも注目だな。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(2)』感想

新1年生の仕掛けを回避した綾小路。だが「取れるはずのない満点を綾小路が取った。俺は…手品を見てるみたいだ」数学試験の満点獲得が波紋を広げる。そんな中、試験の結果を受け堀北鈴音が生徒会入りを要望する。来るもの拒まずの南雲はそれを受け入れるものの色々な思惑が絡むようで…。軽井沢との仲が少しずつ深まるなど、状況が変化を迎える中、全学年で競いあう無人島サバイバル試験の夏休み開催が発表された。戦いはグループ戦で上位3グループに莫大な報酬が与えられる一方、下位グループは退学ペナルティを受ける。前哨戦として上陸前にグループ作りが許可された結果、全クラスを巻き込んだ人材獲得合戦が始まる! 

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(2)』より引用

やっぱり数学の満点騒動で清隆が一気に怪しまれることに。でも結局鈴音が上手くごまかすことに成功。鈴音はDクラスを上手くコントロールできるようになっている。ラスボス説は結構濃厚だと思うけどなぁ。

そして今回は七瀬が衝撃的だった。月城理事長との関連が見られたのだ。とはいったもののホワイトルーム生と断言したわけではないので、多分ブラフ。だが、特別試験での七瀬の行動は気になるところだ。

それと全学年の無人島サバイバル試験が決行されることが発表された。これは大掛かりな試験になりそうな予感。清隆としては南雲率いる3年生を対処しつつ、坂柳や龍園の動向に注意しながら、1年生のホワイトルームに気をつけ、軽井沢とイチャコラしないといけない多忙な生活となりそうだ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(3)』感想

常夏の無人島を舞台に、全学年で得点を競い合うサバイバル試験がついに開始された。得点を得る方法は2つ。毎日一定時間ごとに指示される指定エリアを訪れることと、無人島内に設置された課題を条件通りにこなすこと。グループ人数が多いほど有利かつ、退学の可能性も減る試験内容。2週間という長丁場かつ、水や食料の補給も考える必要のある過酷な試験。さらに月城理事長代理は学年同士の小競り合いを試験中は容認するらしい。そんな中単独行動で状況を窺う綾小路だが、1年Dクラスの七瀬翼が同行を申し出る。メリットのない奇怪な行動だが七瀬の出方を知るため綾小路はそれを受諾。2人組での無人島走破が始まる!

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(3)』より引用

七瀬がとにかく可愛い。そしてめちゃくちゃ群像劇。そしてそしてラストのホラーのような挿絵。とにかく情報量の多い内容となった。だけどちょっと情報量が多すぎて感想という感想もあまりない。次巻でしっかり語ろうと思う。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(4)』感想

2週間のサバイバル試験も後半戦。1年生、2年生、3年生、月城理事長代理、様々な人の意志が常夏の無人島で交錯する。
「私は退学を恐れません。綾小路先輩を守るためであれば、何でもするつもりです」
「だから、あたしの許可なく勝手に潰されてないで下さいね」
「もしもの時はそうだな……力づくで乗り切ることにしよう」
「高円寺を封じ込める指揮は俺が取る」
「やれやれ、騒がしいねぇ。それじゃあ、少しだけペースを上げさせてもらおうかな」
「わ、私、どうしても綾小路くんに伝えなきゃいけないことがあって!」
全学年、全生徒、総力戦の無人島サバイバル試験、ついに決着!

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(4)』より引用

今回は今までで一番微妙だったと言わざるを得ない。いつもの冴えのある頭脳戦の描写はほとんどないし、いつもの衝撃のあるラストシーンもなかった。全校生徒がライバルのサバイバル試験という最高の設定で、まともに戦えてなかったのはもったいない気がする。南雲が見劣りしていたのもいただけない。ここはもっと圧倒的に蹴散らしていたほうが良かった気がする。

と、ここまでは酷評だが、どうやらサバイバル戦の詳細は次の4.5巻で紹介すると作者のあとがきに書いてあったので期待できる。確かに綾小路目線ばっかりで他のメインキャラがどんな動きをして、クラス単位でどんな結果だったのかは詳しく書かれていなかった。それが次の巻で分かるとのことなので、それは楽しみにできる。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(4.5)』感想

