今回は『やくならマグカップも(以下、やくも1期)』について語っていく。『やくも1期』の原作は岐阜県多治見市をテーマにしたフリーコミックだ。これを2021年にTVアニメ化。アニメ制作会社は日本アニメーションだ。
『やくも1期』の感想
感想①:観光PRに特化した作品
『やくも1期』は岐阜県多治見市のプロモーション的な位置づけで制作されたアニメだと思われる。TVアニメの24分の尺の内、前半は岐阜県多治見市を舞台にしたアニメが放送され、後半は声優達によるロケ番組的なものが放送されるのだ。岐阜県多治見市は美濃焼が有名な地域で、アニメパートでは「JK×陶芸」がテーマとなっている。今までにないようなテーマなのだが、実際に陶芸部は存在しているようで、女子高生が陶芸に取り組んでいるのだという。
後半のロケ番組では、多治見市の観光スポットやグルメが紹介される。前半のアニメパートで登場したスポットやグルメが実際に紹介されているので、疑似聖地巡礼を楽しみながら視聴することが可能になっているのも興味深い。僕は一人で日本中を旅する予定なのだが、ぜひとも多治見市の文化に触れて、陶芸も実際に体験したいと思った。
さて、このように観光PRに特化した作品がやっと出てきた。地方を活性化させる一つの方法としてTVアニメという手段があることは前々から感じていたのだが、やっと実例が出てきた感じ(僕が無知なだけで他にもあるかもだけど)。しかし実際に見てみると、面白いっちゃ面白いのだが費用対効果で黒字になっているかと言われると微妙な感じがしている。ここらへんはセンスが大きく左右するから予測不可能だ。とりあえずやってみた、というのが大事で、そういう意味でも多治見市は一歩進んだと言っていい。
感想②:全体的にクオリティは普通だが…
アニメパートのクオリティについてだが、日常系かと思いきや思っていたよりもシリアスパートが多く、それでいてストーリーの質も高かったので、個人的にはそこそこ満足している。期待値以上(期待値が低かっただけだけど)のクオリティだと思う。
しかも1話あたり10分ぐらいしかアニメが放送されていないので、120分しか尺がないことになる。それでいてあれだけのストーリーを上手く詰め込めていたのだから、結構凄いんじゃないだろうか。120分ということで製作コストも少なそうだし。
そして後半のロケ番組も、声優が登場しているということで、声優が大好きなアニオタの人は”とりあえず”視聴すると思う。僕はそこまで声優に興味があるわけではないので、たまにスキップしたり完全に流し見でいるときもあったのだが、ロケ番組の内容としては普通に面白かったと思う。
ただ、これが聖地巡礼・観光のモチベーションに繋がるかどうかは懐疑的だ。僕は旅をする予定だから注目していたものの、普通のアニオタはインドア派の人が多い。そもそも聖地巡礼というのは”その作品がめちゃくちゃ好き”だからこそ出来ることだと思う。だから『けいおん!』に登場する学校や『らきすた』に登場する神社が栄えていたわけだし。とはいったものの、実際に多治見市に行ってみないと分からない。旅を初めたら多治見市に訪れようと思う。
『やくも1期』の評価
作画 | 45点 |
世界観・設定 | 55点 |
ストーリー | 40点 |
演出 | 40点 |
キャラ | 35点 |
音楽 | 60点 |
作画
作画に関しては、安定はしていた。クオリティが高いわけではない。
世界観・設定
『陶芸×JK』のテーマは普通に面白いと思う。
ストーリー
ストーリーは渋い。結構シリアス多めなので、次が気になる展開ではあった。
演出
演出も中々良かった。特にシリアスパートは良かった。
キャラ
キャラはちょっと弱い。けどまあしょうがない。
音楽
OP・ED、どちらも良かった。実写パートの主題歌も良かった。
さいごに
『やくも』はTVアニメ2期の制作が発表されている。タイミングを見るに、元々続編制作する予定だったと思われる。『やくも』によってどれだけ観光ビジネスを強くできるのか、個人的に興味はあるので『やくも2期』も見ようと思う。新しいアニメの在り方を模索している作品とも言えるので、アニメ好きの方なら見ておいたほうが良いのかもしれない。