今回は『86 -エイティシックス-(以下、86 1期)』について語っていく。『86』は安里アサト先生によるライトノベルが原作で、電撃文庫で2017年から刊行されている。これが2021年4月にTVアニメ化された。アニメ制作会社はA-1 Picturesだ。
『86 1期』の感想
感想①:洋画風の演出がキマってる
『86 1期』は洋画を見ているような気分になる。『86 1期』は戦争をテーマにしているのだが、これがどこか洋画っぽいってことなのかもしれない。でもやっぱり『86 1期』は洋画っぽい演出を明らかに取り入れている。
特に僕が気に入っているのはファイドのシーン。ファイドはアシスタントロボットなのだが、主人公のシンと長い間過ごしてきて、感情を持っているかのように振る舞う。それが、仲間を庇うために破壊されてしまうのだ。その際にファイド目線での映像が流れるのだが、それがとにかく洋画っぽい。EDの『Hands Up to the Sky』の雰囲気も合わさって最高にキマっていた。
というかこのファイドのシーンの演出は今までにない斬新なものだった。放送されてから14分の段階で急にクレジットとEDが流れてきて、その後にファイドの思い出の映像が流れてくるのだ。映画ならまだしもこれをTVアニメでやるのは凄い。笑
感想②:「差別」をテーマにしていて考えさせられる
『86 1期』は差別について考えさせられる。差別といえば『聲の形』のように障害者の差別を描いた名作もあるのだが、『86 1期』は人種的な差別を描いている。一見するとコンプライアンス的にマズい気がするが、『86 1期』は黒人が登場しているわけではないので、この辺は問題ないだろう。
差別をテーマにした作品のあるあるだが、偽善者のポジショニングが重要になってくる。『86 1期』の場合はヒロインのレーナが偽善者的なポジションにあるだろう。ここで言う偽善者とは、“口だけは差別撤廃を掲げているが実際に行動していないもの”を指す。『86 1期』の差別は酷いもので行動のしようがないのだが、レーナは懸命にアクションを起こしていく。レーナが偽善者から本物の善人(そんな人は存在しないかもしれないが)を目指していくのが『86 1期』の主な流れとなる。
やはり、考えさせられる内容だ。僕たちの世界でも差別は行われているから。
僕の場合は、黒人に対して差別することはないと断言できる。ただ、黒人目線で見たときに、何も行動していない人については偽善者と判断するのだろう。イジメの被害者と同じように。この疑心暗鬼の精神が差別の厄介なところで、妙な軋轢を生み出す。
『86 1期』も同じだ。レーナは圧倒的に善人なのだが、行動を起こしていないというだけでエイティシックスから非難される。それに感化したレーナがどんどん堕ちていくように見える。『86 1期』は原作1巻のみをアニメ化しているようなので、レーナがどのように変化していくのかしないのか、続きが気になる。
『86 1期』の評価
作画 | 80点 |
世界観・設定 | 80点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 80点 |
キャラ | 68点 |
音楽 | 70点 |
作画
作画はトップクラス。飛び抜けているわけではないが十分過ぎる。
世界観・設定
世界観・設定はヘビーだが、しっかりしている印象がある。
ストーリー
ストーリーの構成が非常に上手い。時系列をバラバラにする手法は原作からなのだろうか。
演出
洋画風の演出も良かった。センスが非常に優れている
キャラ
キャラの魅力はまだ分からないなぁ。良くも悪くも記号性が弱い。
音楽
特にEDが好み。OPもEDみたいに英語っぽくしたほうが良い気がする。『BANANA FISH』みたいな感じで。
さいごに
『86 2期』は2021年10月から放送スタートとなる。公式HPを見る限り、勢力図が大きく変更されているようなので、注意しながら見進める必要があるだろう。注目するべき点は、あの続編を制作しない電撃文庫が積極的にメディアミックスを進めている点だ。『SAO』の次を担う作品として力を入れていくのかもしれない。