様々な出来事を乗り越え無人島試験も終了。待望の豪華客船での夏休みが始まった。だが試験は様々な爪痕を残し、龍園が小宮を襲撃した犯人探しを開始、他の生徒達も今までとは違う動きを見せ始めていた。そんな中、綾小路の前に3年の桐山が現れる。「おまえの存在は邪魔でしかないんだ綾小路」

告げられたのは南雲の変貌。奇怪な行動を取り始め、綾小路1人に対して、3年生全体による『奇妙な監視』という指令が実行される。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(4.5)』より引用

今までの「○.5」の中で一番面白かった気がする。なんでなんだろう。

まずラブコメ展開が思ったよりもアツかったのがいい。前巻で一ノ瀬が綾小路に告白したのが始まりだけど、今回では綾小路が返答をするシーンがある。しかしその辺のところを南雲がリサーチをかけていて、綾小路と一ノ瀬の関係を上手くギクシャクさせたのは流石。南雲生徒会長、恐ろしい…。

それと軽井沢との関係だけれども、やっぱり綾小路は軽井沢と別れる前提で付き合ってたんだね。僕としては一ノ瀬推しなこともあって、軽井沢と別れた後は一ノ瀬と付き合ってほしいところだけど、まあ厳しいか。

それと宝探しゲームが導入されたのが良かった。今までの「○.5」シリーズは常に日常パートだったから、今回みたいにちょっとしたミニゲームがあると読んでいて気分転換になるから良いね。しかも綾小路が佐藤とペアを組むのは熱い…。
その後、綾小路は9万ポイント手にしたわけだけどその半分を櫛枝に素直に渡したのは気になる。綾小路は櫛枝を退学させようとしているっぽいけど、堀北は櫛枝も含め全員でAクラスを目指そうとしている。そして次回の特別試験はほぼ間違いなく退学者が出る方針になりそうだ。今までジリ貧な戦いだった櫛枝との決着もついにつくのか?

次回がめっちゃ楽しみだ。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(5)』感想

2学期が開始と共に2つのイベント、体育祭と初の文化祭の開催が発表された。文化祭に胸躍らせる高度育成高校の生徒達だが、茶柱が唐突な特別試験の開催を発表する。
試験名は『満場一致特別試験』。クラス全員の意見が一致するまで投票を繰り返すという一見容易な試験内容。だがその本質は茶柱の10年来のトラウマになるほどのもので……。
全員が投票で意思表明する必要がある『満場一致特別試験』によって否応なくその混沌に巻き込まれていく生徒達。
「では、最後の課題を表示する。投票の用意を」
試験史上最も容易で、最も残酷な試験! 悔いなき選択を生徒達は果たして選ぶことができるのか!

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(5)』より引用

今までの『よう実』で一番面白かった。『満場一致特別試験』の最終問題で、ついに脱学者が出ることになる。ここで綾小路は櫛田を退学させるよう動き出すが、ここで終わらないのが『よう実』。堀北が櫛田を庇うようになるのだ! そしてこの判断を見た綾小路は、佐倉愛里を退学させることを決心する。

綾小路グループは絶対安全領域だと思っていたのに…、まさかの佐倉が退学とは…。しかも軽井沢との関係がオープンになって、佐倉が精神的にキツイ状況だったというタイミングで…。

やはり退学者が出てしまうエピソードはとてつもなく面白くなるのが『よう実』だ。ここから体育祭編・文化祭り編・修学旅行編と続いていくのだろう。非常に楽しみだ。

個人的には一ノ瀬クラスでの神崎の葛藤が印象に残っている。そして、『よう実5巻』を読むまでに、僕も色々と教養やらなんやらを身に着けてきたが、綾小路は現在の巨大ITテック企業のCEOのような立ち振舞をしている。逆に一ノ瀬クラスはすごく日本的だ。この辺のことを考えられるようになると、人とは違った見方ができるかもしれない。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(6)』感想

