【憑物語感想】メタ的な演出強めのストーリー。そして斧乃木ちゃんが良き

憑物語
星島てる
アニメ好きの20代。ライターで生活費を稼ぎながら、アニメ聖地の旅に出ている者です。アニメ作品の視聴数は600作品以上。

今回は『憑物語』について語っていく。

『物語シリーズ セカンドシーズン』が2013年夏クールから2クールかけて放送され、『花物語』が2014年8月16日に一挙放送された後、『憑物語』が2014年12月31日に一挙放送された。アニメ制作は前作に引き続きシャフトが担当している。

目次

『憑物語』の評価

※ネタバレ注意!

作画90点
世界観・設定90点
ストーリー90点
演出90点
キャラ90点
音楽88点
※個人的な評価です

作画

作画のクオリティは相変わらず高い。『憑物語』に関しては、斧乃木余接と忍野忍の可愛らしい動きが肝。特に『憑物語』冒頭の斧乃木余接が可愛らしく映るシーンが印象的だった。

世界観・設定

世界観も相変わらずというか、シャフトらしさが全面に出ている。あと、いつもよりも場面転換が激しい。特に阿良々木暦と影縫余弦の会話シーンの背景の移り変わりがヤバい。まあ、これもシャフトらしさということだろう。

ストーリー

『憑物語』のストーリーは、かなりメタ的だった。何者かがストーリーを操作していて、適切なポジションにいる登場人物を動かしている感じ。まあ、実際は西尾維新がストーリーを作っているわけだが、それを含めてメタ的だった。

演出

『物語シリーズ』といえば、原作小説の地の文を一瞬だけ差し込む演出が特徴的だ。しかもその地の文は、かなり独特な表記で描かれる。だが『憑物語』では、あの特有の独特な表記ではなく、普通に表記された。これが『憑物語』特有の演出なのか、それとも『憑物語』以降も続いてくのかは続編を視聴しないとわからないが、まあこれはこれで良いと思う。

キャラ

『憑物語』で斧乃木余接の過去が描かれるのかと思いきや、そういう感じでもなかった。けれども改めて斧乃木余接が怪異であることを思い知らされた感じだ。そして当の本人が言うように、阿良々木暦と周囲のヒロインの距離が意図的に引き離されている。

音楽

OPの『オレンジミント』が最高だった。現時点の『物語シリーズ』における三大OPは『恋愛サーキュレーション』『白金ディスコ』『オレンジミント』だと思う。

あと、EDの『border』も中々良い。『君の知らない物語』をオマージュした出だしだった。

『憑物語』の感想

ネタバレ注意!

登場人物が動かされるストーリー

ストーリーの作り方には、大きく分けて2種類ある。

一つ目は、一旦キャラを作り込んでおいて、そのキャラを動かしながらストーリーを作る手法。そしてもう一つは、作者が想定したストーリーに対してキャラを乗せる手法だ。

おそらく多くの人は後者が一般的なストーリーの作り方だと考えているだろうが、実は前者の作り方を実施している人も一定数いる。少なくとも、もし僕がストーリーを作るとしたら、絶対に前者を選ぶ。なぜならそっちの方が、ライトノベル的だからだ。

それで『物語シリーズ』も、おそらく前者に近い作り方をしていたと思う。そうでないと、あれだけ個性的なキャラをユーモアのある台詞回しで喋らせることはできないだろう。

ただし原作者の西尾維新はメタ的な演出を度々加える。『物語シリーズ』特有の時系列も、広義のメタ的な演出だ。だから一定の割合で、西尾維新がストーリーに手を加えているという解釈もできる。

その中でも今回の『憑物語』は、かなりメタ的な作品だった。斧乃木余接の「ラスボスは忍野扇だろうな」という発言や、阿良々木暦の『僕の物語が終わりに近づいているのでは?」という趣旨の発言は、まさにメタそのもの。極め付けは手折正弦の「まるで何者かによって動かされている」だ。

斧乃木余接の言う通り、おそらくラスボスは忍野扇だと思うが、臥煙伊豆湖もストーリーを操作する側の人間だ。そしてこの2人は原作者の西尾維新を照らし合わせたキャラだという解釈もできるっちゃできる。ということで今回の『憑物語』は、中々印象に残るエピソードだった。

専門家たちの呪いとは?

『憑物語』で、おそらく初めて”呪い”という概念が登場した。『物語シリーズ』には数々の専門家が登場し、その専門家は怪異を利用することで怪異にまつわるトラブルを解決していく。作中に登場する専門家は、大学時代に同じサークルに所属していたようで、何でも知ってる臥煙伊豆湖が元締め的な存在らしい。『憑物語』で登場した手折正弦は、臥煙伊豆湖のネットワークから飛び出てしまった逸れ者だ。

そして斧乃木余接は、影縫余弦と手折正弦によって作られたのだという。その代償として、2人は「地面を歩けなくなる呪い」を受けてしまったようなのだ。

だとすると、もしかしたら臥煙伊豆湖や忍野メメ、それに貝木泥舟にも呪いが存在するのかもしれない。臥煙伊豆湖の豊富すぎる知識も、何かしらの呪いの影響なのだと考えられる。

どちらにせよ『物語シリーズ』は、阿良々木暦を始めとする青春真っ只中の若者と、怪異を操る大人たちである専門家の2つの軸で進んでいくのだろう。

さいごに

『憑物語』の次は、いよいよ『終物語』だ。ただし時系列が少し戻り、まずは忍野扇と阿良々木暦の出会いが描かれるっぽい。それと阿良々木暦が吸血鬼になれる回数が制限される問題も気になるところ。

とにかく、次の『終物語』もしっかり視聴しようと思う。

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