今回は『ONE PIECE FILM RED』について語っていく。
『ONE PIECE』は、言わずと知れた国民的漫画であり、今回の『ONE PIECE FILM RED』は、原作者の尾田栄一郎先生が総合プロデューサーを担当している。
アニメ制作は東映アニメーション、監督は谷口悟朗が担当している。
『ONE PIECE FILM RED』の感想
ネタバレ注意!
『マクロスF』みたいなフェス形式の映画
『ONE PIECE FILM RED』は、メインヒロインのウタがフェスを開催するというストーリーとなっている。ウタの歌唱パートのボーカルは、ここ最近話題のAdoが担当しており、実質的にはAdoのフェスみたいな感じになった。
『ONE PIECE FILM RED』の中で合計8曲登場歌唱しており、それぞれの曲は有名クリエイターが制作している。様々なジャンルの曲を、歌唱力が高いAdoが歌い、それを映画館で『ONE PIECE』の映像付きで鑑賞できるというだけで、十分すぎるほどの価値があるだろう。
このようなフェス形式の映画は、前例が全くなかったわけではない。僕の記憶に残っているのは、やはり『マクロスF』だ。『マクロスF』の劇場版も、大迫力の戦闘シーン付きで10曲以上登場する。しかもそれらの楽曲の全てを菅野よう子が、めちゃくちゃ豪華だ。
まあ、とはいえ、『ONE PIECE FILM RED』や『マクロスF』のように、楽曲が挿入されまくるという体験を、ほとんどの大衆は経験したことがない。良い意味でも悪い意味でも、刺激的な体験になったはずだ。
シャンクスが実は……
僕は生粋の『ONE PIECE』ファンだ。ファンであれば、自然と伏線とか考察に目がいく。今回の『ONE PIECE FILM RED』の場合、シャンクスに関する衝撃的な事実が明らかになった。
シャンクスは、ゴッドバレー事件の時にロジャーに拾われた子どもだったのだ。正確に言うと、ロジャーが奪った宝箱の中にシャンクスがいた、という感じだ。
また、これは確定ではないけれど、シャンクスが天竜人である可能性がある伏線が提示された。五老星がウタに対して「フィアーランド家の血筋か」的なセリフを口にしたのだ。この際、ウタがシャンクスの娘であることが暴露された直後だったので、これはシャンクスがフィアーランド家の血筋であるという風に解釈できる。
元々ゴッドバレーにはたくさんの天竜人がいたそうなので、ゴッドバレーで生まれたシャンクスが天竜人である可能性は極めて高い。だからこそ、五老星とも対面できるのだろう。
クオリティが特別高いわけではない
『ONE PIECE FILM RED』は、クオリティが特別高いわけではなかった。確かに本作の肝である音楽は良かったけれど、それはあくまでも楽曲単体での質のお話。個人的には『ONE PIECE FILM Z』の『海導』の方がエモかったし、作品の相性が抜群だった。
アニプレックス作品でもよく見受けられるけど、音楽とアニメの距離が遠い作品は、すごく勿体無いと思う。音楽とアニメの距離が近ければ、凄まじい演出効果が発揮されるはずだからだ。だが、音楽会社の力が強すぎて、それができないでいる。
それと戦闘シーンは迫力があるものの、本当に迫力だけだった。『呪術廻戦』みたいな秀逸なセンスは感じられない。ただ豪華なクリエイターを並べるのではなく、『ONE PIECE』を最大限引き立てるクリエイターが本気で制作した映画を見てみたいなぁと思う。
『ONE PIECE FILM RED』の評価
※個人的な評価です
作画 | 85点 |
世界観・設定 | 80点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 80点 |
キャラ | 85点 |
音楽 | 85点 |
作画
作画は細かい部分にこだわっているわけでもなく、あくまでも普通のアニメという感じだった。特に戦闘シーンに関しては、1秒あたり24コマでは絶対足りないので、作画枚数をもっと増やしても良かったと思う。それぐらいのお金は絶対に出るはず。
世界観・設定
入場者特典コミックスによると、ウタウタの世界は仮想現実や現実逃避がテーマになっていたという。これはWeb3のメタバースを参考にしたのはほぼ間違いない。それを、ウタウタの実の能力で表現するアイデアは面白かった。
ストーリー
尺はそこまで長くないのだけれども、ストーリーの展開が何度も変化して、飽きることがなかった。ただ、エンドはちょっと『ONE PIECE』っぽくない気がする。ウタの最期は素晴らしかったけどね!
演出
戦闘シーンは及第点をクリアしてるといえるけど、ライブシーンがなんだかなぁという感じ。多分、カメラワークのレパートリーが少ないのが良くなかったと思う。ここら辺は『ラブライブ!』とか『マクロスF』を参考にして欲しかった。
キャラ
『ONE PIECE』のキャラは相変わらず面白かった。ただ、敵役が事実上ウタとトットムジカしか存在しなかったので、ゾロやサンジの出番が少なかったのが残念。まあ、これはしょうがない。ただ、赤紙海賊団のヤソップの関係で、ウソップが比較的活躍してたのが印象的だった。
それとウタの声優に名塚佳織を起用したのは大正解だと思う。表裏の差が激しくて、ちょっと病み気質のあるキャラといえば、やはり名塚佳織だ。
音楽
音楽単体の質はめちゃくちゃ良かった。IMAXで鑑賞したというのもあるけど、すごく良い体験をさせてもらった。これを2,000円程度で鑑賞できるのだから、良い時代だ。
そしてやはり、Adoはファンキーな曲調の曲が最高に似合う。最高にカッコよかった。
さいごに
現在、『ONE PIECE』の映画は3年ごとに公開されている。この流れでいくと、『ONE PIECE』が完結するまでに、あと1,2回は劇場版を公開できることになる。今回はシャンクスがメインだったけれども、次はどんなキャラが深掘りされていくのだろうか。個人的にはドラゴンが熱い気がする。