満場一致特別試験の代償は大きく、綾小路たちのクラスには大きな亀裂が入ってしまった。櫛田、長谷部、王の3人が学校を連続欠席。体育祭の詳細が発表されるが、堀北への反発からミーティングは紛糾、綾小路クラスは練習すら始められない。大きなポイントを得てクラス昇格を果たしたはずが、このままではマイナスの結果になりかねない。3人の生徒のクラス復帰に向けて堀北や平田が動き出すが……。一方個人の実力が大きく影響を及ぼす今回の体育祭。小野寺は最良の結果を求め、須藤との共闘を申し出て――!? 
「私は認めない。この先何人が堀北さんを認めたとしても、私は絶対に認めない」
選択の先に待つ未来は光か闇か。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(6)』より引用

前巻の満場一致特別試験の尻拭いがメインのエピソードとなった。満場一致特別試験の首謀者?として、清隆と鈴音が奮闘することになる。個人的には鈴音と櫛田のやりとりが非常に感慨深かった。これで2人揃って卒業した時は、なんだかめちゃくちゃ感動できると思う。演出次第では泣くかも。

また、清隆の裏の目的が表に出始めたストーリーでもあった。やはり清隆は鈴音と敵対することを望んでいる。もちろん本気でぶつかり、できることなら鈴音に敗北したいような心情を醸し出している。それを実現するために、清隆がクラスを抜ける可能性が出てきた。だとしたらどのクラスに所属するのだろうか。個人的には戦力的に考えても、一ノ瀬クラスな気がする。そして清隆と坂柳の写真も気になる。

ということで現段階の考察は「清隆と坂柳のツーショット写真を恵に見せて、恵との破局のきっかけにする→恵と別れた後は一ノ瀬と接触→それと同時に一ノ瀬クラスに移動→堀北クラスの反感を買って敵対する」。このビジョンは中々良い線をいっているはず。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(7)』感想

体育祭が終わり、高度育成高校初の文化祭が迫っていた。クラスに壁を作る長谷部や三宅、そして高円寺のような非協力的な生徒がいつつも、メイド喫茶の準備を秘密裏ながらも着々と進める綾小路たち。だが龍園はその動きを見逃さず堀北クラスとの協力契約を突如破棄。龍園クラスもまたコンセプトカフェの開催を宣言、さらに売上での一騎打ちを要求する。
一方、Aクラスへの可能性を失った自クラスに失望した神崎、そして綾小路に対決を反故にされ様子の変わった南雲生徒会長。2人に綾小路が自ら働きかけを始め――!? 「南雲生徒会長に提案があります。今度はオレから生徒会長へ勝負の提案をさせてもらえないでしょうか」

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(7)』より引用

ついに文化祭がスタートした。2年Dクラス(現在はB)の出し物はメイド喫茶。そして体育祭と同様に、文化祭でも協力する予定だった2年Cクラス(現在もC)の龍園が、突然の契約破棄。わざと同じコンセプトのメイド喫茶を実施すると宣言した。と思いきや、実はそれも堀北・綾小路・龍園・葛城の策略だった。これが上手く成功し、DクラスとCクラスが圧勝でワンツーフィニッシュ…というのが表面上の文化祭の流れだった。

また、この文化祭の流れでDクラスが一致団結するようになったのもデカい。満場一致特別試験以降、Dクラスの雰囲気は最悪だった。けれども櫛田の開き直りもあって、長谷部や三宅が文化祭終盤でクラスに溶け込むようになる。また、茶柱先生にメイド服を着せる妙案も成功した。徐々に綾小路が期待するクラスになってきたなぁという感じ。

そして文化祭の裏側では、ホワイトルームの使者である八神の退学がほぼ確定する事件が発生。これも全て綾小路が仕組んだ罠だった。ただし、八神と一緒に天沢も連れ去られてしまったのが残念。天沢も退場なのかな。というかホワイトルームの使者が、もう退場してしまっていいのだろうか。やはりホワイトルーム関係者はもう一人いる?

