今回は『モブサイコ100 II(以下、モブサイコ2期)』について語っていく。
『モブサイコ1期』が2016年夏クールに放送された後、2019年冬クールに『モブサイコ2期』が放送される。
アニメ制作は前作に引き続きボンズが担当した。
『モブサイコ2期』の感想
ネタバレ注意!
「力 = 幸せ」ではない
『モブサイコ2期』は人生において大切なことを教えてくれるアニメ作品だ。超能力がテーマとなっていることもあって、特に「力」について色々なことを教えてくれる。
結局のところ、「力」は幸せを生み出してくれない。『モブサイコ2期』のラスボスとなった鈴木統一郎(CV.井上和彦)のように、力を用いて世界を支配するとして、そこには何が残るのだろうか。力関係で成り立っている人脈と権力しか残らない。それは、幸せではないのだ。
幸せは、当たり前の中にある。本当にそこら辺に幸せは転がっていて、それに気づくことができれば、幸せになれるのだ。
だから、力を利用する必要はない。何かしらの危機が発生して、誰かを守りたい時だけに力を使うべきだ。
“力”を我々の社会で例えると、お金とか知名度が考えられる。お金や知名度はあくまでも道具や手段であって、目的であってはならない。そして”力”よりも、大切な人と過ごす時間を大切にすべきなのだと思う。
こんなことを僕は、『モブサイコ2期』を通して感じた。
第7話「追い込み 〜正体〜」が神回
『モブサイコ2期』の第6話「孤独なホワイティー」と第7話「追い込み 〜正体〜」は、『モブサイコ』屈指の人気キャラである霊幻新隆(CV.櫻井孝宏)のメイン回だ。
おそらく、この霊幻新隆メイン回は、『モブサイコ2期』における最大の見せ場だと考えられる。なぜなら『モブサイコ2期』の監督を務める立川穣が、直々に脚本を担当しているからだ。
実際、この霊幻新隆メイン回は、素晴らしい仕上がりだった。霊幻の霊能力の嘘が日本中にバレ、大バッシングを受ける過程は、見ていて辛いものがあった。それはつまり、演出のクオリティが高く、視聴者の心を惹きつけるシナリオだったとも解釈できる。
そして第7話「追い込み 〜正体〜」の後半における記者会見も面白い。ここでようやく霊幻の面白さが復活する。極め付けは「成長したな、お前」で、僕はこのセリフの演出が最高に好きだ。もちろん、モブ(CV.伊藤節生)の「いい奴だ」も感動した。
名作アニメに神回は必要不可欠な要素だ。ふと頭の中でフラッシュバックするような神回は、視聴者の心に刻まれ、そして人生観の形成に影響を与えていく。少なくとも現時点で『モブサイコ』は僕の人生観に多少なりとも影響を与えているし、おそらく多くの人々にも影響を及ぼしていると思う。
『モブサイコ2期』の評価
作画 | 85点 |
世界観・設定 | 80点 |
ストーリー | 80点 |
演出 | 83点 |
キャラ | 80点 |
音楽 | 78点 |
作画
原作者のONE先生の雰囲気を残しつつ、しっかり動かしている。これは相当な技術がないとできないことだろう。また、『モブサイコ1期』と比べると、登場人物の感情表現がとても丁寧な気がした。特に第7話「追い込み 〜正体〜」の終盤のシーンの動かし方は秀逸。
世界観・設定
『モブサイコ1期』よりも温かい世界観となっている気がする。これはストーリー上においてモブが成長しているのが理由だろう。
また登場人物が増えたことで、群像劇的な展開をするようになった点にも注目しておきたいところ。それでもモブや霊幻の存在感は色褪せない。
ストーリー
第7話までのストーリー展開は完璧だった。ただ、ここに多くのリソースを投下してしまったのか、終盤のストーリー展開はちょっと急すぎたと思う。良く言えばテンポが良い、悪く言えば尺が足りない。という感じだ。
演出
『モブサイコ2期』は戦闘シーンが目立つ。だが、個人的には、キャラの細かい部分の動きの作り込みに惹かれてしまった。特に第7話「追い込み 〜正体〜」の霊幻の動きが素晴らしい。何回も言うけど、原作者のONE先生特有のキャラデザでこれを自然とやり遂げているのがすごいと思う。
キャラ
キャラがかなり増えた。とはいえ、モブと霊幻の存在感は色褪せない。モブに関しては、方向性はともかくとして、少しずつ成長しているのがわかる。そして終盤でモブが言っていたように、人に恵まれたからモブは救われたのだ。
音楽
『モブサイコ1期』よりもだいぶ良くなった。メンバーを一新して、sajou no hanaが主題歌を制作している。やっぱりEDの『グレイ』が好み。
さいごに
2022年秋クールで、『モブサイコ3期』が放送されている。最終章ということだから、めちゃくちゃ期待だ。絶対に視聴しようと思う。
あ、あと『ワンパンマン』もみないと。