【ゆるゆり2期感想】日常系ギャグアニメにおける時間芸術のお手本

ゆるゆり2期

今回は『ゆるゆり♪♪(以下、ゆるゆり2期)』について語っていく。

『ゆるゆり』はなもりによる漫画(コミック百合姫)が原作で、2011年夏クールに『ゆるゆり1期』が放送。それから2012年夏クールに『ゆるゆり2期』が放送された。アニメ制作は動画工房が担当している。

目次

『ゆるゆり2期』の評価

※ネタバレ注意!

作画85点
世界観・設定80点
ストーリー87点
演出85点
キャラ88点
音楽85点
※個人的な評価です

作画

良い意味でTVアニメ1期から作画のクオリティが変わらない。強いて言うなら、TVアニメ1期に比べて挑戦的なカメラワークが少なかった気がするけれど、基本的にキャラクターデザインはブレないし、動きもかなり良い。

個人的に嬉しかったのがOPの動きが非常に良くなっていたことだ。TVアニメ1期のOP『ゆりゆららららゆるゆり大事件』よりも、動きが良い。特にAメロの動きの中毒性が非常に高く、1度もスキップしなかった。

世界観・設定

サザエさん方式が発動なことに加え、それに対してメタ的なギャグも出してくる。しかも、春夏秋冬の時系列もめちゃくちゃだけど、それが1周回って『ゆるゆり』らしい。

シリアスパートとコメディパートのバランスも良い。

ストーリー

『ゆるゆり1期』と同様に、濃密な20分間を楽しむことができる。本当に密度が高くて「あれ、まだ半分しか経ってないの?」という感じである。この感覚が得られるのは、僕のこれまでの視聴履歴だと『ゆるゆり』と京アニ作品だけだ。

演出

キャラの動きが良いことに加えて、ギャグの時間の使い方もいい。少しシュールな感じも入っているので『ゆるゆり2期』のギャグの演出は、個人的にかなりツボである。この辺はTVアニメ1期と大きな変化はない。

キャラ

新キャラがかなり活躍していて、ごらく部の4人と生徒会の4人がほぼ同等の登場頻度となっている。新キャラがバンバン出てたけれど、キャラ被りも少ない。それでも、歳納京子と赤座あかりの印象がやっぱり強いかなぁ、という感じだ。

音楽

OPもEDも『ゆるゆり1期』の衝撃度より劣るけど、普通に良い曲だった。OPの『いぇす!ゆゆゆ☆ゆるゆり♪♪』はバンドサウンドになっていて、なんかちょっと『けいおん!』っぽかった。

また、一部のエピソード限定の主題歌も制作されていて、音楽プロデュースに力を入れていることがよくわかる。

『ゆるゆり2期』の感想

※ネタバレ注意!

やっぱりめちゃくちゃおもしろい

『ゆるゆり2期』もTVアニメ1期から継続する形で、めちゃくちゃおもしろかった。『ゆるゆり2期』は日常要素とギャグ要素の強い百合アニメだから、もちろん「内容が薄い」とか「ストーリーが微妙」という意見があるのはわかるのだけれど、それでも日常系の皮を被ったギャグアニメとしては優れているし、何と言っても動画工房がとても良い仕事をしている。そのうえ、キャラクターとか世界観はよく作られているし、特にシナリオに関しては、非常にレベルが高いと思う。

純粋に言えば「クオリティが高い」のである。おもしろいかつまらないかは人それぞれだとしても、この『ゆるゆり』という作品が、TVアニメとして非常にクオリティの高い部類にあるのは間違いなく、作画オタクの僕としては、それだけでもある程度楽しめてしまう。

それこそ僕は『ゆるゆり2期』を視聴している最中、同時に「スタジオジブリを一気に視聴」という個人的な遊びをやっていて『風立ちぬ』や『かぐや姫の物語』などのジブリ作品に感銘を受けていた中で『ゆるゆり』を視聴するというかなりカオスなオタクライフを送っていた。頭の中がスタジオジブリに支配されていても、やっぱり『ゆるゆり2期』はおもしろいと思えたし、それだけアニメーションとしてのクオリティが高かったということだと思う。

やはり日常系ギャグアニメは時間芸術が肝

個人的に『ゆるゆり』のキャラだと赤座あかりが僕の推しでして、特に『ゆるゆり2期』はTVアニメ1期に比べて、あかりの活躍シーンが多かったんじゃないかなぁと思う。印象的なエピソードは『第5話 日本の夏 ゆるめの夏』と『第11話 時をかけるあかり』である。

『第11話 時をかけるあかり』は、もはや説明不要だろう。ストーリーの設定がよかったと思うし、終盤で歳納京子が涙を流すシーンの演出は、視聴者を煽りまくっているとはいえ、演出としてのクオリティは非常に高かった。時間のタメとか”間”の取り方を相当に工夫していたことがわかる。

一方の『第5話 日本の夏 ゆるめの夏』では、電車に乗り遅れてしまったあかりの一人芝居が描かれた。これが非常にシュールかつ秀逸だったのである。とにかくあかりが一人でゆる〜く喋り倒すのだけれど、それがかなりシュールすぎたのか、それともあかりが普通に可愛かったのか、思わず微笑んでしまうのである。

ほかにも、”間”の取り方を工夫したギャグは山ほどあったが、これらの時間芸術は、当然のことながら倍速視聴では楽しめない。「『ゆるゆり』は内容が薄いから」と言って、倍速視聴で流し見するのは非常に危険なのである。むしろ、日常系ギャグアニメこそ、ちゃんと通常速度で視聴しなければならない。このような時間芸術は、作画カロリー削減にもつながるため、予算を確保しづらい日常系ギャグアニメでかなり取り入れられる演出だ。

特に『ゆるゆり』は、ストーリーのスピード感や”間”の取り方など、日常系ギャグアニメにおける時間芸術のお手本的な作品に仕上がっていると個人的に思う。

さいごに

残念ながら動画工房の『ゆるゆり』はTVアニメ2期でおしまいで、次回作からはTYOアニメーションズがアニメ制作を担当する。ぶっちゃけ「う〜ん……」という感じではあるが、評判はそこまで悪くなさそうなので、楽しみにしたいと思う。

この記事をシェア
目次