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(8)』の感想

期末試験も終わる11月下旬、修学旅行の詳細が発表された。
行先は北海道。特別試験は存在せずスキーや観光など通常の修学旅行と変わらない。だが各クラス男女で2名ずつ合計8名がグループとなり4泊5日の旅行中行動するという特殊なものだった。綾小路は櫛田の他、まさかの龍園など他クラスの面々とグループを組むことになる。だが事はそう簡単に進むわけもなく「おまえ何か勘違いしてんじゃねえだろうな、綾小路」「勘違い?」「既に俺と坂柳の前哨戦は始まってんだよ」波乱を感じさせるもので――!? 一方、生徒同士の関係を大きく変えるイベントも進んでいた。「俺は―――鈴音に正式に告白する。付き合ってくれって」

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(8)』より引用


本巻はなんというか、0.5巻系のほのぼのとした雰囲気が強かったな。本当に普通の修学旅行という感じ。しかもいつもよりギャグ要素が強まっている気がする。特に龍園が最高。枕投げの「ダークネスボール」って、それもう普通の男子中学生だ。

そして本巻は伏線が提示されまくるストーリーだった。それと神崎が、まさか坂柳と過去で繋がっていて、さらに1年Aクラスのリーダーである石上(石神は作者の間違いだったらしい)とも過去で繋がっていたことも明らかになる。そして体育祭で綾小路と坂柳が中々きわどい感じなったとき、玄関越しで声をかけたのも石上だったという。今後、綾小路が3年生になったときに、石上が最大のライバルになる可能性もあるかもしれない。

それと、本巻の最大の魅力は、なんといっても櫛田のヒロインルート復帰だ。いや、実際は復帰ではないと思うけど、櫛田が綾小路のことを好きになってどんどんバグっていくのが面白すぎる。というか、あからさますぎて笑ってしまう。マジで脳の病気になったんじゃないかって心配になったレベルだ。

ちなみにここで少し『よう実』のストーリー展開がちょっと不安になってきた。というのも、数多くのキャラが登場して、その一人一人が伏線を抱えるようになっているからだ。これを無事に全て回収できるのかなぁ……と不安になってしまう。

とはいっても、本巻で折り返しって感じだと思うし、なんとかなるか。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(9)』の感想

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修学旅行も終了した12月、2学期最後の特別試験・協力型総合筆記テストが発表される。
内容は1人ずつ交代で試験問題を解き、最終的にクラス全員で全100問のテストを解くというもの。堀北Bクラスは坂柳Aクラスとの対戦となる。
試験準備が始まる中、南雲が次期生徒会長を決めると宣言する。2年生の生徒会メンバーは堀北と一之瀬。立候補を問われるも一之瀬の意思は生徒会自体を辞めるというものだった。
新たな生徒会メンバーの確保という問題の他、鬼龍院を狙った万引き偽装事件も発生し、生徒会周辺も慌ただしくなっていく。
『無理してないから。……私も、綾小路くんに会いたい……』
学園黙示録は新たな混沌へ――。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(9)』より引用

9巻も全体的に緩い印象を受けた。退学者が出るわけでもなく、衝撃的な事実が明らかになったわけでもない。特別試験も緩やかなものだった。

進行軸は主に2つ。1つめは、一之瀬の生徒会脱退。2つめは、万引き偽装事件だ。そして最終的に、この2つの進行軸がしっかり交わった。このストーリーの作り方は、本当に上手い。

特に一之瀬の成長がかなり意外だった。個人的には、もっと長期的に堕ちていくと思ったのだけれど、ここで一旦巻き返したのは中々面白い展開。その一方で、堀北がなんだかんだで生徒会長になり、副生徒会長が櫛田になったのも感慨深いものがある。

また、万引き偽装事件に関しては、まだ完全に終わりを告げてはいないようだ。3年生の中で、何やら怪しい気配を感じる。

そして本巻の冒頭で南雲の心情が明らかになったけれど、本巻で解決することはなかった。南雲が待ち望んでいるのは、自分と同じレベルのライバル。しかし中々、勝負する機会が訪れない。今回も桐山が、南雲VS綾小路を阻止してしまった。まあこれは、2年生の最後までとっておくのかもしれない。

それにしても綾小路はクラス移動チケットをチラつかせていて、やはりどこかのクラスに移動する気がしている。坂柳との会話を見る限り、学年末で一之瀬が壊れる可能性が高いので、そのタイミングで一之瀬クラスに乗り換え。それと同時に軽井沢と別れるというシナリオになるのだろうか。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(9.5)』の感想

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「メリークリスマス。サンタの登場ですよ」

高度育成高校での二度目の冬休みがやってきた。軽井沢とクリスマスのプレゼントを買いに行くという約束は、軽井沢のインフルエンザにより崩れ、綾小路はイブからの数日を1人で過ごすことになった。
そんな中『えっと、今日、綾小路くんの昼間の予定ってどうなってるかな』『それは会ってからのお楽しみにいたしましょう。お部屋にお伺いしても?』『この後ちょっと顔を貸せ。30分後にケヤキモールの北口だ』、各クラスリーダーからの電話が絶えない状況となっていた。
一方「綾小路くんってただ暗めなクラスメイト……じゃないでしょ。隠し事があるっていうか」クラスメイトの間で綾小路に関する議論が行われ始め――!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(9.5)』より引用

清隆が述べていたように、本巻はAクラスが深掘りされていた。特に、坂柳が清隆に告白したのは中々衝撃的な展開だったと言える。

また、全体を通して「恋愛」と「クラス移動」を煽る内容の文章が多かった気がする。まず、

恋愛に関しては、実に様々なキャラクターの恋愛観が描かれた。身近なキャラはもちろんのこと、Aクラスの真島先生や宝泉まで描かれている本巻は、やはり恋愛寄りになっていると言わざるを得ない。おそらく、今後清隆の前に立ちはだかる障害(楽しみ)は恋愛なのだと思う。この場合、一ノ瀬か坂柳が筆頭になるのだろうが、はたしてどのような展開を迎えるかは誰もわからない。そして何よりも、清隆がそれを楽しんでいる。

そして、誰かしらがクラス移動を実行するのも間違いなさそうだ。ここにきて「Aクラスで卒業すること」の重要性が再度強調されており、橋下などを始め、クラス移動を検討するキャラも増えてきた。

多分、清隆がクラス移動することになるのだろうけど、移動先が気になるところではある。個人的には「一ノ瀬クラスに移動→堀北クラスに敗北する」が清隆が描いているプランだと思うのだけれど、ここで清隆に想定外の出来事(恋愛)が訪れるのではないだろうか。まあ仮に移動するとして、坂柳クラスと龍園クラスはないと思うんだよなぁ。ということで一ノ瀬クラスなのだが、本巻でAクラス(坂柳)の弱さが少しだけ露呈しているので、何とも言えないところではある。

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(10)』の感想

著:衣笠彰梧, イラスト:トモセ シュンサク
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3学期最初の試験は4クラスの攻防戦『生存と脱落の特別試験』!

冬休みが終わり高度育成高校の3学期が始まった。直後に告知された『生存と脱落の特別試験』は4クラスがジャンル別課題を対戦クラスにぶつける攻防戦。だが1位以外はクラスポイントが減少する過酷な試験で――!?

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(10)』より引用

今回の特別試験は全クラス満遍なく活躍している。

堀北クラスの見どころは、やはり高円寺。高円寺の本性が垣間見えるシーンがあったり、堀北が高円寺を飼い慣らしたりするシーンが印象的。今回の特別試験は、高円寺の使い方が肝になる(と思われていた)だけに、高円寺の出番を増やすタイミングとしてはちょうどいい。あと、堀北、伊吹、櫛田のトリオがいい感じ。

龍園クラスは相変わらず。久しぶりに龍園の大胆な戦略が功を奏した感じがする。後半戦になってからパーフェクト連発は、最高のエンターテインメントだ。一方の一ノ瀬クラスも、中々にトリッキー。特に後半戦の10回連続軽井沢指名は、むしろ恐怖すら感じる。一応、建前はあったものの、あれはどう考えても裏があるだろう。そういえば一ノ瀬は、高円寺の言うところの”偽善”を巧みに使いこなすようになったと言える。学園生活でも、プライベートでも。清隆に対するアタック方法が、年々、あざとくなっている。……なんか東山奈央ヒロインって感じ。

そして何よりも、目玉は坂柳クラスだ。坂柳にも、友情を大切にする気持ちがあったというのは、なんというか、感慨深いものがある。坂柳が神室の後ろをついていくのを想像するのも、なんだか可愛らしい。だが同時に、足が弱い坂柳に対する皮肉の意味も感じられた。

個人的に気になったのは、清隆の部屋のタンスに収納されていたスケッチブックのシーン。そのスケッチブックは、まだ真っ白。これはおそらく「清隆がまだ真っ白であること」を表現しているのと同時に、やはり”白”というとホワイトルームが浮かび上がる。清隆がこれからどのような色に染まっていくのか。ラストの地の文を読む限り、そして物語の展開的にも、次は学年末試験が描かれるだろうし、おそらく南雲との対決が待っていて、そこで清隆が大勢の前で本性をあらわにするのではないだろうか。そして多分、堀北クラスの敵になって。その際には、恵と一ノ瀬の三角関係で進展があるんだと思う。

そんな清隆は、少しずつ感情を手に入れられるようになってきている。カラオケルームの梅昆布茶で猫舌を発揮したり、堀北とたわいもないことでちょっと微笑んだり。清隆がどのような選択をするのかが楽しみだ!

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(11)』の感想

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「私は裏切……いえ、橋本正義のことがちょっぴり気になるお年頃でして。恋?」

3年生がリーダーを務め、1,2年生クラス混合のグループで挑む合宿『交流会』が発表された。ただ今年の合宿は退学ペナルティもクラスポイントの増減も一切ない、他学年との交流がメインの緩いイベント。綾小路は鬼龍院リーダーの下、橋本、森下、山村、椎名等と同じグループとなり、押し花作り、トランプ、アーチェリーなど体験学習ゲームに参加する。
一方、勝利が求められない交流会の緩さを利用して、堀北は天沢とのリベンチマッチを計画。綾小路に対しアドバイスを求める。
「あ? 俺は真面目に相談してるぜ? 必死に助かる方法を探ってるんだよ」
綾小路に急接近する橋本の他、学年末に向け各クラスも動き出して――!

『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編(11)』より引用

最後の全校イベントとなった『交流会』は、退学処分やクラスポイントの変動がない緩やかなものだった。そしてなんと残念なことに、ここで清隆VS南雲の決着がついてしまう。初登場時にあれだけのインパクトを残した南雲が、ここまであっさり終わるのは、なんか釈然としない。南雲は堀北先輩と同じ大学に入るそうだけれど、これは清隆が同じ大学に入り、大学編がスタートする伏線なのではないかと僕は考えている。

また、今回はAクラスの人間関係が深掘りされていた。前回の『生存と脱落の特別試験』でちょっと気まずい感じになった坂柳と山村が、良い感じに仲直りする回である。前回もそうだけれど、坂柳の弱みみたいなところがどんどん出てきていて、坂柳推しからしたらたまらないと思う。

そして何と言っても本巻の目玉は坂柳VS龍園だ。お互いの退学を賭けて勝負するのである。ストーリーの流れを見ると、坂柳が負けそうなのだけれど、僕はもう少し違う展開になるのではないかと思う。清隆が、坂柳と龍園の取引を見過ごすとは思えない。清隆と橋本の会話の中身がよくわかっていない以上、清隆と橋本が何かを企んでいる可能性が高いように思う(もしくは清隆だけ)。その際、坂柳でもなく龍園でもない主要人物の誰かを清隆が退学させ、それと同時に、清隆はクラス移動を実施する。最初は一ノ瀬クラスに移動すると思っていたけれど、清隆は、一ノ瀬への対応はまだもう少し後になることを述べていた。清隆が言う「予想外の出来事」はおそらく坂柳と龍園の取引であり、これを真っ先に対処するのではないかと思う。

そして軽井沢はおそらく年度が切り替わる前に脱落で、下手すると退学になる可能性もある。でも軽井沢に関しては、清隆と別れた後の成長を描く気がするので、退学にはならないのかな。とすると、一体誰が退学になるのだろうか。やはり坂柳と龍園のどちらかが退学してしまっては、同学年で清隆の相手ができる人材が皆無になってしまう。読者の予想を大きく裏切る展開になるのではないかと思う。

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